【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは人気シリーズ最新作『るろうに剣心 最終章 The Final』(2021年4月23日公開)です。人気コミックを佐藤健主演&大友啓史監督で実写映画化した本シリーズの最後は『るろうに剣心 最終章 The Final』と『るろうに剣心 最終章 最終章 The Beginning 』(2021年6月4日公開)の二部構成。

最初に公開される『るろうに剣心 最終章 The Final』は、剣心の頬の傷と人を斬らずに戦い抜く理由が明かされます。もう興奮しまくり感動しまくりでしたよ! では物語から。

【物語】

緋村剣心(佐藤健)は、神谷道場で、神谷薫(武井咲)など、いつもの仲間と平穏に暮らしていました。

しかし、その平和も何者かの砲撃で壊されてしまいます。内務省警視局の藤田五郎(江口洋介)によると、中国の裏社会の武器商人の男から「抜刀斎(剣心)の頬にまだ十字の傷はあるか」と聞かれたといいます。

次々と身近な者が襲われていく中、ついにその男が正体を現しました。その名は雪代縁(新田真剣佑)。彼は、剣心が誰にも語っていなかった過去を知っていたのです。

【剣心と愛する女性の過去が明らかに】

試写で見せていただきましたが、ひとこと「超絶おもしろかった!」です。

138分という長尺を感じさせないテンポの良さ、アクションのスピード感、剣心の過去のエピソードの感動など、実に熱い作品でした。

メインのエピソードはやはり、「人斬り抜刀斎」と呼ばれた剣心が、人を斬らないと誓い、切れない刀「逆刃刀」を持つようになった理由です。ネタバレになるから詳細は避けますが、そこには愛する女性(有村架純)の存在がありました。

剣心にもラブラブな日々があったんです! 彼女の弟が縁。

剣心が人斬りをやめた理由と縁が剣心を憎む理由は、3人のドラマチックなエピソードに隠されています。これがとても切なくて……。

【佐藤健VS真剣佑のバトルがすごすぎる!】

アクションのハイライトはやはり剣心VS縁でしょう。真剣佑が演じる縁はめちゃくちゃ強い! あのたくましい二の腕から振り下ろされる剣の威力、身のこなしの素早さ、敵役なのに、かっこよすぎるのです!

もちろん剣心も負けてはいません。元・人斬り抜刀斎ですから、剣と逆刃刀に持ち替えても強い強い!

身のこなしはスパイダーマン級に素早く、どこでも飛び回り走り抜けてしまい、もはや超人的です。

佐藤健さんはシリアス演技もできるし、王子様もできるし、アクションもできるし、改めて本当に何でもできるんだなと。ここまで芝居の幅が広い人って珍しいというか、凄いとしか言いようがない!

本作では縁が、剣心への怒りのパワーを爆発させてガンガン攻めまくるので、剣心はどちらかといえば受け身。

なんとしてでも剣心を仕留めたい縁と一発逆転を狙いながら身をかわす剣心というような闘い。後半のバトルは本当に心臓バクバクするほどの迫力でしたよ!

【いつもの仲間が大集合のにぎやかさ】

人気シリーズだけあって、登場人物はおなじみですし、全員キャラが立っているので、誰かが出てくるたびに「来た~」となるのがまた楽しい。

剣心と薫の関係もよくて、思いを寄せる剣心にかつて愛した女性がいたことを知っても、薫はその思いにも寄り添うんです。そんな薫だからこそ、剣心も彼女にやさしい。二人の仲が進展するか否かにも注目してほしいですね。武井咲さん、すごくよかったです。

とにかく見どころしかない『るろうに剣心 最終章 The Final』。本作を観たら、きっと「早く『るろうに剣心 最終章 The Bginning』が観たい!」と思うはず。まずは『るろうに剣心 最終章 The Final』を思う存分楽しんで『~The Bginning』に備えましょう。

執筆:斎藤 香(C)Pouch

るろうに剣心 最終章 The Final
(2021年4月23日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)
監督/脚本:大友啓史
音楽:佐藤直紀
主題歌:ONE OK ROCK
原作:和月伸宏「るろうに剣心−明治剣客浪漫譚」(集英社ジャンプ コミックス刊)
出演:佐藤健 武井 咲 新田真剣佑 青木崇高  蒼井 優 伊勢谷友介 土屋太鳳/三浦涼介 音尾琢真 鶴見辰吾 中原丈雄/北村一輝 有村架純 江口洋介

©和月伸宏/集英社 ©2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning 」製作委員会