あなたはかつてインターネットを中心に話題となったピアノ楽曲、『妖精のエアと死のワルツ』、通称『デスワルツ』をご存知でしょうか。

1980年に当時カリフォルニアの一高校生だったジョン・スタンプ氏によって作曲および著作権登録されたこちらの楽曲は、その類まれなるユーモア性と「一体どうやって演奏すんのよ!?」という想像の遥か上を行く難解さで、一躍話題になりました。

海外サイト『lostinthecloudblog.com』に掲載されたその楽譜の一部を、とにかく見てください。一目見ただけで、この曲がいかに特異で、スタンプ氏がいかに変態か(良い意味で、ですよ!)ということがわかりますから。

『デスワルツ』は、なぜ難解なのか。それは楽譜を見れば一目瞭然ですが、もう少し踏み行って説明してみることにしましょう。

まずこの曲、ひとりでは絶っっっ対に弾くことができません! なぜなら、一度に鳴らす音があまりにもありすぎるから。かなりの大人数を要して、「せーの!」で弾けば不可能でないこともないかもしれませんが、もしひとりで弾くとしたら到底10本の指では賄いきれないし、無理やりにでも実行しようとすれば、確実に指ないし手全体が痙攣を起こすことでしょう。

次に指摘したいのは、楽譜の所々に不可解な演奏指示があるという点。たとえば「ペンギンを逃がせ!」とかね。

当然、「え、いきなりペンギンってどういうことっ!?」ってなっちゃいますよね。でもいいんです。だって『デスワルツ』はスタンプ氏にとって、大真面目に作った楽曲というよりも、美術作品だったのですから。

スタンプ氏は『デスワルツ』のほかにも、『弦楽四重奏曲第556番-b イ短調(自動車事故)』や『ハ長調と嬰ハ短調のための前奏曲と最後の望み:オペラ「アヒルのマーチ」より』などの、超難解かつ変態ちっくな楽曲を作曲しています。こんなことしちゃう人、世界でもスタンプ氏くらいだよね~……と思いきや! 探してみると、あるわあるわ、変な楽譜のオンパレード! いや~、世界って広いのねっ。

一度聴くとその不安定な世界に引き込まれずにはいられなくなる、妖しい魅力を放つ不可思議な楽曲の数々。今回はみなさんのために、スタンプ氏の楽曲をはじめ、そんな曲ばかりたっぷりご用意させていただきました。それではどうぞ、心行くまでお楽しみくださいませ。

(文=田端あんじ)

参考元:lostinthecloudblog.com( http://goo.gl/OnDUw )など

※訂正=「デスワルツ」として当記事がアップしていた動画は、本楽曲とは一切関連のないBGMであると読者の方複数名からご連絡頂きました。大変失礼致しました。

▼ちなみに、こちらが本当の「デスワルツ」とのこと

▼そしてこっちは当記事で「デスワルツ」と誤認して最初に紹介した動画(とはいえ複雑で素晴らしい)


▼世界にはこんなにも不可思議な楽譜が存在しています(BGMはカナダの作曲家マルク=アンドレ・アムラン氏作曲による『サーカス・ギャロップ(自動演奏ピアノのための)』、この曲もまた超変態ちっく!)

▼どう見てもイラストな楽譜、そしてタイトル……突っ込みどころ満載です

▼このふたつも楽譜が真っ黒っ!