牛タンといえば、焼肉屋や専門店があるほど人気で馴染みがある食材ですよね。

しかし、国が違えば価値も異なるわけで。私が住んでいたアイルランドでは、国が貧しい時代の「貧乏食」のイメージが強いそうな。しかも食べる人が少ないためか、激安で牛タンを手に入れることが出来るとのこと!

日本で牛タンをお腹いっぱい食べるとなると、かなり高額になるのでこれはチャンス! 実際に購入し、必死に捌き、アイルランド風の食べ方と日本風の牛タン塩で食べてみました。

(※この記事は衝撃画像があるのでご注意ください。その都度カウントダウンします)

【牛タンまるごとで約1400円】

今回購入した牛タン1本は1.4kgで、価格は11ユーロ(約1400円)。

日本のコストコでも丸ごと牛タンが販売されているけど、そちらは5000円前後するのでこれは破格!

さっそく、丸々1本の牛タンをアイルランド式と日本式で調理していきます。

ここからは少々生々しい画像が登場するので、苦手な方のために完成した2品の画像を先にご覧ください!

アイルランド式:Boiled Tongue(茹でタン)!

日本式:厚切りタン塩!

【処理前の牛タンにビビる】

お肉屋さんで事前に予約し、待つこと1週間。

はやる気持ちを抑えて購入しに行くと、よほど珍しいのか「これを調理するなんて勇気があるね」と、店員さん達から感心される始末。

そんな大袈裟な……と思いつつ袋を開けてみると、想像以上の “舌” 感のインパクトに怖気づく。










(モザイクかけているけど平気なひとだけ見てね)






THE牛の舌が紐でぐるっと丸められていました。伸ばしてみるとまな板を飛び越える長さ。舌先はおろし金のようにザラザラしており、カッチカチ。

見た目の強さに圧倒され、これ自分が捌くの? え、嘘でしょ? と怖気づきそうになりました。が、牛タン食べたいので勇気を振り絞ってトライです!

【怖すぎて手が震える】

まずは時間の掛かるBoiled Tongue(茹でタン)からスタート! アイルランドで1960年に発行されたレシピ本を参考にしました。

工程はシンプルで、冷水に数時間浸し、長時間煮込んで皮をむくだけ。

弱火でコトコト煮込むこと3時間……茹で上がった牛タンがこちら。


ヒィィィーーー!! 煮込んだら生々しさが減るかと思いきや、なおも変わらぬ存在感。むしろ舌のザラザラ感が更に強まり、皮の固さも増しています。日々食肉加工している人たちに感謝が止まらなくなります。いざ、皮をむくぞ……!

しかし、手が震えて包丁が思うように動かず、厚むきに。今回の調理工程で最難関でした。

【ホロホロのお肉がうんまい!】

なんとか切り終え、いざ実食!

付け合わせのソースは、ワサビやカラシなどピリッと系ではなく、モッタリ系がアイルランド流。レシピ通りに、有塩バターと砂糖の甘じょっぱい “Creamed butter” を添えました。

うんんまーーーーーっ!!

長時間煮込んでいるので、箸で切れるくらいやわらかくホロホロ。苦労しただけあって美味しさが体に染みる!

味わいはコーンビーフのように超こってりな肉の旨さ。ここに濃厚なバタークリームと合わせるため、凄まじく濃い味わい。

たくさん食べるのは難しかったけど、ワサビやカラシがあったら、もっと食べれたかも?

【日本風のタン塩で気がつく新鮮さ】

続いては日本風のタン塩を作っていきます! どんどん捌いていると見慣れた牛タンの姿に。

生々しい見た目に気を取られていましたが、生臭さが一切なく鮮度が良いことに気がつきました! 自分好みの厚さに切り、お皿に盛り付けていくと……

ジャジャジャジャーン! 日本では贅沢な厚切り!

3~4人前が500円で作れるなんて、日本では信じられないくらい激安ですよね。

ゴマ油をひいたフライパンに、塩コショウとレモンをかけて。

柔らかくて噛むほどに旨みが出てきて美味しい!

まるで日本の高級焼肉屋で食べているかのような満足感でした♡

【余すところなく堪能】

そして思わぬ産物だったのが、ゆで汁が絶品だったこと!!


ゆで汁に刻みねぎとゴマを加え、黒コショウをガリっとしただけ。

焼肉屋さんでビビンバを頼むと付いてくるような、旨味がぎゅっと凝縮されたスープ

これだけのために茹でタンを作ってもアリなくらい美味でした!

【命を頂くということ】

調理前こそ「牛タンが激安で買える!」と、意気揚々としていました。

けれど終わってみると、月並みな言葉だけれど「命を頂いている」意味を改めて考えさせられました。

この苦しい工程をやってくれているお肉屋さんにも本当に感謝。

アイルランドまで牛タンを買いに行くのは現実的ではないかもしれません。

でも牛タンを捌く機会があれば、ぜひチャレンジしてみて欲しいです!

撮影・執筆:香月実穂
Photo:(c)Pouch