【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのはマーベル初の女性ヒーローが登場するSFアクション大作『キャプテン・マーベル』(2019年3月15日公開)です。

ヒロインを演じるのは、監禁された母と息子を描いた実話の映画化『ルーム』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したブリー・ラーソン。美と実力を兼ね備えたキャプテン・マーベルにピッタリで、惚れ惚れするカッコよさなんです!では物語からいってみましょう!

【物語】

アベンジャーズが誕生する前の宇宙。6年前に瀕死の重傷の上、記憶喪失で見つかった女性(ブリー・ラーソン)は、ヴァースという名を与えられてクリー帝国でソルジャーとして生きていました。この地で強力なパワーを得たヴァースは、宇宙一の破壊力を持る光子ビームの持ち主でしたが、たびたび過去の記憶がフラッシュバックすることに悩んでいました。そんな彼女がクリー人の宿敵であるスクラル人に捕えられてしまいます。彼らの目的はヴァースの記憶の中に潜む「秘密」。その秘密とは……。

【実力派の本格的な女性ヒーロー!】

私はマーベルコミックに詳しくないので、キャプテン・マーベルの存在は知らなかったのですが、この映画を観て「こんなに強い女性ヒーローがいたなんて!」と驚きました!

彼女の拳から繰り出される光子ビームがとにかく強力で、宇宙船もぶっ飛ばす勢いなんですよ。アベンジャーズ全員が結束しても倒せなかったサノス(『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のラスボス)も「彼女ひとりで倒せるんじゃないの?」と思ったりしました。それくらい強い強い!

これまでの女性ヒーローはセクシー路線も多く「結局、男性目線で作られた女性ヒーローか」と残念に思うこともけっこうあったのですが、本作のヒロインは徹底的に強く、男女の枠を超えたヒーローとして存在しているのです。

そこがすごくいい! 演じているブリー・ラーソンが実力派女優というのも、キャプテン・マーベルの魅力に繋がっていると思います。

【ちょっと予習が必要なところもあり】

『キャプテン・マーベル』のアクションは大いに楽しめるのですが、記憶がフラッシュバックするシーンは若干わかりにくい印象がありました。爆発事故、謎の女性(アネット・ベニング)、自分は何者で、何が起こったのか……。どうやら彼女は地球人で名前はキャロル・ダンバースなのですが、断片的な情報なので私は「???」となってしまいました。

マーベルコミックに詳しい人にとっては、ヴァース(キャロル)の過去がわかればわかるほど、パズルのピースがはまっていくような楽しさがあると思いますが、詳しくない私には、ちょっと置いてけぼり感がありました。

最後に4月26日公開の最新作『アベンジャーズ/エンドゲーム』に繋がる秘密が明らかになったりするので『アベンジャーズ』を再鑑賞したり、キャプテン・マーベルのことを調べておいた方がいいかもしれません。

【スリル&ユーモアが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』的】

ヴァースは、愛想笑いもしないふてぶてしいヒロインなのですが、映画はユーモアも適度に散りばめられ、コメディ演出としては『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に近い。これから闘うというシリアスなシーンにギャグを忍ばせたりといった小技を使ってきます。

正直『ギャラクシーズ~』ほどギャグがバシっとは決まらないのですが、その不器用さもご愛敬という感じ。

しかし、何より眼福なのが猫のグース! ヴァースの相棒になるニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が、グースにメロメロになるという展開が微笑ましくて……。出てくるたびに可愛いグースなのですが、実はグースにも秘密があるので、このままキャプテン・マーベルとともに『アベンジャーズ/エンドゲーム』にも出てほしいと願うばかりです。

アクション好きの男子を誘ってもよし、女子同士で見ても楽しい、女性アクション映画『キャプテン・マーベル』、ぜひ劇場でご覧くださいね!

執筆=斎藤 香(c)Pouch

キャプテン・マーベル
(2019年3月5日、全国公開)
監督:アンナ・ボーデン、ライアン・フレック
出演:ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン、ベン・メンデルソーン、ジャイモン・フンスー、リー・ペイス、ラシャーナ・リンチ、ジェンマ・チャン、アネット・ベニング、ルーン・タムティ、マッケナ・グレイス、クラーク・グレッグ、ジュード・ロウ

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