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いつの世も、人はなぜか「悪」に魅了されるもの。それは、江戸時代に生きた人々にとっても、おんなじだったようで。

ご紹介するのは、6月2日(火)から26日(金)まで、東京・原宿にある浮世絵専門美術館「太田記念美術館」にて開催される展覧会、「江戸の悪」

【ダークヒーロー&アウトローたちが勢ぞろい!】

石川五右衛門に鼠小僧次郎吉などの大盗賊、幡随院長兵衛などの侠客(任侠を建前とした渡世人の総称)、吉良上野介などの歴史上の人物。さらには悪女、小悪党、悪の妖術使い……実在した悪人から架空の人物まで、江戸の悪人たちが大集合。これは言うなれば江戸の「アウトレイジ」!! ダークヒーローやアウトローたちが集結する同展は、必見です。

【芝居や小説のネタとなった “悪人” たち】

江戸時代、悪人と呼ばれる人々は、芝居や小説の格好のネタでした。とはいえ「悪人」とひと口に言っても、本当に悪人だった人もいれば、 “悪人のイメージが付いているだけ” といった人もいる。平清盛ら歴史上の人物、さらには彼らを題材とした数々の物語を思い返せば、納得でしょう?

【悪~い女たちもたくさん登場するみたい】

同展には、そういった男性の「悪人」たちはもちろん、悪に手を染めてしまった女性たちも登場。女盗賊に女伊達(女性の侠客)、昼ドラ顔負け、ドロドロの恋愛模様を描いた歌舞伎演目に登場する悪女たちが勢ぞろい。しっかしこうして並べてみると、「悪人」って、バラエティーに富んでいるのね……!

【注目は元祖ストーカー男&悪人中の悪人と呼ばれる男!】

見ごたえ十分な展示の中でも記者が個人的に注目したいのは、 “元祖ストーカー” こと悪僧・清玄と、彼に恋慕されてしまった桜姫を描いた浮世絵。そして数いる歌舞伎の登場人物の中でも悪人中の悪人、「東海道四谷怪談」の主役、民谷伊右衛門の悪事を描いた1枚、三代歌川豊国「東海道四谷怪談」です。

【どちらも歌舞伎における有名な登場人物なのです】

幽霊になってもなお姿を現し、桜姫に執着しまくった清玄。そして産後の肥立ちの悪い妻お岩を厭い、容貌の醜くなる毒薬を飲ませて殺めたのち川に流すという、人に非ずな所業を行った伊右衛門。どちらも女性目線で見ると、正直 “最低最悪な男性” なわけなのですが、双方歌舞伎においては有名な登場人物。一目見ておいて、損はないはず。

【魅力的な江戸の悪人たちに会いに行こう♪】

時に主人公の人気をも凌ぐほど、人の心を惹きつけてやまない悪人たち。江戸時代の人々が愛した悪い人たちに会いに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

参照元: 太田記念美術館 太田記念美術館フェイスブック
執筆=田端あんじ (c)Pouch