【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、人気コミックの実写ドラマで人気を博した「極主夫道」の劇場版『極主夫道 ザ・シネマ』(2022年6月3日公開)です。個人的に「いま、玉木宏がジワジワ来ている!」と思っているので、鑑賞したのですが……振り切った演出&芝居で楽しかったです! では物語から。

【物語】

誰もが恐れていた伝説の極道“不死身の龍”こと、黒田龍(玉木宏さん)は、美久(川口春奈さん)との結婚で極道の世界から足を洗います。働く妻の美久を支えるため、得意の家事をこなしながら、血の繋がらない娘・向日葵(白鳥玉季さん)と3人、平和に暮らしていました。

そんな彼の前に、極悪な地上げ屋・近藤(吉田鋼太郎さん)が現れます。

近藤は、白石園長(安達祐実さん)が務める保育園の土地を狙っており、執拗な嫌がらせをしていました。龍は元舎弟の雅(志尊淳さん)と共に、保育園を守ろうと行動に移します。ところが同じ時期に、龍と美久の家に捨て子が……。これが大問題に発展してしまうのです。

【豪華俳優陣が振り切ったコメディ演技を炸裂させる!】

実は私、ドラマ版は未見だったのですが(すみません!)、それでもすぐに『極主夫道』の世界にスッと入っていけました。演出、お芝居ともにオーバーなのですが、このハイテンションが効果大!

映画の冒頭から俳優陣がアゲアゲの演技で、観客を大いに煽ってくるので「この波に乗っちゃえ!」という気にさせてくれるのです。

加えて、この俳優陣が超豪華! かつ、皆さん素晴らしいんですよ。特に男優陣が凄くて、主演の玉木宏さんはもちろんですが、吉田鋼太郎さん、志尊淳さん、滝藤賢一さん、竹中直人さん、古川雄大さんという演技巧者がズラリ。この実力者たちが、笑いに徹して、身振り手振り激しく、声のボリュームもMAXで大熱演! 大人の俳優たちが、笑いを追求して振り切った芝居を見せる姿がとても楽しく豪快で、まさにザ・エンタテインメントな世界が繰り広げられるのです。

【玉木宏の素晴らしさを堪能】

特に魅力的なのは、やっぱり玉木宏さんですね。

紳士的で大人の男の色気に溢れた玉木さんが、元極道の仕草や言葉遣いが抜けないまま、家事を懸命にやっている。その姿は最高に面白くてかっこいい。ご近所さんを周り、自治会費を回収するだけなのに、極道仕込みの言動なので、借金の取り立てに見えてしまう……。そんな姿もチャーミングなんです。

また玉木さんは声がとてもいいので、啖呵切っても、叫んでも声に聞き惚れてしまう〜。この映画で改めて玉木宏さんの魅力を再確認しました! 現在、話題のドラマ「日曜劇場 マイファミリー」(TBS)でもメインキャストとして大活躍していますし、玉木宏ムーブメント、きそうな気がします!

【残念なのは夫婦に見えないこと】

ただ、個人的にちょっと残念なのは、玉木宏さんと川口春奈さんが演じる龍と美久があまり夫婦に見えないこと。これはドラマ版から継続して見ていないからかもしれないのですが、どうしても美久は龍の姪っ子みたいに見えてしまって。原作漫画の美久の年齢と川口さんの年齢はほぼ一緒だから問題ないはずなんですけどね。川口さんが、童顔だからでしょうか?

とにかく馬鹿馬鹿しさをフル稼働させた作品なので、大いに笑って、日々の疲れとモヤモヤをスカッとすっ飛ばすのに最適でおすすめです!

執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:(C)2022「極主夫道 ザ・シネマ」製作委員会

極主夫道 ザ・シネマ
(2022年6月3日より、全国ロードショー)
原作:おおのこうすけ「極主夫道」(新潮社バンチコミックス刊)
監督:瑠東東一郎
出演:玉木宏 川口春奈 志尊淳 古川雄大 玉城ティナ 松本まりか 滝藤賢一 安達祐実 吉田鋼太郎 稲森いずみ 竹中直人
(C)2022「極主夫道 ザ・シネマ」製作委員会