【最新公開シネマ批評】映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、なにわ男子の道枝駿佑さんの初主演映画『今夜、世界からこの恋が消えても』(2022年7月29日公開)です。原作は一条岬の同名小説。記憶障害の女子高生と彼女を支える恋人の物語なのですが、もう道枝くんが美しくって……!

それでは、物語から。

【物語】

神谷透(道枝駿佑さん)は、心優しい高校生男子。少々乱暴なクラスメイトに無理やり、日野真織(福本莉子さん)に告白をしろと命じられ、彼女に嘘の告白をすることに。そんな透を真織は「いいよ!」と受け止めます。

しかし、そのお付き合いは「絶対に本気で好きにならないこと」という条件付きでした。

2人は気が合い、お互いに気持ちが傾きかけたとき、真織は透に「前向性健忘」であることを告白。そう、彼女は眠るとその日にあったことを全て忘れてしまうという記憶障害を持っていたのです。

【道枝くんの美しさと儚さを思い切り堪能!】

結論から申しますと、道枝くんが美しかった! 作品も清らかで純粋な恋愛映画でよかったのですが、作品のグレードをより引き上げていたのは道枝くんではないかと。とにかく役にピッタリだったんですよ。

関西出身のわりには、関西弁でガンガン喋り倒すタイプではなく、おとなしそうな道枝くん。「俺に任せろ」と女の子をぐいぐい引っ張っていくよりも「ずっとそばにいるよ」と優しく微笑むような、癒し系美男子の彼だからこそ記憶障害に苦しむ彼女を包み込むように優しく支える恋人役がハマっていたんだと思います。

真織が翌日に何も覚えていないことがわかっていても「日野の毎日をとにかく楽しいものにしたいんだ」という透。また、真織じゃなくて「日野」と苗字で呼ぶところも良き! クラスメイト同士の恋愛って感じで、青春を感じさせます。

全編にわたり、本当に爽やかで、道枝ファンの女子全員がスクリーンに映し出される道枝くんの美しさにウットリしてしまうこと必至です!

【思いがけない仕掛けのあるラブストーリー】

病や障害を抱えた恋人を献身的に支えるラブストーリーは、これまでも数多く観てきましたが、この映画の後半の物語には少々驚きました。だって、ミステリーのどんでん返しとは違う、切なさが倍増するは展開なんですもん。ビックリというより、「そんな…」と胸が痛くなるような感じです。

これはもう、ぜひ劇場で観ていただきたい!

【演技派女優・古川琴音の底力!】

また透と真織の恋愛を支える、真織の親友の泉(古川琴音さん)もよかった。毎日、記憶がリセットされてしまう真織をサポートする泉がいなかったら透との関係もどうなっていたことか……。真織と泉の固い友情が、この映画の脇をしっかり締めていると感じました。

ドラマ「コントが始まる」(2021/日本テレビ)映画『偶然と想像』(2020)など、多方面で活躍中の演技派・古川琴音さんの的確なお芝居もこの作品の見どころです。

そして、真織を演じる福本莉子さん! 清潔感があって、道枝くんとの2ショットがとても美しかったです。

猛暑の夏に爽やかな風を運んでくれる青春ラブストーリー『今夜、世界からこの恋が消えても』、オススメですよ。

執筆:斎藤 香(c)pouch
Photo:(C)2022「今夜、世界からこの恋が消えても」製作委員会

今夜、世界からこの恋が消えても
(2022年7月29日より全国ロードショー)
監督:三木孝浩
原作:一条岬「今夜、世界からこの恋が消えても」(メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)
出演:道枝駿佑(なにわ男子)、福本莉子、古川琴音、前田航基、西垣匠、松本穂香、野間口徹、野波麻帆、水野真紀、萩原聖人