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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかからおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ご紹介するのはキーラ・ナイトレイ主演作『はじまりのうた』(2015年2月5日公開)です。この映画は、全米5館でスタートをしましたが、なんとクチコミで素晴らしさが広がり、300館へと拡大公開されて大ヒットをした奇跡の映画なのです。

そして試写で見た記者は大感動!「2015年ベスト3に入る傑作」と確信! 大失恋をしたヒロインが音楽で立ち直っていく姿を描いた本当にスイートでポップ&心に響く映画なのです。

【物語】

ミュージシャンのデイヴ(アダム・レヴィーン)と恋人のグレタ(キーラ・ナイトレイ)は、作った曲が映画主題歌になり、メジャーデビューのためNYへ。しかし、スターになったデイヴの浮気により、二人の恋は終わってしまいます。失恋の悲しみにくれるグレタを親友のスティーヴ(ジェームズ・コーデン)は、バーのライブへと連れて行きます。そこでスティーヴはグレタをステージにあげて歌わせるのです。
まばらな拍手の中で彼女の才能を見抜いた男がいました。音楽プロデューサーのダン(マーク・ラファロ)。しかし、彼はレコード会社をクビになったばかり。それでも彼は、グレタの音楽を世に広めたいと動き出し……。

【失恋がヒロインにチャンスをくれた!】

映画『はじまりのうた』は、失恋したヒロインが音楽によって救われる物語です。そこには友情や愛情がたくさん詰まっていて、それが音楽に乗って、見る者の胸にドキューンと突き刺さるのです。
ヒロインがスカウトされて、恐る恐る踏み出した一歩が思わぬ形で人から人へと繋がり、傷ついた彼女と孤独な音楽プロデューサーの世界を広げてゆく……。そのプロセスが素敵なんですよ。
なにしろクビになった音楽プロデューサーと無名のミュージシャンですからね、スタジオを借りるお金がない。「でもPCがあるじゃないか。じゃあ、外でやっちゃえ!」とNYの街角、地下鉄のホーム、あらゆる場所でライブ録音するのです。その光景が楽しすぎる! 今すぐ彼らが街角ライブしている場所に飛んでいきたくなったくらいです。またキーラ・ナイトレイがこんなに素敵ヴォイスとは。囁くような歌声には本当にしびれます。

【元ミュージシャンの天才監督】

映画『はじまりのうた』のジョン・カーニー監督といえば、珠玉の名作『ONCE ダブリンの街角で』の監督であり、アイルランドのロックバンド「ザ・フレイムズ」のメンバーでした。『ONCE ダブリンの街角で』も音楽を通した物語でしたが、今回、監督は、ひとつの大きな冒険をしています。それは女優のキーラに歌わせたことと、ミュージシャンのアダム・レヴィーン(マルーン5)に演技をさせたことです。

「人をその安全地帯から追い出すのはいいことです。多くの役者はそれを好みませんが、僕はそこに魔法のようなものがあると思います。だって人は安定していると、つまらなくなりますからね」

とカーニー監督。なるほど! 確かにキーラとアダムはこの挑戦で確実に魅力を倍増させました。歌える女優と演じられるミュージシャンになったのですからね。監督は二人から新たな魅力を引き出した、その功績は大きい!ちなみにアダム・レヴィーンは「カーニー監督に期待されるなんて刺激的だ」とノーギャラでの出演だったそうです。

【NYに行きたくなる!】

街角ライブ録音のシーンはNYの街を魅力的に映し出しています。セントラルパークのボート、ワシントン・スクエア・パーク、カフェ、地下鉄……。ニューヨークへ行きたい!と思わず身を乗り出してしまうこと必至。音楽との相乗効果で街がキラキラ輝いているのです。NYは音楽が似合う街だったのだなとつくづく思いましたね。

可愛さ、切なさ、楽しさ、暖かさ、スリル、感動。小さな作品ながらハッピーな映画に必要なものがすべてがつまっている『はじまりのうた』。最初から心を持っていかれ、そのままラストまで魅了されっぱなし。そして映画を見終ったあと、幸福が体中を駆け抜ける!そんな魅力に満ち溢れた映画です。

執筆=斎藤香(c)Pouch

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『はじまりのうた』
2015年2月7日より新宿ピカデリー、渋谷シネクイントほか全国ロードショー
監督:ジョン・カーニー
出演:キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ、ヘイリー・スタインフェルド、アダム・レヴィーン、ジェームズ・コーデン
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