材料はノリとハサミ、それからあなたの指先だけ。
この印象的なキャッチコピーのもとに東京都庭園美術館で開催されているのは、約100点の作品が展示された『岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟』展。
岡上淑子(おかのうえとしこ)は1950年代にすい星のごとくあらわれた “フォトコラージュ作家” で、現代のコラージュ作家たちに多大な影響を与えているのはもちろん、近年になって再注目されている美術家なんです。
【素材にしたのはファッション誌】
日本を代表するシュルレアリスト・瀧口修造さんに見出され、写真を活用したフォトコラージュ作品によってその才能を開花。
活動していたのは1950年から56年までの7年間とごく短い期間でしたが、「報道写真を背景に当時最先端のモードが浮かび上がる」といった独特の世界観が、多くの人の心をつかんだよう。
海外のグラフ雑誌やVOGUEなどのファッション誌を素材としているところにも、親近感が沸くんです。
【もともとファッションが好きだった】
岡上さんがファッションをコラージュに取り入れたのには、自身が洋裁を学んできたことが大きく関わっています。
洋裁のための生地を紙に持ち替えて、1950年代のハイファッションのイメージを数多く引用。展覧会では、作品のイメージの源となった当時のファッションにもスポットを当てており、京都服飾文化研究財団(KCI)の協力のもと、4点のドレスが参考展示されるといいます。
【日本へ「初里帰り」する作品も!】
展示作品の目玉は、海外でもっとも多くの岡上淑子コレクションを有する、アメリカのヒューストン美術館が所蔵する12点のコラージュ。
美術館収蔵後初めて日本へ里帰りすることになるらしく、この貴重な機会を逃すわけにはいきません。
【4月までやってます!】
そのほかにも、岡上さんを見出した瀧口さんとの繋がりを関連資料から考察する展示や、コラボレーションメニューの提供など、お楽しみがもりだくさん。
今回の展覧会が東京の公立美術館における初の個展ということも、見どころのひとつといえるのではないでしょうか。
シュールでモードでちょっぴり不穏な岡上作品は、今見ても新鮮。色褪せるどころか、ますます輝きを放っているようにすら見えます。
一般の前売り料金は720円で、当日が900円。2019年4月7日まで開催されているので、足を運んでみてはいかがでしょうか。
参照元:プレスリリース、東京都庭園美術館
画像=岡上淑子 © Okanoue Toshiko
執筆=田端あんじ (c)Pouch
▼『幻想』個人蔵
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