【最新シネマ批評】
映画ライター斎藤香が最新映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、レビューをします。

今回ピックアップするのは、アメコミのスーパーヒーロー映画『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年8月11日公開)です。

主人公ピーター・パーカーを演じるトム・ホランドが来日し、テレビなどに出演していたので、ご存じの方も多いでしょう。これまで何度か映画化されてきた『スパイダーマン』ですが、これまでとは全く違います。新趣向による設定と演出が実を結んだ、見たら必ずハッピーになれる傑作なんですよ!

【物語】

トニー・スターク(アイアンマン / ロバート・ダウニーJr.)からスパイダーマンスーツを託されたピーター・パーカー(トム・ホランド)は、有頂天! ニューヨークの街を悪から守ろうと一生懸命な15歳です。

学校ではイマイチ冴えず、好きな女の子がいるけど告白もできない彼。でも、スパイダースーツを着れば無敵のヒーローになれるのですから、大はしゃぎ。

一方、ニューヨークの街ではエイドリアン・トゥームス(マイケル・キートン)が、ハイテク武器を開発して、巨大な翼の怪人バルチャーになり暗躍していました。

スパイダーマンことピーターは、早く手柄を立ててトニーに認められようと、バルチャーとの闘いに身を投じますが、大ピンチに陥り、トニーからスパイダースーツを取上げられてしまうのです。どうするピーター!

【いまどきの少年らしさが魅力!】

アベンジャーズのヒーローは、アイアンマン、超人ハルク、マイティ・ソー、キャプテン・アメリカ、アントマン……みんなかっこよくて強い男前軍団。お調子者はいません。唯一、アイアンマンがちょっと自分勝手で、アントマンが親しみやすいくらいです。

そんな男前軍団の中に、スパイダースーツを着て、ビルとビルの間をビュンビュン飛んで「ヤッホー」と言いかねないようなご機嫌なヒーロー、スパイダーマンが仲間入りしました。素顔はジミ~な15歳の彼が、ある日突然スパイダーマンにスカウトされちゃうんですから、そりゃ浮かれますよね。

でかいことしようとしてトニー・スタークにこっぴどく怒られるという無鉄砲さが少年らしいし、アベンジャーズの面々を見て「すげ~すげ~」と大興奮! そんなピーターが可愛くて仕方ないんです!

【トム・ホランドは素顔も可愛い!】

そのピーター・パーカーを演じたトム・ホランドは21歳。ピーター役のオーディションは5ケ月もかかったとか。その後、役が決まったのかどうかが気になって、自分で結果を調べたそう。

「オーディションのあと、ずっと『スパイダーマン』のインスタをチェックしていました。そのうち “スパイダーマンはトム・ホランドに決定”という情報を耳にして、家族に伝えたら、弟に“そんなのガセに決まってるじゃん。本当に決定していたら連絡がくるはずだろ”って言われたので、僕はエージェントを通して、マーベルに確認してもらったんです。そしたら、本当だった! 人生で一番凄い出来事、クレイジーな瞬間でしたね」

来日記者会見で、そんな話をしていたトム。気が気じゃなかったんですねえ……可愛いすぎる。それにしてもマーベル、すぐに合格の連絡してくれればいいのに。

【アクション映画と青春映画の見事なコラボ】

この映画で、ピーターの身には数々の出来事が起こります。スパイダーマンとして街の平和を守ることだけではなく、学生として学力コンテストに出場することになったり、片思いの女の子といい感じになったり、アクションと青春がいいバランスで共存しているんです。

またピーターを見守る大人たち(トニー・スタークなど)の視線もいいんですよ。上手に泳がせてちゃんと見守っている感があって。しかし、後半、翼の怪人バルチャーのある一面が明らかになったときはビックリ。こんなことになって、どう決着つけるんだろうと……。最後の最後まで気が抜けません。

これまでトビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールド版の『スパイダーマン』を見てきましたが、私的には今回のスパイダーマンがいちばん好きですね。スパイダーマンの青春、大いに楽しんでください。



執筆=斎藤 香 (c) Pouch

『スパイダーマン:ホームカミング』
(2017年8月11日より、TOHOシネマズ日劇ほか、全国ロードショー)
監督:ジョン・ワッツ
出演:トム・ホランド、マイケル・キートン、ジョン・ファヴロー、ゼンデイヤ、ドナルド・グローバー、マリサ・トメイ、ロバート・ダウニーJr.、グウィネス・パルトロー、クリス・エヴァンスほか
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▼映画『スパイダーマン:ホームカミング』予告編