上手く休みをとれば、最大で11連休になると話題だった2021年のゴールデンウイーク。

昨年に引き続き、お家で過ごす人も多そうです。

今回はPouch編集部のライターたちが選ぶ「一気読みしたい長編漫画」のおすすめ作を紹介します。

連載が長期間に渡る作品だけあって、名作多し! 読んだことがない作品はこの機会にぜひ読んでみて。

・主人公よりむしろライバルの亜弓さんに注目 by 御花畑マリコ

「ガラスの仮面」 美内すずえ(白泉社 / 既刊49巻)

天才的な演技力を持つ少女・マヤと、父が映画監督で母が女優というサラブレッド姫川亜弓が、伝説の「紅天女」の主役をめぐり数十年に渡って戦い続けております。

この漫画の魅力は数あれど、私が惹かれるのは誇り高きライバル・亜弓さん。

美貌、演技力、財力、気高さ……すべてを持っているように見える亜弓さんですが、実は努力の人です。しかもマヤがピンチのときには亜弓さんの姿を通して、圧倒的な天才にどう立ち向かうか……ということを考えさせられます。亜弓さんのように気高ありたい。

・宝塚の舞台でも有名な傑作 by 五條なつき

「ベルサイユのばら」 池田理代子(集英社 / 文庫版 全5巻)

初めて読んだときは面白さのあまり一気読みしました。

マリー・アントワネットがフランスに嫁いでからフランス革命が勃発するまでの史実に基づいたストーリーと、オスカルなど架空のキャラクターが違和感なくマッチしてより劇的な物語が展開していくのが素晴らしいのです。

愛・友情・政治・庶民・王族・貴族……もうとにかく盛りだくさんなのに全てが丁寧に描かれていて夢中になってしまうことうけあい。

魅力的なキャラクターが目白押しですが、私は断然オスカル様推し。男性として育てられたゆえに、女性として当然の幸せが掴めないオスカル様と、それをずっと見守ってきたアンドレの愛の行方はあまりにも美しい……!!

フランス革命の流れもよくわかるので、世界史が苦手な方にもおすすめです。

・武将の戦い方から学ぶこと多し by 田端あんじ

「キングダム」 原泰久(集英社 / 既刊61巻)

古代中国の春秋戦国時代を舞台に、若き秦の始皇帝・嬴政が、盟友の武将・李信ら仲間たちと共に中華を統一するまでが描かれます。

嬴政と李信を中心とした登場人物の成長、尊敬する師との出会い、仲間との熱い友情と別れなど見どころは数あれど私がいちばん魅力に感じているのは、「個性豊かな武将たちの戦い方」! 知略でいくか、本能でいくかなど、武将によってさまざまな戦い方が展開されます。

ビジネス書にもなっているだけあって、仕事をしていくうえでも参考になる……!
また武将たちには「それぞれの信念」があるため、感情移入が止まりません。

とにかく読み応えがあり、61巻までずーーーっと熱さがブレず、中だるみは一切なし! 何度も何度も読み返したくなる名作です。

・一条ゆかりの才能が光る傑作コメディ!  by 斎藤香

「有閑倶楽部」 一条ゆかり(集英社 / 全19巻)

連載物というより、数話完結のコメディ。主人公は6人、全員セレブ高校生。アクション、お色気、プレイボーイ、知性派、体育会系など、キャラ立ちがくっきりしていてわかりやすい!

生徒会役員の彼らが身の回りで起こる、さまざまな問題を解決していくんだけど、何もかも荒唐無稽でコミカル。各キャラクターをいかした笑いや物語展開など、一条ゆかりの天才ぶりがいかんなく発揮されていると思う。

一条ゆかりみたいな漫画を描ける人っていない、唯一無二の漫画家なので、この機会にぜひ読んでほしいです。

・シリアス版の一条ゆかりならこれを推したい by 香月実穂

「プライド」 一条ゆかり(集英社 / 全12巻)

亡き有名なオペラ歌手を母に持ち、同じ道を目指す資産家の娘、麻見史緒の物語。アルバイトをしながら生計を立てているライバルの緑川萌に幾度となく邪魔されるものの、のちに最高の相棒に。

夢をひた向きに追いかけるだけでなく、恋愛模様も面白い。

日本だけでなく、オーストリア、イタリアなどを舞台にオペラと人間模様を描いているずしっとした作品です。マンガなのに音が聞こえてくる気がする不思議な感覚がします。

・ネット広告で話題のレディコミはバトル漫画でした by鷺ノ宮やよい

「かんかん橋をわたって」 草野誼(ぶんか社 / 電子書籍全10巻)

一時期、ウェブの広告で頻繁に目にして、よくある嫁姑ものかな?と興味本位で読んでみたところ、三国志レベルで壮大なバトル漫画でした。

最初は別の町から嫁いできた主人公が姑にいびられて……みたいなところから始まるのですが、町内に「嫁姑番付」という嫌すぎるランキングが存在しており、だんだんとランキング上位の嫁同士で絆を深めて姑に立ち向かっていく、しかしラスボスは実は……みたいな想像が追いつかないような展開のストーリーです。

「掲載誌を間違えたバトル漫画」「嫁姑版ONE PIECE」みたいに例えられており、「ウソでしょ?」と思いながら読んでみるとそのとおりでした。中にはデスノートのような頭脳戦も……(嫁姑間の町レベルですが)。

個人的にはご新造様(という女性キャラ)が赤ちゃんにつけるネーミングセンスに注目していただきたいです。

・音楽の素晴らしさも青春も楽しめる!  by あんすず

「のだめカンタービレ」 二宮知子(講談社 / 全24巻)

昔ピアノを習っているときに先生に教えてもらって読み始めたのですが、とにかくのだめがおもしろくて、単行本出るのが待ち遠しかった。のだめにでてくる曲を聴きながら漫画をよんだり、フランス語に興味を持ったり。

ギャグ漫画としても、恋愛漫画としても、音楽漫画としても楽しめるうえに、挫折に恋に成功に別れに、青春!!って感じなので、読みやすいと思います。

・80才にして家出する主人公のたくましさにグッとくる!  by にのうでぷに子

「傘寿まり子」 おざわゆき(講談社 / 既刊15巻)

主人公であるベテラン作家・幸田まり子が4世代同居中の自宅に居場所がなくなり、80才(傘寿)にして家出をするという物語。と書くと少し寂しい響きがしますが、この作品の魅力的は何と言ってもまり子さんの力強さ!

持ち前の好奇心とアクティブさでネットカフェで暮らしたり、SNSを使いこなしたり、恋をしたり、新たな文芸誌を立ち上げたり……。次々新しいものを吸収して自立して生きていく姿にガンガンしびれます。

また家族や認知症などのシリアスな問題にも直面していくのですが、まり子さんを応援しながら自分も頑張ろう……と思える作品です。

・母を亡くした小5の男子が子育てを通じて成長 by 梶本時代

「赤ちゃんと僕」 羅川真里茂 (白泉社 / 全18巻)

母親を失った小学5年生の男の子が残された弟(赤ちゃん)とともに成長していく物語。

こちらはシリアスな展開もあり、友達が夢精について悩んでいることを自分の父親に相談していたことを知り、嫉妬心で仲違いする話などは大人になった今でもウーンと唸ってしまいます。

ラストは思い出すだけでも泣けるので、是非この機会に読んで欲しいです!

・もう一度こんな青春を送りたいと思わせる傑作 by つぼみまい

「君に届け」 椎名軽穂(集英社 / 全30巻)

2010年には多部未華子さんと三浦春馬さん主演で映画化もされた、高校生の純度100%青春ストーリーです。単行本は全30巻。

長い黒髪や見た目の暗さのせいで周りから「貞子」と呼ばれてクラスに馴染めずにいた「爽子」。そんな彼女を怖がることなく、初めから笑顔で接してくれた同じクラスの「風早くん」。

この2人を中心とした恋愛や友情、それぞれの進路などが描かれているのですが、もう彼らの日常のすべてが愛おしくて。こんな高校生活を送りたかった……。

2人はもちろん、友人たちもみんなそれぞれに誰かを想ったり目指す夢があったりして、いちいち全員に感情移入してしまいます。

高校生の青春ものなんて、もはや自分には関係なし!と、敬遠しがちな大人世代にこそ読んでほしい漫画です。

執筆:Pouch編集部
Photo:版元ドットコム