2021年2月25日に放送された、MBS制作の深夜ドラマ『西荻窪 三ツ星洋酒堂(通称:にしぼし)』第3話。

今回バーを訪れたのは、定年退職を迎えたサラリーマン・権藤(近藤芳正さん)。

権藤が語った「妻との思い出」が切なく、悲しく、愛に溢れていて、涙が止まらなくなる回でした。

大切な人との別れを経験している人なら、ことさら胸に響くはず……!

【第3話あらすじ】

仕事ひとすじでやってきた権藤は、退職後どうしたらいいのか不安げな様子。妻に先立たれたことが、さらに不安を後押ししているようです。

バーテンダーの雨宮(町田啓太さん)、シェフの中内(藤原季節さん)、オーナーの小林(森崎ウィンさん)が3人でわいわいしている様子を見つめる瞳も、どこか寂しそう。

しかし3人と打ち解け始めたのをきっかけに、ぽつり、またぽつりと、妻との思い出を語り始めたんです。

【こんなにも悲しい味のケーキを他に知らない…】

甘いものが苦手な権藤と、甘いものが大好きだった妻。

そのため、甘いものを食べるときは、いつも妻1人だけ。けれど妻が最後に入院したときに、ようやく夫婦2人でケーキを食べることになるんです。

ところが妻は、病気のためひと口も食べられず……

妻が眠る顔を見ながら、権藤が2人分のケーキを食べるシーンが切なくて、悲しくて、

「悲しかった……死んでしまったときよりも、ずっと」
「もっと早くに、2人でケーキを食べておけばよかった。あの日から3年間、ケーキを食べていない」

というセリフが、よりいっそう涙を誘います。

【ふとした瞬間に、ふと思い出す】

悲しい思い出を抱えていた権藤がおつまみとして選んだのは、なんとガトーショコラの缶詰

妻が大好きだったケーキを食べて、ふと、妻との思い出がよみがえります。

亡くなる前、妻は仕事人間の権藤を心配して、

「わたしがいなくなっても、あなたの人生は続くのよ。だから約束して。いろんな場所に行って、いろんな人に会って、楽しいことをたくさんするって」

と語りかけていたのですが、ケーキを食べる前まで、そのことを忘れかけていたんです。

ふとした瞬間のことを、ふとした瞬間に思い出す。

そういうことは人生によく起こるもので、消えかけていた記憶に、心を救われることもあるのではないでしょうか。

このシーンはネットでも話題で、ツイッターには

「ずっと忘れていた大切な約束。幸せの記憶。奥様の遺した言葉がしみました」
「ボロボロ泣いてしまった。ふとした瞬間に、そういえばあのとき……って思い出すことあるよね」

といった声が寄せられています。

また、ドラマの原作となった漫画の作者・浅井西さんにとっても思い入れのあるお話だったようで

「ドラマ3話は原作のお話を元にしていただきました。少しだけ自分の経験も入ってて、ボロボロ泣きながらネーム作ったのおぼえてます」

とつぶやいておられました。

【唐突に放り込まれた「雨宮=御曹司」説】

涙なくして観れなかった第3話。

ところがラストでは、雨宮が運転手付きの車に乗りこみ「おぼっちゃま」と呼ばれるシーンが出てきて、度肝を抜かれました。

しかしよく考えてみれば、雨宮の柔らかな物腰や上品な所作は、おぼっちゃま感たっぷりです。

一体なぜバーテンをやっているのか、めちゃくちゃ気になるゾ……!

参照元:MBSInstagram @3boshi_youshudo_mbs、Twitter @3boshi_youshudo @asai_sai_#西荻窪三ツ星洋酒堂 ふとした
執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:©「西荻窪 三ツ星洋酒堂」製作委員会・MBS