【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは人気漫画の実写映画化『キングダム』(2019年4月19日公開)です。「漫画の実写映画はもうお腹いっぱい!」と思う方は多いでしょうが、そう言わず『キングダム』を見てください! 大興奮間違いナシですから~。では物語からいきましょう。

【物語】

紀元前245年、中華の西に位置する国「秦」で、戦争孤児として生きる青年、信(山﨑賢人)と漂(吉沢亮)は「天下の大将軍」になることを夢見て、日々、剣術に磨きをかけていました。しかし、ある日、大臣の昌文君(高嶋正宏)がやってきて、漂だけを王宮へと連れていってしまいまいます。王宮では若き王・嬴政(えいせい/吉沢亮・二役)の弟の成蟜(せいきょう/本郷奏多)がクーデターを起こして玉座を奪い、嬴政の首を狙っていました。王にそっくりだった漂は身代わりにされたのです。

【山﨑賢人と吉沢亮、国宝級イケメンを愛でる】

累計3800万部超のベストセラー漫画(2019年1月現在)である『キングダム』ですが、私は未読なので、原作漫画の素晴らしさがどれほど実写に反映されているかはわかりません。が、情報ゼロの状態で観た感想としては、めちゃくちゃ面白かったです!

やはり山﨑賢人と吉沢亮に心持っていかれましたー。山﨑さんは「確実に演技力がアップしている」と、その成長に目を見張るほど。ガムシャラな野生児男子の信を大きな瞳をキラキラさせてものすごい熱量で演じています。目の前にある壁を乗り越えようと努力して、自分の殻を次々と破っていく純粋な信。その魅力が山﨑さんとリンクしていたように感じました。

吉沢さんは信に対する優しい眼差しが印象的な漂と、クールに見えながらも心の中で闘志を燃やし続ける嬴政という二人の男をきっちり演じ分けていました。特に嬴政のときの品格ある佇まいは神々しいほど! アクションシーンで見せる剣さばきがまた素敵で、キャーキャー言いたくなりましたよ。彼は本作で絶対にファンを増やすはず!

【妖艶な長澤まさみ、ゆるキャラな橋本環奈、邪悪な本郷奏多】

基本的にイケメン祭りな作品ですが、そんな中で美しく輝いているのが山の王・楊端和(ようたんわ)役の長澤まさみさん。後半の合戦シーンで男たちをバッサバッサと斬りまくる様がかっこよすぎる! ショート丈の甲冑姿も美脚が輝いていました! セリフはそれほどないのですが、力強さと美しさが同居した見事な山の王でした。

そして橋本環奈さんは、山民族の末裔・河了貂(かりょうてん)役。血気盛んな男たちの中に存在する異色の存在で、蓑を着た小さくてまん丸いルックスはまるでゆるキャラ。正直、活躍の場はあまりなかったのですが、小柄な橋本さんに合っていたし、癒しの存在としてありでしょう。

そうそう、嬴政から玉座を奪った成蟜をとことんゲスに演じきった本郷奏多さんも良かったです。邪悪さMAXの演技もぜひお楽しみください。

【わかりやすい展開でビギナーでも置いて行かれない】

「原作漫画を読んでいないとわからないのでは?」と心配している人がいるかもしれませんが無問題。なぜなら本作はすごくわかりやすいストーリーだからです。王宮のクーデターを機に嬴政と行動を共にし、彼をサポートしつつもその先に「天下の大将軍」を見据えた主人公の信。

彼は心に迷いがなく、前へ前へと突き進んでいくので、観客もすんなり物語に乗ることができるのです。また原作者の原泰久さんが脚本に参加しているので、原作のおいしいエキスを映画にギュッと濃縮注入できたのではないかと。もしかしたらビギナーほど楽しめる映画かもしれません!。

執筆=斎藤 香(c)Pouch

キングダム
(2019年4月19日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)

原作:『キングダム』原 泰久(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
監督:佐藤信介
脚本:黒岩勉 佐藤信介 原泰久
出演:山崎賢人 吉沢 亮 長澤まさみ 橋本環奈 本郷奏多 満島真之介 阿部進之介 深水元基 六平直政 高嶋政宏 要 潤 橋本じゅん 坂口 拓 宇梶剛士 加藤雅也 石橋蓮司 大沢たかお

(C)原泰久/集英社 (C)2019映画「キングダム」製作委員会