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現在、絶賛放映中の異色のドキュメンタリードラマ『山田孝之の東京都北区赤羽』(テレビ東京ほか)。その中で主演の山田孝之さんが大きな感銘を受け、赤羽に引っ越すきっかけになった漫画があります。それが『ウヒョッ! 東京都北区赤羽』。

作者は現在も赤羽界隈(かいわい)に暮らす清野とおるさん。赤羽という地で出会った人々や珍スポットを紹介するという実録漫画なんですが……実は私(記者)もこの漫画の大ファン!

そこで今回、清野さんご本人に取材を申し込み! ……したものの、漫画に登場したスポットを一緒に回るという企画はすでに他の媒体でもやり尽くしていて新鮮味がない。どうしようかと悩んでいたところ、清野さんからありがたすぎるお申し出が!

清野さん(以下、清野):「じゃあ、せっかくなので新しいお店に潜入してみるなんてどうですか?」
私:「(え、めっちゃいい人!!) そうおっしゃるからには、どこか目星がついているお店があるんですよねっ?」
清野さん:「いや、ないです」
私:「……」

ないんかいっ!!

というわけで、まったくノープランなまま取材に向かった1月某日。行き当たりばったりで清野さんと歩く赤羽の街、果たして何かハプニングは起こるのか……? いや、ホントは何が何でも何か起きてくれないと、私、記事にできないっ……!!

【ピンク街の幸福地蔵へ】

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当日、待ち合わせしたのは赤羽駅東口の交番前。そこへ

清野さん(以下、清野):「初めまして、ようこそ赤羽へ! それじゃあ行きましょうか!」

現われたのは、至ってマトモそうな好青年。

(この人があの漫画の作者か……)

などと思いつつ、そのまま清野さんについていくと、キャバクラや風俗店、飲み屋が乱立するピンク街へ。

清野:「ちょっと最初にお地蔵さんにお参りしましょうか

いやいや、こんなピンク街にお地蔵さんなんてあるわけないだろうに。

清野:「ここです」
私:「だからー、お地蔵さんなんてこんなとこにあるはずが……あ、あったーーーーっ!!!!

はい、ホントにありました。パブなどが入る雑居ビルの1階に、堂々とお地蔵さんは立っていたのです。

【突然、アクシデントが……】

めっちゃ煌々(こうこう)と光り輝くネオンの中にたたずむお地蔵さん。ピンク街のネオンと地蔵、合わないことこの上なしですが、このお地蔵さんこそが、『ウヒョッ! 東京都北区赤羽』1巻にも登場した幸福地蔵です。

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お地蔵さんの前に立ってお参りをする清野さんを見て、シャッターチャンスとばかりカメラでカシャカシャ撮影する私。しかしここで突然、予想外なことが!

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な、なんじゃこりゃーーーっ!! なぜか画面にモヤがかかり、うまく撮影できない! 何回撮っても撮ってもモヤのまま……あたふたする私に、

「先にお参りしないからですよ」

と清野さん。え、そ、そうなの……? 半信半疑ながらもお地蔵さんに火を起こす勢いで手をこすり合わせる私。今叶えたい願い事は健康でも家内安全でもなく、「写真がちゃんと撮れますように」以外あるわけがない。

お地蔵さんに半泣きで頼み込んでもう一度写真を撮ってみたら……

私:「撮れてるーーーーっ!! せ、清野さん、撮れてますよーーーーーっ!!」
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あまりのできごとに呆然(ぼうぜん)。なにこれ、磁場が狂ってる? 何かの怪奇現象? これも「清野とおる」と「赤羽という街」が引き起こす化学反応なの?

まだスタートして10分足らずですが、なんだかこの取材、すごいことが起こるかもしれない……。私の中にわずかな希望が芽生えてきました。

【開始早々、墓穴を掘る】

私:「このお地蔵さん、なんでこんなところにあるんでしょうねぇ? 誰がこんなところに作ったか不思議ですね、あはは」
清野:「『ウヒョッ!』の1巻に描きましたけど。読んでないんですか?」
私:「……え? ウソ……」
清野:「読んでないのに、取材申し込んできやがったんですか?」

まずい……先ほどまでの好青年が、みるみるうちに「殺人鬼」のようなテンションに変貌していく……。

私:「え……いや、その……」
清野「あー、マジ、引き受けるんじゃなかった。帰りてえ」

ギャーーーーーーっ!! 墓穴掘った! 私、清野さんへのメールに「全巻読みました」「『ウヒョッ!』じゃないほうのころから愛読しています!」と書きました。これはけっしてウソじゃないんですが、幸福地蔵のことは本当に頭からスッポリと抜けており……。まさかのにわかファン疑惑!! これは気まずい。気まずすぎます。

この最悪な雰囲気のコンビで、まだまだ赤羽めぐりは続きます。次は清野さんとある居酒屋に潜入! そこでこれまた衝撃のできごとが……!! 続きは連載第2回で!

参照元:清野のブログ『山田孝之の東京都北区赤羽』
取材・撮影・執筆=鷺ノ宮やよい (c) Pouchakabane24