[公開直前☆最新シネマ批評]

映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今週のピックアップ作品は、いよいよ明日公開の同名ベストセラーで社会現象にもなった『もし高校野球の女子マネージャーがドラッガーの「マネジメント」を読んだら』です。

AKBの前田敦子主演という製作ニュースのときから話題沸騰だったこの映画。AKBのエース前田は人気があり、主演というのも納得! でしたが、AKBファンの間では「なんで前田?」という声も。それもそのはず、この映画のヒロイン・川島みなみのモデルはAKBの峯岸みなみ、なのです。

原作の岩崎夏海氏は「峯岸みなみは感性豊かでセンスもあるのに、なかなか前に出て来られない性格で、物事を悪い方に考えがちな女の子。自分もそういう子供だったので彼女に共感できたし、彼女がこんな人になりたいと思えるヒロインにしたかった」と語っています。(参照『もしドラ』の公式HP)

それなのになぜ前田敦子がみなみ役を演じるのか……。これには、いろいろな憶測が飛び交っておりますが、真実はナゾ。ただAKBの誰かがヒロインを演じるのは、当然のなりゆきだったようです。なぜなら作者の岩崎氏はもともと秋元康事務所のスタッフ。現在は事務所を離れていますが、AKB結成時は事務所におり、そのプロデュースにもかかわり彼女たちの成長を近くで見てきたのです。

『もしドラ』ベストセラー→映画化→主演AKBは、『もしドラ』原作者→元AKBスタッフなのだから、当然話はそちらに行くでしょう。そして映画化するにあたり、ヒロインのモデルとなった峯岸みなみは、ヒロインの友人でマネージャーのひとり北上文乃役で出演。

実はこの文乃役も、モデルはAKBの渡辺麻友だったのです。そしてヒロインの大親友の夕紀はAKBの大島優子という噂が。この原作のモデルは、みんなAKBのようです。しかし、夕紀役はAKBメンバーではない女優の川口春奈(ファッション誌ニコラの元モデル)が演じています。原作で脇役の夕紀を、前田と人気トップを争っている大島に演じさせるわけにはいかないということなのかも???

裏話は黒い(!?)大人の事情がからみ、映画本来の魅力が薄れていきがちですが、本作そのものはアイドル映画として爽やかな良い仕上がりです。夏、真黒になった野球部員たちの汗だくのプレーは爽快! に見えますが、撮影は真冬。スタッフがグラウンドの雪かきしながらの撮影だったそう。キャストは凍えそうな中、半袖で「夏、暑い!」という顔で頑張り抜いた映画『もしドラ』。ドラッガーの名言をヒントに弱小バラバラ野球部をひとつにしていく、女子マネの奮闘を楽しんでください。(映画ライター=斎藤 香)

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッガーの「マネジメント」を読んだら』

公開日:2011年6月4日(土) 全国東宝系ロードショー

監督:田中誠

出演:前田敦子、瀬戸康史、峯岸みなみ、池松壮亮、川口春奈、大泉洋、西田尚美ほか

製作:「もしドラ」製作委員会

(C)2011「もしドラ」製作委員会

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ライタープロフィール(http://bit.ly/hlZYAr