ある日、絵本売り場をフラフラ眺めていると目に飛び込んできたオレンジ色の絵本。

よくみてみると「エルメスのえほん」と書いてある……!? そう、あの高級ファッションブランド「エルメス(HERMES)」は絵本も出しているのです‼︎

お値段は2640円とお高め(普通の絵本の2倍ほど)なのですが……実際に読んでみるとそのお値段にも納得。

ものづくり愛にあふれた、大人も子どもも大満足な内容をネタバレなしで全力レビューいたしますっ。

【どんなお話かというと…!】

2022年11月に発売されたばかりの『エルメスのえほん おさんぽステッチ』。エルメス初の絵本です。

お話の舞台は “エルメス” という名前の「うまのどうぐのおみせ」。そこで働く「おじさん」の前に現れた1匹の犬が「首輪をつくってほしい」とお願いするところからはじまります。

首輪をつくってもらった犬とおじさんは、外に出て様々な動物たちの悩みに出会います。そしてその度に、おじさんは「ステッチ、ステッチ、さあ、できた」と、どんどんアイテムを生み出していくのです。

フランスの馬具店からはじまったエルメスの原点にも触れるような、優しくてものづくり愛にあふれた物語です。

【装丁にもこだわりが】

絵本を手がけるのは、及川賢治さんと竹内繭子さんによる2人組ユニット「100%ORANGE」。

絵本を手にとってみると、まず指先に触れる特別感に気づきます。その正体は、背表紙〜裏表紙にあしらわれているグリーンの布と箔押し……‼︎

この時点でお値段にも少し納得っ。

背表紙って絵本をもつ際に触れる箇所。絵本を読み聞かせする私としては、読むたびに「エルメスが我が手の中に」という特別感に満たされるのです。

3歳の子どもも「いつもとちがう、きもちいい〜!」と違いに気づいてくれました。小さくても伝わる、エルメスのこだわりよ……!

【ラストまでものづくり精神に溢れてます】

もちろん魅力は装丁だけではありません。

絵本の内容は、おじさんが動物たちの悩みを発見して自ら進んで(かつ軽快に)ものづくりをしていく楽しさがたっぷり詰まっていて、みているだけで大人もワクワク!

表紙もページもエルメスカラーのオレンジを基調に、色鮮やか。ページをめいっぱいに広がるアートのようなページの数々は、まるでエルメスのスカーフのような美しさなのです。

なにより絶対に感動するのが、ラストのサプライズ!

ページをめくり物語を全て読み終わったと思ったら、ラストのラストにある封筒がくっついていることに気づくのですが……この中に入っているのは、絵本を読んだ人だけのお楽しみ

にくい、にくすぎるぜ。これがエルメスのやり方か〜〜〜〜〜〜!

子どもにはこの封筒のところが特に大ヒット。ここを開きたいがために何度も「読んで!」とせがんでくるほどでした。

【初めてのエルメスは絵本で決まりよ!】

お子さんに楽しくアートや、クラフトマンシップに触れてほしいと思う人にはうってつけ。私も子どものころにこんな絵本に出会いたかったな〜!

また飾っているだけで気持ちが潤うような美しさは、大人の方にもオススメですよ!

正直ちょっと思い切りがいるお値段かもしれませんが、買ったらきっと心が満たされるはず。私はギフトの定番にしたいかも……!

参考リンク:講談社BOOK倶楽部『エルメスのえほん おさんぽステッチ』
撮影・執筆:にのうでプニ子
Photo:(c)Pouch