「タダ」というのは私たちにとってなんとも魅力的な響き。たとえばもしある日、タダで一国一城の主になれるとしたら……?
まるで夢物語のようですが、これは実際のお話。現在、熊本県天草市に0円で売りに出されている中古一戸建てがあるんです! タダだから「売りに出す」という言い方はおかしいか。つまりは「無償譲渡」ですよ、皆さん!!
しかし世の中には「タダより怖いものはない」なんて言葉もあるわけで……。あまりにうまい話に、「なんで0円なん?」「どういう事情があるの?」「っていうか、何かいわくつきなの……?」と逆にいぶかしくもなるというもの。そこで、この物件を紹介しているウェブサイト「あまくさライフ」を運営する熊本県天草市役所に真相を尋ねてみることに!
【美しい海が見える一軒家】
まずは物件の概要から。場所は熊本県天草諸島南部の牛深町。この町は天然の白浜と東シナ海に続く海の眺めがとにかく美しく、なかでも茂串海水浴場は平成15年のNHK大河ドラマ『武蔵』の巌流島決闘ロケでも使われたことがあるほど。今回の物件は漁業集落の山手側に建っており、海の眺めも楽しめます。
そんな場所にあって0円……? ちょっと私も住みたくなってきた。熊本の地でプロブロガーデビューするのもいいかもしれない! 新鮮な海の幸を食べながら、「まだ東京で消耗してるの?」とか言ってみたい!
【オーブらしきものが写った画像が……】
そうして物件の写真をつぶさに見ていた私、1枚の画像に小さな丸いものがいくつも写っているのを発見。こ、これはオーブってやつではあるまいか!? や、やっぱり何か特殊な事情があってのいわくつき物件なのでは……そうじゃなきゃ無償譲渡だなんてありえない!
これはもう直接、ウェブサイト「あまくさライフ」を運営する熊本県天草市役所に聞いてみるほかない!!
「これって事故物件か何かなんでしょうか?」
【なぜ0円で手に入るの?】
「事故物件ではございません」
――そう回答をくださったのは、天草市役所地域振興部のHさん。なぜ0円なのかについて、こう教えてくれました。
「田舎なので車がないと不便なのですが、当該物件は家屋が密集した集落に位置しているため、道がたいへん細く、車を近くまで寄せることができません。車が入る道まで直線距離で150mほど、そこから物件までは迷路のように入り組んだ細い道を通ったり、階段をのぼったりしなければならないという立地の悪さに加えて、10年間閉めきったままで様々な補修が必要になるため、所有者の方から無償でというお話がございました」。
なるほど。
【誰か使ってくれる人がいたら……】
では、どういう経緯で物件が掲載されることになったのでしょうか?
「所有者の方も、長年そのままになっていた家をもしも使ってくださる方がいらっしゃれば……と考えていたところへ空き家バンクのチラシをご覧になり、登録を申し込まれました」(Hさん)とのこと。
所有者の方のまったくの善意であって、いわくつき物件などではなかったんですね!!
この「空き家バンク」(空き家等情報バンク制度)というのは、天草市では市内にある “空き家” や “空き地” の情報を、移住・定住を希望する都市住民など(天草島外に在住の人)に提供するため設けられている制度のこと。
これ、「天草に住んでみたい」「田舎でゆっくりのんびり過ごしたい」と考えている人にはとても嬉しいシステムといえますね。
地方への移住を考えている方、こちらの物件いかがでしょう。ぜひ前向きに検討されてみては? ただし、現在ウェブで掲載していることもあり数名見学待ちという状態だとか。興味を持った方はまずは問合わせからどうぞ。
参照元:あまくさライフ、田舎の生活(を、夢見ている)
執筆=鷺ノ宮やよい (c) Pouch
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▼今回の物件。昭和46年頃築。詳細は参照元をご覧ください
▼小さな白い点々に「オーブ!?」とおののきましたが違ったようです
▼家からは海の眺めも! のどかな漁村といった風景ですね
▼間取り。都内なら場所によっては5000万円は下らないのでは……
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