【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、ハリウッドの話題作『ゴジラvsコング』(2021年7月2日公開)。本作は「モンスター・バース」シリーズの4作目。ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』(2014)『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)に続く作品です。

コロナ禍でハリウッド大作はしばらくご無沙汰でしたが、久々のスケールの大きなエンタメ作品となります。それもゴジラとキングコングがガンガン闘うド派手さがうれしい! キャッチコピーは「地球最大の究極対決!最強はどっちだ!!」ですからね。

さらに今回は小栗旬がハリウッド映画に初参戦なので、役柄にも注目してご紹介します。まずは物語から。

【物語】

モンスターの闘いで壊滅状態の地球でしたが、人類は各地で再建を計っていました。そんな中、ゴジラが深海から現れ、米国フロリダのハイテク企業エイペックスを襲います。ゴジラはなぜエイペックスを襲ったのか……。

同社のCEOは、ゴジラの対抗措置として、キングコングをスカルアイランド(髑髏島:どくろとう)からフロリダに連れ出し、怪獣のルーツを探ろうとするのですが、再びゴジラが姿を現します。

【ゴジラvsコングのビッグファイトは大迫力】

『ゴジラvsコング』は、ぜひ大スクリーンで観ていただきたい映画‼︎ もう巨大生物のプロレスを見ているような感じで、ガッツリ肉弾戦! 海上でのバトルあり、香港に移動してのバトルあり、最終的にはエイペックス社の秘密兵器が登場して3体の闘いが展開されていくのです。

怪獣VSモンスターの闘いなので、ビッグファイトにひたすら大興奮できるのが見ていて爽快です! 個人的に「ゴジラ怪獣だから強いはず!」と思っていたけど、キングコングもなかなかな戦いっぷり。互角の闘いだからこそ、迫力が増したのでしょう。

【続編だけど、前作観ていなくてもOKな理由】

過去作を見なくても、今作でさまざまな理由が描かれています。なぜゴジラが深海から登場したのか、なぜコングを髑髏島から連れて来たのか? そこには、腹黒い人間の陰謀が背後に渦巻いていた……というエピソードが登場します。

また、今回はキングコングが主演、ゴジラ助演的なポジションでした。キングコングは、独自のモーニングルーティーン的なものがあり、意思の疎通ができる少女との交流など、バトル以外の見せ場もあります。

一方、ゴジラは最初から最後までワイルドにバトル一辺倒。それはそれでかっこよかったからいいんですけど、若干キングコングの方が魅力的に描かれていたように感じました。

【小栗旬の扱いは…物足りない!】

ハリウッドデビューといえば、かつて『バイオハザード:ザ・ファイナル』で騒がれたローラが、映画を観たら秒殺されてガッカリということがありましたが、小栗旬さんはそんなことはありませんでした。

小栗旬が演じるのはハリウッド版ゴジラシリーズに登場した芹沢猪四郎(渡辺謙)の息子、芹沢蓮。父親は特別研究機関モナークの生物学者で、ゴジラとの共存を訴えていたけど、蓮はエイペックスに所属しており、父の後を追ってはいない様子。いまひとつ何を考えているのかわからないミステリアスな男です。

しかし……蓮というキャラクターを演じきった感はなかったような印象。日本で主演映画が多く作られるスター俳優なのに、あまり演技の見せ場はありません。印象に残っているのは、白目をむいて苦しむシーンで、観ていて少々辛かったです……。

と、なんだかんだと書きましたが、とにかくゴジラとキングコングのファイトシーンを見に行くつもりで劇場へ。怪獣VS巨大モンスターの全力のバトルをノリノリで鑑賞してください!

執筆:斎藤香(c)Pouch

『ゴジラvsコング』
(2021年7月2日より、全国東宝系にてロードショー)
監督:アダム・ウィンガード
出演:アレクサンダー・スカルスガルド ミリー・ボビー・ブラウン レベッカ・ホール ブライアン・タイリー・ヘンリー 小栗 旬 エイザ・ゴンザレス ジュリアン・デニソン カイル・チャンドラー デミアン・ビチル
(C)2021 WARNER BROTHERS ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.

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