【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします

今回ピックアップするのは、女子力炸裂の痛快アクション映画『ガンパウダー・ミルクシェイク』(2022年3月18日公開)です。

主演は以前Pouchでもご紹介した『ジュマンジ/ネクスト・レベル』や『アベンジャーズ』シリーズにも出演している、とにかくアクションがキレキレでかっこいい女優、カレン・ギランさん。その彼女がヒットマンとして大暴れするのが本作なのですが、ただのアクション映画ではありません。

女性たちがめちゃくちゃかっこいいアクション映画なんです。では物語から。

【物語】

殺し屋の母(レナ・ヘディさん)にダイナーに置き去りにされた少女時代のサムは、母の元上司ネイサン(ポール・ジアマッティさん)の下で成長し、凄腕の殺し屋になりました。

ある日、ボスの指示で大金を横取りした会計士の男と対峙したサムは、殺すつもりはなかったのにもみ合いで男を撃ち殺してしまいます。このままでは会計士の8歳の娘エミリー(クロエ・コールマンさん)の命が危険にさらされてしまう。彼女はエミリーを連れて逃亡。しかし、大金を取り戻そうとネイサンの手下が2人を追いかけてきて……。

【ガールズアクションの快作!】

まずお伝えしたいのは……めちゃくちゃ面白かったです!

母に捨てられたサムの過去や一緒に逃げるエミリーの父を亡くした悲しみなど、シリアスな背景がありながらも、スピーディな展開とポップな映像とキレキレのアクションシーンの連続で、めちゃくちゃテンションが上がるアクションエンタメに仕上がっています。

サムがエミリーを連れ、追っ手から逃げまくるというのがメインのストーリー。

ですが、サムに武器を提供するベテランの殺し屋女子トリオ(ミシェル・ヨーさん、アンジェラ・バセットさん、カーラ・グギーノさん)がクールに登場したり、ネイサンが送り出したマヌケな殺し屋3バカトリオがダメっぷりで笑わせたり。

銃撃戦だけでなく、肉弾戦にカーアクション、様々な武器を多用したアクションなど、見せ場に次ぐ見せ場でまったく飽きません!

【アクションの舞台や武器にも様々な工夫が】

サムが悪党と対決する場所も楽しい。サムに協力するベテランの殺し屋トリオのアジトは図書館、悪党と大アクションを繰り広げるのはオシャレな照明のボーリング場、3バカトリオとは病院で格闘!

武器は銃だけでなく、ボーリングの球や、パンダのスーツケース、釜やぶっといチェーン、そして拳にまわし蹴りも炸裂させちゃういます!

【ドラマも充実、満足度高い!】

物語の後半には、サムの母も登場。娘を思う母の気持ちにもけっこうグっとくるものがあるのですが、サムとエミリーの関係性もじんわり胸に響きます。

サムはエミリーの父を撃ってしまったことをなかなか彼女に打ち明けられないんですよ。エミリーを必死に守るのも、殺してしまった罪悪感もあったんだろうな。

真実を打ち明けるのか否かは映画を見ていただきたいのですが、ドラマもしっかり描かれており、これが本作の満足度に繋がっていると思います。

ちなみに、サムは最初、ハットとコートでかっこよく登場するのですが、途中から鮮やかなボウリングジャケットスリムなパンツに着替え、これがすごくいい!

ファッション性もあり、かっこよくてスカっとする『ガンパウダー・ミルクシェイク』、オススメです。

執筆:斎藤香 (c)Pouch
Photo:©2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved.

『ガンパウダー・ミルクシェイク』
(2022年3月18日より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー)
監督・脚本:ナヴォット・パプシャド
出演:カレン・ギラン、レナ・ヘディ、カーラ・グギーノ、ミシェル・ヨー、アンジェラ・バセット、ポール・ジアマッティほか
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