【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは映画『ジュマンジ/ネクスト・レベル』(2019年12月13日公開)です。本作は『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(2017)の続編にあたります。ドウェイン・ジョンソン、ジャック・ブラック、ケヴィン・ハート、カレン・ギランなどメインキャストは続投。ちなみに「ジュマンジ」とはゲームの名前。そのゲームの世界に吸い込まれた男女の大冒険を描いた作品なのです!

【物語】

「ジュマンジ」ゲームをクリアしてから2年、スペンサー(アレックス・ウルフ)、マーサ(モーガン・ターナー)、フリッジ(サー・ダリウス・ブレイン)、ベサニー(マディアス・アイズマン)の仲良し4人組は大学生になり、それぞれの道を歩んでいました。「久々に会おう」と再会を約束しましたが、スペンサーは来ませんでした。3人が彼の家へ行ってみると、なんとスペンサーは壊したはずのゲーム「ジュマンジ」の世界へ吸い込まれていたのです!そしてマーサたちも彼を救うためにゲームの世界へ……。

【サクっと前作のおさらい】

前作『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』を観ていなくても楽しめますが、より楽しむために前作を簡単におさらいします!
高校生のスペンサーたちは、学校の地下室で、「ジュマンジ」というゲームを発見。それぞれ自分のアバターを決めて遊び始めたら、なんとゲームに吸い込まれてしまい、ミッションを達成して「ジュマンジ~!」と叫ばないと現実世界に戻れない~というお話。ちなみに前作でスペンサーとマーサはラブラブの関係になっています。


本作の「ジュマンジ」ゲームは、ジャングル、砂漠、要塞などが舞台で、動物などがたっくさん登場。大蛇に飲み込まれたり、ダチョウに追いかけられたりして大ピンチ! 各自が持っているゲーム内の命、ライフは3つ。すべて使い果たすと現実世界には戻れないというルールです。

【続編はゲームがバグって大混乱!】

本作もストーリーのベースは、指示された任務を全うすること。でも前作では各自がアバターを選べましたが、本作ではアバターを選ぶ間もなく吸い込まれ、なおかつ一度壊しているせいか、バグりまくって、スペンサーのおじいちゃんのエディ(ダニー・デヴィート)と悪友のマイロ(ダニー・グローヴァー)まで吸い込まれてしまうんです。で、高齢の二人のドタバタ大冒険が始まるというわけ。

このスペンサーのおじいちゃんがね、いい味出しているんですよ~。「ゲームなんてわからん!」というおじいちゃんが、なんとアバターの中心人物ブレイブストーン博士(ドウェイン・ジョンソン)になってしまうんです。めっちゃ強い無敵の博士だったのに、おじいちゃんのアバターになったから、てんやわんや。仲間たちがいくら自分たちのやるべきことを説明しても、おじいちゃんは理解できないから、最初は博士の動きがぎこちなくて。これをドウェイン・ジョンソンが絶妙な芝居で見せており「意外と演技上手いんだな~」と感心しちゃいました。

【スペンサーの現実逃避がゲームの引き金?】

そもそもスペンサーがなぜ壊したゲームの中に入り込んだのかと言うと、冴えない毎日に嫌気がさしていたからなんですね。マーサともなんだかうまくいっていない様子……。だから、前作でブレイブストーン博士として活躍していたスペンサーは、「あの夢をもう一度」と「ジュマンジ」の中へ入っていったのです。でも皮肉なことにブレイブストーン博士になったのは彼のおじいちゃんで、スペンサーは、スリのフリートフット(オークワフィナ)に! 現実の困難を乗り越えようとせず、非現実の世界で充実感を得ようとしても、人生そんなに甘くないってことですよ。

【続編は恋愛と友情がメインの物語】

また本作では、スペンサーとマーサの恋の続きとエディおじいちゃんとマイロの友情も描かれます。個人的には、おじいちゃんとマイロの友情物語は、頑固おやじ同士の言い合いが微笑ましく、最後のおじいちゃんとマイロの仲直りやマイロが人生の決断をするシーンはちょっとホロリ……。

しかし、スペンサーとマーサの恋は、そもそもなんで喧嘩しているのかもよくわからず、仲直りもなんとなくって感じで消化不良でした。ゲームの中で二人の間の亀裂と修復がきちんと描かれていたら「スペンサーは、ジュマンジの中でまたひとつ大人になったんだね~」と納得できたのに。そこがちょっと残念……。

とはいえ、にぎやかで楽しい作品であることはたしかなので、頭空っぽにして友達同士でイエ~イと楽しんでください!

執筆=斎藤 香 (c)Pouch

ジュマンジ/ネクスト・レベル
(2019年12月13日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)
監督:ジェイク・カスダン
出演:ドウェイン・ジョンソン、ジャック・ブラック、ケヴィン・ハート、カレン・ギラン、ニック・ジョナス、ダニー・デヴィート、ダニー・グローヴァー、アレックス・ウルフ、モーガン・ターナー、サー・ダリウス・ブレイン、マディアス・アイズマン、オークワフィナ