カメラに向かってにっこり笑う、ひとりのとても美しい女性。ムービーが進み、彼女の正面からのショットが矢継ぎ早に重ねられていくにつれて、その顔から笑顔が消えていく。そのかわりに、痛々しいアザが増えていく――。
いま、クロアチアからアップされたと思われる1本のショッキングなYouTubeムービーが、ヨーロッパを中心に話題となっています。タイトルは、「Jedna fotografija dnevno u najgoroj godini života(人生最悪の1年間に撮影した1日1枚のフォト)」。
ムービーが開始されたとき、彼女……ユーザー名「fero061982」さんの顔には穏やかな笑みが浮かんでいます。美人が多いと言われる南スラブ系の国・クロアチアですが、その中でもかなりの美人と思われる彼女。様々な場所で撮った、ちょっと自信ありげなセルフショットが重なっていきます。
事態が変化するのは、再生開始から19秒目のあたり。泣きそうな彼女の口元に、赤いアザのようなものが浮かびます。やがて笑顔が戻りアザも消えますが、25秒目のあたりで今度は左目の周囲が真っ赤に。このあたりから、彼女の笑顔はほとんど見られなくなり、アザが現れては消えるようになります。それらの場所や形は、この女性が深刻なDVの被害を受けていることを物語っています。
ムービーは淡々と進み、しだいにこの女性の顔は直視するのをためらってしまうほど、傷とアザまみれの状態になっていきます。これはもう治ることがないのではないか、と思われる悲惨な傷をいくつか載せた状態で、彼女は1枚のメッセージボードを出します。「Pomozite mi, ne znam hoću li dočekati sutra(助けて、私は明日まで持ちこたえられないかもしれない)」……そこで、このムービーは終わっています。
あまりにショッキングなムービーですが、「fero061982」さんが本当にこのような状態にあるのかどうかはわかりません。クロアチアの地元紙・ヴェチェルニ・リストもこのムービーを報じていますが、「芸術(インスタレーション)、あるいは暴力被害者の会の広報目的で作られた可能性がある」などとしています。
このムービーと彼女のケガが、記事が言うようにフェイクであることを祈るばかりです。ただ、いずれにしても、強い人間から弱い人間への暴力がいかに悲惨なものであるかを思い知ることができる映像であることには間違いないでしょう。男女間のDVはもちろんのこと、近年問題化している体罰やいじめに関しても考えさせられる、わずか1分あまりの「作品」。直視せねばならない、かもしれません。
参照元:Večernji-list
(文=纐纈タルコ)
▼美しい女性が破壊されていく過程、訴えるものはあまりにも重く
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