『文化の日』。それは自由と平和を愛し、文化をすすめる日として定められた祝日。文化をすすめるというだけあって、この日には数多くの文化祭や野外イベントが行われ、そのどれもが多いに盛り上がりました!
そんな中、ここ数年じわじわと話題になっている、刑務所の文化祭をご存知でしょうか。その名も「府中刑務所文化祭」。
実際の刑務所である「府中刑務所」を舞台に、ここでしか味わえない刑務所グルメや、塀の中を見てまわれるプリズンアドベンチャー、さらには日本中の刑務所からその土地の特産品が集まるという、なんとも珍しい文化祭なのです!
……が、先にお伝えしておきます。ここの文化祭、超絶甘くなかったです。来年参加してみたい人や興味を持った人のために、この文化祭を楽しむポイントをご紹介いたします!
【開場一時間前で既に入口も道路も大行列!】
府中刑務所の場所は都心からかなり離れている、文字通りの郊外。そのため多くの人が訪れるといっても地元民が集まる程度と思っていたのですが……これは大きな間違い! 開場時間1時間前にも関わらず入口前には長蛇の列が。おまけに道路も宇都宮ナンバーや神戸ナンバーなど都内だけでなく地方から訪れた車で大渋滞。なんと今年の文化祭、2万人もの来場者で賑わったのです。
【元アイドルより刑務所飯が人気か?】
しかし、記者は思いました。おそらくこの行列は本日の特別ゲストである「マリコ様」、元AKB48の篠田麻里子さんを一目見ようと集まったファンによるものなのだろうと……。
いざ開場! すると行列に並んでいた人並みがザザーッとある場所に流れていったのです。その場所こそ当文化祭の人気スポット「麦飯食堂」。本物の刑務所飯が限定900食で販売されるとあって、あっと言う間に行列が出来てしまったのです。
【なぜ人気? 刑務所飯の実態とは…】
刑務所飯=臭い飯というよろしくない印象がありますが、実際どんなメニューがあるのか刑務官の方に聞いてみると……あややッ! とっても美味しそう!! メニューは2種類のみ。毎年恒例の「麦飯チキンカレー」(500円)と、受刑者に最も人気の「麦飯牛すき煮定食」(500円)が販売されておりました。
ちなみに「臭い飯」の語源ですが、日本の刑務所では麦飯が導入されており、精麦が不十分だった昔の麦飯が独特の臭いを放っていたため、とのことです。(※諸説あり)
今年は付け合わせのサツマイモのグラッセが絶品なんだとか! 記者も食堂内の撮影を済ませ、並ぶこと1時間半……
『麦飯食堂完売しました』
ファーッ!!! こんなことならさっさと並べばよかったわい! と言っても10時開場して、なんやかんや動き回って記者が並び始めたのは10時半。それでも食べられないなんて悲劇。並んでいる途中、後ろのおじさんに「そんなに食いたきゃ捕まるしかないねアハハw」っていうブラックジョークを何度も言われながら並び続けたのにーー! 麦飯食堂で刑務所飯を味わいたい人は開場前から並び、開場後は直行すべしです。
【府中刑務所手作りのパンは即完売!】
府中刑務所内で作られ、受刑者も食べているというパン。午前・午後と分けての販売でしたが、午前の部は約1時間で1500個が完売。午後の時間に並ぼうと行ってみると、既にかなりの行列が……。(また行列!)
中には折りたたみイスで座りながら待つ強者も! 記者も並ぼうと思ったのですが、府中刑務所文化祭は14時まで! 並んで購入する頃には文化祭が終了してしまう恐れがあるので、泣く泣く断念。
【塀の中を見学できる“プリズンアドベンチャーツアー”とは】
府中刑務所のもう1つの人気スポット、プリズンアドベンチャーツアー。普段は足を踏み入れられない塀の中を見学できる貴重な機会の為、こちらもかなりの行列が(またまた行列!)。しかし、こちらは人数制限が無いので並べばきっと見に行けるらしい! そしてひたすら並ぶこと45分。とてつもなく大きな扉が目の前に登場。携帯電話・デジカメを指定された袋に入れると、巨大な扉がゆっくり開き中へ案内されます。大きな扉の奥にもまた大きな扉が。入ったらお勤めを終えるまで出られない、という圧迫感と緊張感が満ちあふれています。(※ちなみに所内は撮影禁止です!)
受刑者の普段働いている作業場棟(革製品・木製品・印刷・PC解体作業など)と風呂場を歩いて見て回る事ができます。かかった時間は約50分。革製品の作業場では、手作業ならではの繊細な革バッグが展示されておりました。出所後、実際に購入する事も出来るようになっています。小学校でおなじみの木造のイスも作られており、私たちの生活の意外な場面で活用されているのだと学ぶ事が出来ました。
ドアノブの無い特殊な持ち手のドアハンドル、ハンガーに干されている作業着、番号のみのロッカー、窓から丸見えのトイレ、大きな浴槽2つと、周りにきっちりそろえられた洗面器など。高い塀だけでなく刑務所ならではの生活感を少し感じることができました。
【まさかの「俺が昔いた頃は…!」の声にビクつく!】
工場内を見て回っている途中、刑務官にドンドン話しかけているじい様がいたのです。聞き耳を立ててみると「俺がいた頃は、こんなもんじゃなかった」的なことを! え、元刑務官? それとも元受刑者? 声をかけることも出来ず、ドキドキしながら通過するのでした。
【白バイ乗車体験にウキウキしたり、受刑者の短歌に切なくなったり……】
もちろん普通の文化祭にあるような出店も多く並んでいます。定番の焼き鳥屋・焼きそば屋はもちろん、日本中の受刑者の作品であるクッションや家具や御神輿の販売もされていました。また消防や警察の協力もあってはしご車や、白バイの乗車などここでしかできない体験コーナーも大盛況!
また体育館では、府中刑務所という場所について、また受刑者とはなんぞやという説明を細かく展示。同じ館内には受刑者の心の声をまとめた短歌などの作品もあり、なんとも切ない気持ちになりました……。
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今回1人で参加した府中刑務所文化祭でしたが、ほとんど並んでばっかりでした。立って並ぶのは苦手と言う人は、簡単な折りたたみイスを持って行くといいかもしれません。また、1つ並ぶと何かを諦めなければならない事が多いので、「来年あれやろう!」と次回を見越す広い心も大切!
ちょっとマニアックではありますが、貴重な体験を出来る府中刑務所文化祭。みなさんもぜひ行ってみてくださいね。
【府中刑務所】
住所:〒183-8523 東京都府中市晴見町4-10
TEL:042-362-3101
撮影・執筆=百村モモ (c) Pouch
▼多くの人で盛り上がりました
▼家族連れも楽しめた様子
▼最も古い刑務官(?)もいらっしゃいました
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