「夏の体は冷えている」「冷房や冷たい飲み物の影響で体が冷えている」と聞いたこと、ありますよね。最近は節電の影響で、「冷房は控えめにして、その代わりに冷たいものを飲んで涼しくなろう」と、特に体の中から体を冷やしている人も多いのだとか。そんな状態に「冷えは万病のものだ」と警鐘をならす専門家がたくさんいます。そして冷え対策としてよく言われるのが、「湯船で体を温めましょう」ということ。

わかっちゃいるんですけどね。夏のお風呂って、もう暑くて熱くて考えるもの嫌なんです。あの、湯船のふたを開けたときにむわっとくる湯気がもう記者の「我慢の限界スイッチ」を一瞬で押しちゃうんです。みなさんはいかがですか? ちゃんと湯船につかっていますか? とくに一人暮らしだと、お湯ももったいない気もしちゃって、夏場はシャワーだけですましてしまう人も多いのではないでしょうか。

そんな「湯船につかることの効果はわかっているけど、夏場にはやっぱりシャワーだけ」派の方に、朗報です。かなりずぼらな記者(私)でもちゃんと続けられる夏期の簡単&冷えない入浴用』があるのです。はっきり言って、この入浴法を記者が独自で考案したものとしてお伝えしたら、一笑に付す方もいるかもしれません。しかし、この入浴を教えてくださったのは、薬剤師と針灸師の資格を持ち、日本漢方を長年に渡り研究してこられた、古村和子先生。つまり、きちんと考えられた上での入浴法ですよ!

というわけで、さっそく紹介します。

古村先生の提案する『夏期の簡単&冷えない入浴法』

1.空っぽの湯船に栓をして、中に入って座る。
2.座ったまま、いつも通りシャワーで体にお湯をかけたり、シャンプーやトリートメントをしたり、顔や体を洗ったりする。
3.最後に立った状態で全身にシャワーでお湯をかけて洗い流し、湯船も洗ってから浴槽を出る。

簡単でしょ? できそうでしょ? 冬に海外に行って、ホテルなどのユニットバスでどうしても湯船につかりたくなっちゃった場合の入浴方法に似ていますね。

この入浴法について、古村先生に詳しく伺ってみました。
「私はいつも、生活の中で無理なく取り入れられる方法を考えています。今回の入浴法もその一つ。冷えは万病のもとなのですが、『シャワー入浴』だと、体の表面は温められ、体の中は温まりません。湯船に入ることが必要です。

しかし、そうはいっても夏場に湯船につかりたくない気持ちもわかります。そこで、入浴時に、足だけでも温めることのできる方法はないかと考えたのです。『シャワー入浴』では体に当たったお湯はすぐに捨てられてしまいますよね。そのお湯を湯船の中に貯めておけば、足を温めることができるのです。」

確かに記者もやってみましたが、現在ショートヘア、かつ大雑把に洗う派の記者でも、体を洗って髪を洗う間に、腰の辺りまでお湯がたまりました。しかも、洗っている間中、足は温められているのでぽかぽかに。でも湯船にお湯をはってつかるよりもかなり楽に温まりました。

でも気になるのは、汚れたお湯にお尻などがつかっちゃうこと。古村先生、この入浴方法、衛生面では大丈夫なのですか?

「そう心配する方もいますが、私たちの皮膚や粘膜は弱酸性になっていて、雑菌を殺す力があるので大丈夫ですよ。もしそうでなければ、温泉や銭湯など、いくら消毒をされているとはいえ、多くの人がつかるお湯に安心して入れませんよね」

確かに。汚れたお湯と言っても自分の汚れだし。でもでもでも、シャンプーやボディソープなどもお湯に入っちゃってますけど、それは大丈夫なのでしょうか?

『シャワー入浴』の場合でも、シャンプーやボディソープは体を伝って流れています。つかるといっても短時間ですので、同じことですよ」

古村先生のご説明ぶりから、「汚れよりも何よりも、冷やさないことが何よりも大事! 冷えというものが本当に体に悪いのだ」ということがひしひしと伝わってきました。

確かにやってみて、足がお湯につかっているだけでぽかぽかになります。足は冷えるとむくみ、むくむと太くなるとも言います。かなり下半身の太さが気になる記者は、この夏はこの入浴法を続けていこうと思います!!

(取材、写真、文=山川ほたる)
取材協力:
漢方専門薬局三健堂 古村和子(http://www.k-komura.com/index_02.html
イラスト 古村江理