定番ものから珍魚まで美味しく、そして安く――。
本日ご紹介するのは寿司屋「お魚倶楽部 はま」。千葉県にある東京大学柏キャンパスに店を構えて今年で5年。きっかけは大学関係者の一言だったそう。
もともと東京都中野で営業していた同店は、同じく中野にあった東京大学大気海洋研究所が移転する際、常連客であった大学関係者の「一緒に移っちゃえば」という言葉に押され、同大学の公募に参加。2010年、晴れて日本初の“大学のお寿司屋さん”が誕生しました。
店を仕切るのは、老舗江戸前寿司として有名な銀座5丁目の「新富寿し」でキャリアをスタートさせ、今年で職人歴55年の濵弘泰さん。現在も京都や沼津、宮古など全国の漁港へ足を運び、たとえば東京では知名度が低い、大きさが不揃いといった理由で市場に出回らない魚も積極的に取り入れることでリーズナブルな価格を実現しているのだとか。
今では数々のテレビ番組や雑誌に登場するだけでなく、学会などで同大学を訪れた海外の研究者らも立ち寄るそう。以前、安倍昭恵首相夫人やノーベル物理学賞最年少受賞者として知られるウィリアム・ローレンス・ブラッグ氏といった著名人も訪問したほど。
今回はそんな「お魚倶楽部 はま」へお邪魔してきました。
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東京大学柏キャンパスが擁する広大な敷地。その一角にある大気海洋研究所1階に店を構える「お魚倶楽部 はま」は、どこか海外の寿司屋っぽさを感じさせるミニマルな空間です。
◆安いだけじゃない。日替わり500円丼
ランチメニューのいちおしは、日替わりの「ワンコイン丼」(税込500円)。この日はサワラを西京味噌に1日漬け込み食べる直前にサッと炙った「サワラの炙り西京漬け丼」で、刺身のそれとは一味違った上品なしっとり感を味わえる逸品です。
このほか「マグロづくし丼」や「トロサーモンと釜揚げシラス丼」など、工夫を凝らした日替わり丼は常連客を飽きさせません。
◆1貫あたり約80円! 12貫握り
夜の人気はやはり握り。さまざまな味を楽しむなら980円(税込)の12貫握りがおすすめ。マグロ・ゲソ・コハダ・穴子などが1貫あたり約80円と、回らないお寿司とは信じがたい価格で味わえます。濵さん厳選の産直ネタをたんとお試しあれ。
◆十四代も、獺祭も……激安プライスの日本酒
寿司のコストパフォーマンスはさることながら、日本酒好きとして触れずにいられないのが同店の日本酒ラインアップ。なんと、希少な「十四代」や巷ですっかり人気の「獺祭」、「飛露喜」もすべて1合780円というから驚きです。東京大学で寿司をつまみながら日本酒で1杯、というのもなかなか乙では。
◆まだ出会ったことのない魚と出会いたい
「初めての魚と出会うとワクワクするよね」と、今まで取り扱ってきた1000種を超える魚のアルバムを見せながら嬉しそうに語る濵さん。この魚は焼くのが一番かな、それとも煮る? いや、やはり刺身だろう、と試行錯誤する工程が楽しくてしょうがないのだそう。
「もっと色んな魚と出会いたい」。濵さんの魚への飽くなき探求心は、充実した一品メニューからもうかがえます。京都卸売市場から届くクエやハタといった西の魚や、ちょっと聞き慣れないドロエビやコショウダイなどといった珍しい魚をあらゆるアプローチで、そして300円台~とリーズナブルな価格で提供します。
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全国の漁港に足を運ぶ傍ら、オープンキャンパスでサメの解体ショーを披露したり、教育関連のテレビ番組に出演したりと寿司職人として幅広い活躍を見せる濵さん。日本初の“大学のお寿司屋さん”では、定番ものから普通ではお目にかかれない魚までリーズナブルに堪能することができます。
【お魚倶楽部 はま】
住所 千葉県柏市柏の葉5-1-5 東京大学大気海洋研究所 1F
電話番号 04-7134-5656
営業時間 11時30分~14時45分/17時~21時(土11時30分~13時45分)
定休日 日・祝
アクセス 柏の葉キャンパス駅西口、または柏駅西口からバスで東大前下車
*追記(1月21日17時30分):土曜日の営業時間に変更がありましたので修正致しました。
取材・撮影・執筆=井上こん(c)Pouch
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