【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』(2020年3月20日公開)です。以前紹介した『スキャンダル』で素晴らしい演技を見せていたマーゴット・ロビーが、映画『スーサイド・スクワッド』で演じたハーレイ・クインとしてスクリーンに再び降臨。本作では堂々と主演キャラに昇格ですよ。これがめちゃくちゃ楽しい映画だったのです! 世の中の不安やモヤモヤなど、すべて吹き飛ばしてくれますから~。では物語からいってみましょう。

【物語】

ジョーカーの元カノであるハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)は、彼の束縛から解き放たれたものの、周囲から「アイツ、ジョーカーに捨てられたんだぜ」と陰口を言われるのがたまらなくイヤ! 自分の悪口を言う男をボコボコにしていました。しかし、たまたま彼女がバーで倒した男がゴッサム・シティの悪党ローマン(ユアン・マクレガー)の部下だったので大変!彼女は、その一味に誘拐されそうに~。しかし、その窮地を救ったのは、ローマンの経営するバーの歌手ブラックキャナリー(ジャーニー・スモレット=ベル)でした。

一方、ローマンはある秘密が隠されたダイヤを探していました。そのダイヤをスリの少女が飲み込んでしまい、少女は追われる身に。ハーレイもダイヤを追いますが、その騒動に巻き込まれるうちに、ブラックキャナリーとクロスボウ(弓)を操るハントレス(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)と一致団結。やりたい放題の悪党ローマンに対抗するのです。

【男に媚びない、自立した女子たちのガールズパワー】

結論から言うと、めちゃくちゃかっこよくて楽しかった~! 個人的には『スーサイド・スクワッド』よりもずっーと面白い! かわいくておしゃれでかっこいい最強女子が大活躍するっていうのが素晴らしいです。何よりいいのが、彼女たちが女を武器にしないところ。みんな可愛いし、綺麗だし、スタイル抜群のイケてる女子軍団ですが、全然男に媚びない。

ハーレイはかつて、ジョーカーの女で、彼に守られてきましたが、彼と別れてからのハーレイは、彼との思い出の場所を爆破してスッキリ!生まれ変わったハーレイと行動を共にするブラックキャナリーは、表向き歌手ですが、アクションだけでなく、その美声が武器。またハントレスは目の前で家族を皆殺しにされた過去を持つ女性で、復讐の鬼と化すという暗い過去がありつつも、ちょっと天然な一面があるところがミソ。ハーレイの仲間らしい際立つ個性があるところがいいですね。

【アクションが爽快!美しい回し蹴りにウットリ】

ヴィジュアルでの見せ場はやはりアクション!ハーレイたちの身体能力の高さに驚きです。ハーレイとブラックキャナリーの長い脚から繰り出される回し蹴りは破壊力もすごいのですが、ひとつひとつのアクションの型が美しく、もはや芸術の域!体もキレッキレで本当にウットリ見とれてしまいました。しかもハーレイはものすごく楽しそうにアクションをするんですよ。そのハッピーな感じも観ていてとても気持ちよいんです。

【可愛くて意外とインテリなハーレイ・クイン】

ちなみに一見、イカれた女子に見えるハーレイ・クインですが、実は心理学者であり、精神科の医師だったときにジョーカーと出会って恋に落ちて暴走人生がスタートしたというプロフィールを持っています。だから、ただのド派手な女の子じゃないスマートさがあるのです。そういえば本作には、聞き分けの良い優等生がひとりも登場しません。それぞれが自分の中の正義を大切にしており、自分らしく生きることにこだわっている女性ばかり。世の中がどう変わろうと,明るく強く自分を貫く姿は、これからの女性の生き方を描いているのではないかと。みんな同じことしているから安心ではなく、みんなと違う、自分だけの色を持っているからかっこいいのです!

愉快痛快で楽しい『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』は、DCコミックスのキャラだけど、スピンオフなのでDCぽさがないのが逆に良い! ぜひ女子同士で見てほしい。ハーレイたちの大活躍を見て、スカっとしましょう!

執筆:斎藤香 (c)Pouch

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY
(2020年3月20日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)
監督:キャシー・ヤン
出演:マーゴット・ロビー。メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジャニー・スモレット=ベル、ロージー・ペレス、エラ・ジェイ・パスコ、クリス・メッシーナ、ユアン・マクレガー
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