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世界の紛争地域には、今も多数の地雷が残されています。報告によると、アフガニスタンでは “地雷があると予想されるエリア” から500メートル以内に100万人もの人々が暮らしており、ひと月に40人以上の人々が犠牲になっていると言います。なんという恐ろしい数でしょう。

そんな危険な地雷を安全かつ低コストで除去するための新しい装置、「マイン・カフォン(MINE KAFON)」が現在話題になっています。近未来SFに登場しそうな見た目、砂漠をコロコロ転がるシュールな姿はインパクト十分! 今回はこの斬新なプロダクトと、そこに託された思いをご紹介いたします。

マイン・カフォンの材料は生物分解可能なプラスチックと竹で、1体にかかるのはたったの約40ユーロ(4600円)。一般的な地雷撤去作業には、地雷1個につきおよそ100万円掛かるそうですから、比較にならないほどの低コストです。

動力が風というのも驚きです。砂漠の風力で転がるほど軽く、地雷を起爆できる程度に重いので、現地で組み立てて、あとは転がすだけ。しかも、1度地雷にヒットしても、2、3本の足を失うだけでまた転がり続けることができるというスグレモノ。

この斬新なプロダクトを開発したのは、アフガニスタン出身のデザイナー、マスード・ハサニ(Massoud Hassani)氏。動画サイトVimeoにアップされたプロモーション動画にも描かれているように、幼少期に砂漠の風を使って遊んだオモチャ・レースの思い出からアイデアを発展させたのだとか。

そんな楽しい思い出の一方で、実はハサニ氏自身も、子供の頃に父親を地雷で亡くしています。その後、母親の判断で一家は国を脱出、4年の放浪の果てにオランダに亡命者として受け入れられたいう苦しい体験の持ち主なのです。

「このプロダクトの制作を通じて、残された地雷という世界中に存在する問題に注目が集まることを願っています。地雷が1つなくなれば、1つの命が救われると私は信じています。」

自身のルーツ、体験、そして祖国と世界の問題に取り組む姿勢が反映されたこの力強いアイデアは、世界各地のデザイン祭やメディアで注目と支持を集めています。現在はまだ試作品段階ですが、”GPS機能の追加”など更なる改良と製品化を目指し、海外サイトKickstarterで融資を募っている最中ですので、是非チェックしてみてください!

(文=黒澤くの)
参照元:kickstarter.com(http://goo.gl/D9jtE
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▼プロモーション動画はこちら

▼地雷の残る地域に転がしてスタート

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▼爆破して

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▼また転がり出します

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▼子供でも組み立てられる

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▼ハサニ氏

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▼こんなオモチャを転がした思い出が原点

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