「発車しまーす!」の掛け声とともに勢いよく走り出す汽車。そこに乗っていたのは、旅に出る乗客ではなくカレーだった――!!

……と言われても、「は???」と思った方もいるでしょう。でもこれ、ホントの話。東急東横線祐天寺駅近くにある「鉄道ムードのカレー店 ナイアガラ」では汽車がレールを走ってお客さんのところまで注文したカレーを届けてくれるんです!

このお店、どこを切り取っても鉄道ムード一色。まずお店の外からしてスゴイ。コンビニやファストフード店があるようないたって普通の商店街を歩いていると……突如、デゴイチの先頭部分や踏切が出現!! 異彩を放っています。

外観からしてこんななのですから中は推して知るべし! 店の中はもうここ、異空間です。まるで昭和の時代にタイムスリップしたかのよう。昔の駅によくあるような大きな時計、駅の看板、路線地図などが所狭しと並び、テーブルは国鉄(JRでなくあえて国鉄)の座席仕様。

ここではすべてが鉄道スタイル。たとえば、呼び方は食券ではなく「乗車券」、カレーの辛さは特急(辛口)、急行(中辛)、鈍行(甘口)、超特急(大辛)などなど。また、女性店員さんは黒いワンピースに白いエプロンとクラシカルな女給さんスタイルに、男性店員さんは車掌さんの格好に扮するという徹底ぶり! 私たちは完全に乗客なのです。

で、この車掌さん、改札バサミをカチカチと鳴らしながら店内を歩き、各テーブルを回って乗車記念にといただいた切手にハサミを入れてくれるんです。うわー、本当に旅してる気分になってきたぞ……。

で、そんなこんなでこちらの旅気分も最高潮に高まったところでカレー登場! 各テーブルの横をレールが走っているのですが、そこを汽車がシュシュシュッと通って各テーブルまで運んできてくれるのです。正直、来る前は「そりゃ子どもなら喜びそうだけど……」なんて思ってました。けれど、この胸の高まりはなんだ! 大人でもめちゃくちゃ楽しめます!!

ここまで来るともはやカレーの味なんてどうでもいい、いろんな意味ですでにお腹いっぱいだよって感じなのですが、これがカレーもあなどれない美味しさでした。なんでも、ルーは35種類のスパイスを調合したカレー粉をインドの植物油で2時間以上炒って作ったものだとか。


じゃがいもが溶け込んだとろっとしたカレーはどこか懐かしい味わいで「懐かし昭和カレー」という名前のとおり。もう昭和の時代にタイムスリップして食堂車でカレー食べてる気がしてきた。

エンターテインメントレストランというと、現代風できらびやかでどこか人工的な感じがありますが、このお店はレトロでぬくもりが感じられてどこかアナログで。でも、大人も子どもも楽しめる、ここだって立派なエンタメレストランです。 

皆さんもぜひ「ナイアガラ」に乗車の旅に出かけてみてください。これはもう、ちょっとしたタイムトラベルと言ってもよいぐらいですよ~!

■カレーステーション ナイアガラ
東京都目黒区祐天寺2-1-5 高坂ビル
TEL:03-3710-7367
http://www.niagara-curry.com/

(文=鷺ノ宮やよい)

▼店の前で並ぶ場所は「待合室」。入店前からすでに旅は始まっている!!

▼持ち帰り! そういうのもあるのか!! それにしても、周りの風景と何か濃さが違う

▼秋葉原のメイドカフェのメイドさんとは一線を画す「昭和の女給さん」スタイル

▼乗車記念にもらえる切符。希望すれば自分で切らせてもらえるよ!

▼カレーの辛さは4種類。超特急は辛さ50倍増しだとか

▼チーズカレー。トッピングは他にゆで卵やロースカツなどいろいろ

▼新幹線カレー。子どもが喜びそう! 家族連れにもやさしいお店です