2020年1月1日の朝日新聞など朝刊に掲載された、そごう・西武の広告「わたしは、私。」が話題になっています。

幕内最小の力士「炎鵬(えんほう)」を起用したこの広告は、文章を読んでみると「どうせ奇跡なんて起こらない」「勝ち目のない勝負はあきらめるのが賢明」などとてもネガティブな内容。

けれど、これが少し見方を変えるだけで、一気に形勢逆転に! 目にした人からは「むちゃくちゃ鳥肌たった」「電車の中で見てボロ泣きした」などの声があがっています。

【厳しい時代、大逆転なんて無理……?】

2019年に大相撲夏場所で新入幕した炎鵬晃(えんほう あきら)は、幕内最小・最軽量となる168センチ・98キロ。「小兵」と例えられる体でありながら大柄な力士にまっすぐ果敢に挑む姿が多くの人を魅了し、昨年は大躍進を遂げました。

今回の広告では、炎鵬がまわし姿ですっくと立つ写真の上に次のようなコピーが掲げられています。

大逆転は、起こりうる。
わたしは、その言葉を信じない。
どうせ奇跡なんて起こらない。
それでも人々は無責任に言うだろう。
小さな者でも大きな相手に立ち向かえ。
誰とも違う発想や工夫を駆使して闘え。
今こそ自分を貫くときだ。
しかし、そんな考え方は馬鹿げている。
勝ち目のない勝負はあきらめるのが賢明だ。
わたしはただ、為す術もなく押し込まれる。
土俵際、もはや絶体絶命。

そして、ポスターのいちばん下には「さ、ひっくり返そう」という大きな文字。

「勝ち目がなくても立ち向かえ」「自分らしさで乗り切れ」「今年こそ、今の状況をひっくり返していけ」……ハイハイ、こんなのよく言われることだけど、それができたら苦労しないよ。

自身の身の上と照らし合わせ、共感しながらもため息をついた人も多いかもしれません。

【「ひっくり返そう」の言葉どおり反対から読むと……?】

けれど、ちょっと待って。赤文字で小さく

「ここまで読んでくださったあなたへ。文章を下から上へ、一行ずつ読んでみてください。逆転劇が始まります。」

との文章も添えられているではないですか!

言われたとおり、コピーをひっくり返して読むと……

土俵際、もはや絶体絶命。
わたしはただ、為す術もなく押し込まれる。
勝ち目のない勝負はあきらめるのが賢明だ。
しかし、そんな考え方は馬鹿げている。
今こそ自分を貫くときだ。
誰とも違う発想や工夫を駆使して闘え。
小さな者でも大きな相手に立ち向かえ。
それでも人々は無責任に言うだろう。
どうせ奇跡なんて起こらない。
わたしは、その言葉を信じない。
大逆転は、起こりうる。

あらら、まったく正反対のポジティブで希望にあふれた文章になる……!!

「どうせ奇跡なんて起こらない。わたしは、その言葉を信じない。大逆転は、起こりうる。」。劣勢にあっても自分らしさを貫いて勝負しようというメッセージに胸が熱くなります。

小さな体で大きな相手に立ち向かい続ける炎鵬との組合せだからこそ、なおさらこのコピーが心に迫ってきますね。

【ポジティブなメッセージに励まされる!】

新年早々、多くの人が勇気づけられたそごう・西武の粋な広告。ぜひ皆さんも全文を下から読んでみてください。

なお、昨年は女優の安藤サクラさんが顔に真っ白なパイを投げつけられるという衝撃的な広告で物議を醸した同企業。“話題を呼ぶ広告”という意味では今後も目が離せなそうです。

参照元:西武・そごうプレスリリース
執筆:鷺ノ宮やよい (c)Pouch
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