すごい体験をしてしまった。『デューン砂の惑星PART2』でティモシー・シャラメ＆ゼンデイヤのラブにも注目

【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、超大作『デューン砂の惑星PART2』（2024年3月15日公開）です。前作『DUNE / デューン砂の惑星』（2021年）の完全なる続編で、全米では絶賛されまくっており、見る前から大傑作の予感！　試写で観させていただきましたが……美しくかつ人間ドラマもしっかりした見応えのあるSF作品でした！

では前作『DUNE／デューン砂の惑星』を紹介しつつ、本作の物語へとつなげていきたいと思います。

【第1作目『DUNE / デューン砂の惑星』】

フランク・ハーバードの小説『デューン／砂の惑星』をドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化。地球から惑星へと移住するようになった未来。各惑星が共存する宇宙帝国のうち、アトレイデス家の領主の息子・ポール（ティモシー・シャラメさん）と家族が、砂の惑星アラキスに移住。しかし、ほかの惑星の者から攻撃を受けて一族は崩壊。彼らの移住は仕掛けられた罠だったのですーーー。

というのが前作の物語。罠に嵌められた一族の中で、苦しみながらも逞しく成長していくポールを演じるティモシーが眩しいほどの輝きを放っていた前作。

そのポールの予知夢にたびたび登場していた女性、チャニ（ゼンデイヤさん）が本作では大活躍します！

【PART2 物語】

皇帝とハルコンネン家に嵌められて、全滅したアトレイデス家。領主である夫（オスカー・アイザックさん）を失ったジェシカ（レベッカ・ファーガソンさん）にとって、唯一の希望は後継者である息子のポール。彼は惑星アラキスで、砂漠の民フレメンのチャニとその仲間とともに、皇帝・ハルコンネン家の権力に立ち向かっていく。

しかし、それはポールを苦しめていた予知夢である宇宙の聖戦に近づくことになるのです！

【鑑賞するというより体感する映画】

観終わったあとは「すごいものを見た」という興奮がありました。見たというより「砂の惑星へ行ってきた！」という感じです。

砂の惑星の映像が緻密で美しい。舞い上がる砂が美しく見えるのは本作の魅力にひとつでしょう。

その砂嵐の中で立ち上がるプリンスのポール。本作では、カリスマ性のあるリーダーに成長していく姿を見せてくれます。またポールとチャニのラブは、本作の見どころ。劇的に恋に落ちるのではなく、少しずつ歩み寄りながら心を開いていくプロセスは、リアルラブそのもの。砂丘でのラブシーンが美しい！

【後半の驚くべき展開とPART3に続く道】

ポールは、チャニやフレメンのみんなを宇宙聖戦に巻き込んでしまうことに対して苦悩もしているんですね。戦いに向かってイケイケではなく、常に葛藤がある。そしてチャニを愛するひとりの男としての自分と、後継者としての宿命の狭間で揺れるポール。

ここに登場するのがフローレンス・ピューさんが演じる皇女イルーランなんですよ。

彼女の存在がまたいいスパイス！　詳しいことは映画を観て体験してほしいのですが、一族を失ったポールの復讐＆砂の惑星で生きていく道はこれしかないのかと。この展開には「えー！」と思いましたよ。PART3があるのかな、それに続くエピソードがありそうと感じました。

【幼虫系が苦手な人は鑑賞前に心得て】

ちなみにアクションの見どころは巨大サンドワーム（砂虫）とのバトル。地中を這うように移動する巨大な芋虫のようなモンスターで、口をガバッと大きく開くと大量の触手？みたいなのが見えて、本当に気持ち悪くてめまいが……。幼虫系が苦手な人は要注意です。

私はスクリーンを通して迫ってくるサンドワームにビビりまくりでしたよ。

【エンタメとしての見せ方のうまさ】

物語の語り口のうまさや映像、美術の素晴らしさはもちろんですが、観客を惹きつけるポイントをしっかり押さえたエンタメ性も高い作品である本作。次々と登場するスター俳優たちを登場シーンの頭でバッチリとアップで見せて「キター！」と観客を喜ばせる術にも長けているんです。

166分の長尺ですが、長さは感じさせません。すごくエキサイティングで贅沢な時間でした。

ぜひティモシーとともに砂の惑星の世界を体感してください！

『デューン砂の惑星PART2』
（3月15日より全国ロードショー）
監督：ドゥニ・ヴィルヌーヴ
脚本：ドゥニ・ヴィルヌーヴ、ジョン・スペイツ、クレイグ・メイジン
出演：ティモシー・シャラメ、ゼンデイヤ、レベッカ・ファーガソン、ジョシュ・ブローリン、オースティン・バトラー、フローレンス・ピュー、デイヴ・バウティスタ、クリストファー・ウォーケン、スティーブン・ヘンダーソン、レア・セドゥ、ステラン・スカルスガルド、シャーロット・ランプリング、ハビエル・バルデム

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