【最新公開シネマ批評】映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、2019年に大ヒットした『翔んで埼玉』の続編『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』(2023年11月23日公開)です。GACKTさん、二階堂ふみさんが前作から引き続き出演し、新キャストに杏さん、片岡愛之助さん、藤原紀香さんが参加していて豪華!
試写で見させていただきましたが、今回もめちゃくちゃ面白かったですよ。では、物語から。
【物語】
東京都民から蔑まされていた埼玉県人ですが、麻実麗(あさみれい / GACKTさん)と壇ノ浦百美(二階堂ふみさん)の活躍で、東京への通行手形は撤廃。東京⇔埼玉間は自由に行き来できるようになり、埼玉県人に平和が訪れました。
さらなる平和を求めて麻実は「日本埼玉化計画」を実行しようと、越谷に海を作る計画を立てます。
和歌山県の白浜から美しい砂を持ち帰ろうと、麻実は仲間とともに大海原へ。しかし、嵐で船は難破し麻実は和歌山の海に漂着してしまいます。
そこに現れたのが、滋賀解放戦線の桔梗魁(ききょうかい / 杏さん)。麻実は彼女から、大阪府知事・嘉祥寺晃(かじょうあきら / 片岡愛之助さん)、その妻の神戸市長(藤原紀香さん)、京都市長(川崎麻世さん)が関西を支配していることを聞かされるのです……。
【今度は和歌山や滋賀がディスられる!?】
埼玉県をディスりながらも愛情&笑いたっぷりに描いて大ヒットした『翔んで埼玉』ですが、続編である本作は関西の地元バトルに関東から参戦します!
滋賀県、和歌山県、奈良県で暮らす人々は非人道的に扱われ、和歌山の白浜は大阪のリゾート地になっていました。和歌山県人が地元の海を楽しめないなんてひどい!
まさに前作における埼玉のような扱いで、麻実がかつての自分たちと重ね合わせ胸を痛めたのも無理はありません。
【麻実と桔梗にラブの予感?】
そんな和歌山をはじめ、滋賀、奈良の平和を取り戻そうと闘うのが桔梗。麻実は桔梗に協力しつつ、和歌山の白い砂を持ち帰ろうとするのですが、そんな中、芽生える麻実と桔梗のラブ!
しかし、そこで気になるのは麻実の恋人・百美の存在。実は百美、浦和 VS 大宮など、関東県内の内輪揉めを解決するために残ったんです。恋人の麻実に置いていかれるし、内輪揉めに巻き込まれるしで、本作の百美……ちょっと不憫です。
【関西軍団の情け容赦ない攻撃】
いっぽう、関西バトルで、麻美&桔梗の連合軍と戦う関西のトップ3のひとり、大阪府知事の嘉祥寺晃は、まさに関西の王様。麻実を捕らえ、徹底的にいじめ抜きます。実は嘉祥寺は日本を我が物にしようと壮大な悪巧みをしていたのです。
しかし、麻実はやられっぱなしじゃありません。その悪の計画を阻止するために反撃に転じるのですが、その方法がいい! 埼玉県愛に溢れ、笑いとともにスリルと感動もあって最高なんですよ!
この映画が素晴らしいのは、どんなに突拍子もない展開になっても、ベースにしっかり地元愛が流れているところ。だからどんなに大袈裟な茶番劇でも、見終わったあとにほっこりするのです。
【前作に負けないクオリティでした】
続編はオリジナルと比べられ、ハードルが上がるものですが『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』は、前作を超えたかも。そんな風に思いました。
また俳優陣も大熱演。GACKTさんが麻実麗役に注ぐ情熱、片岡愛之助さんの怪演に加え、嘉祥寺の妻・神戸市長役は愛之助さんの実の奥様・藤原紀香さんというのも攻めたキャスティング! 紀香さんノリノリでしたよ。
ただ、ひとつ残念なのは、百美が関東に残ったので百美と麻実の絡みが少なかったこと。とはいえ、埼玉の平和を守るために孤軍奮闘する百美を演じた二階堂ふみさん、今回も素晴らしかったです!
スカッとしたい人、爆笑したい人はぜひ、大いなる茶番劇『翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜』を大スクリーンで観て、コッテコテの笑いを楽しんでください!
執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:©2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会
『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』
(2023年11月23日より全国ロードショー)
監督:武内英樹(「のだめカンタービレ」シリーズ、「テルマエ・ロマエ」シリーズ、「ルパンの娘」シリーズほか)
原作:魔夜峰央『このマンガがすごい!comics翔んで埼玉』宝島社)
出演:GACKT 二階堂ふみ 杏 片岡愛之助 ほか
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