パックに入って並べられた卵をよ〜く見てみると……そこに並んでいるのは、顔、顔、顔!

おびただしい数の聖母マリアの顔がずらーっと並んだ作品『Hatchery(孵化場)』を制作したのは、コロンビアのアーティストであるヴィヴィアナ・トロヤ(Viviana Troya)さんです。

鶏卵そっくりの顔は、すべてセラミック製。これらにひとつひとつ手作業で色付けしていっているそうなのですが、見たところ尋常ではない数なので、作業にかかった時間を想像するだけで気が遠くなります。

【どんなことを表現しているの?】

卵パックに並んだ “聖母マリアの首” に、一瞬ギョッとしてしまう『Hatchery』。
海外サイト「It’s Nice That」のインタビューによると、こちらの作品が表現しているテーマはおもに3つあるとトロヤさんは語っています。

1つめは、食物・生殖・宗教・ユーモアといった、人間社会における基本的なニーズ

本来自然発生的であるべきものから文化的創造物まで、社会をひとつにするための“接着剤”のような力を持っているそれらを、人類が時間をかけてどのように変化させてきたのかを表しています。

2つめは、聖母マリアを通して浮き彫りにされる “女性性” 。大きなメタルラックに数多く並んだ人形は “孵化、抱卵” という概念を暗示しています。

そして最後となる3つめは、大量生産と消費。愛着のあるものを大切にすることと対極にある “使い捨て精神” です。

【卵モチーフから連想させられる「儚さ」】

無数の視線を投げかけてくるマリア像。大きさもかたちも色も卵にそっくりなせいか、儚くもろく傷つきやすい印象も覚えて、その様子がわたしたち人間そのもの、あるいは人生そのものを表しているような気がしてきます。

トロヤさんはこの作品を通して「トロヤさん」ではなく「鑑賞者自身」を見てもらいたいと語っていました。

【ふと立ち止まって考えさせられる】

こうした背景を知った上で『Hatchery』を眺めると、人間が本来必要とし、大切にしたいものはなんなのか、考えさせられます。

卵パックの中に無数に並ぶ聖母マリアの姿に、あなたは何を感じるでしょうか。

参照元:VIVIANA TROYAInstagram @vivianabtroyaIt’s Nice That
画像=Viviana Troya, used with permission
執筆=田端あんじ (c)Pouch