なにげなく親切にした相手に、執拗に粘着されるようになったーーー。

今回ご紹介するのは、ストーカーの女につきまとわれるようになった男の話。よくあるサイコスリラーのようにも思えますが、この作品、第4話をきっかけに大きく様相を変えるんですよ。

毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。

今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Netflixドラマ『私のトナカイちゃん』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!

【あらすじ】

主人公・ドニーは「売れない芸人」兼「バーテンダー」。ある日のこと、バーを訪れたマーサという女に対して同情心にも似た感情を抱くようになります。彼女をひと目見て “可哀想” だと思ったのです。

自称・弁護士のマーサはいつもお金は持っておらず、ドニーが出した紅茶やダイエットコークに料金を支払うことはありません。

口を開けばウソばかりのマーサを、なぜか無下にできないドニーは、やがて常軌を逸して執着されるようになります。 毎日山のように送られてくるメール、つきまとい、暴言、その先に待っていたものとは……?

【ココが見どころ!】

<その1:会話はすべて伏線>

芸人を目指して大都会ロンドンに出てきたものの、なんの結果も出せずにバイト生活に明け暮れる日々。ちゃんとした家もなく、元カノの実家に居候させてもらっているドニーは、いわば「人生詰んでる」状態にあります。

そんなドニーが出会ったのが、ストーカーのマーサでした。

ドニーとマーサが交わしている何気ない会話には、巧妙な伏線が盛り込まれています。何気ない会話に違和感を感じたら、ぜひその言葉を最後まで覚えておいてください。

<その2:第4話でわかる「モヤモヤ」の正体>

ドニーに粘着しているマーサを見れば、きっと誰もが「おかしい」「逃げたほうがいい」と思うはず。でもね、ドニーは逃げるどころか、マーサに対して気を持たせるそぶりさえ見せるんですよ。

マーサに恐怖を感じているはずなのに、スッパリ断ち切れない。ギャグに笑ってくれるから?それとも自分を肯定してくれるから? 優柔不断なドニーを見ていると、イライラするしモヤモヤするよ〜〜〜!!

なぜドニーが逃げないのか、その理由は第4話で明らかになります。そしてこのお話をきっかけに、作品自体の見え方がガラリと変わるのです。

<その3:最後はどうなる?>

ドニーとマーサのあいだにある、いびつな共依存。歪んだふたりの関係は果たしてどこへたどり着くのでしょうか。

ちなみに……物語の結末には、イギリスらしいブラックユーモアが盛り込まれています。まさかの展開を見て、私はリアルに「いや、待て待て待て」と声が出てしまいましたよ。

【注意したいシーンもあります】

1話あたり27分〜45分、全7話で構成される本作は、実際に起きた出来事(!)に基づいた物語。

正直言って、マーサにストーキングされ続ける前半は観ていて苦しいものがありますが、後半から一気に引き込まれていくので、どうか途中離脱しないでほしい!

なお、本作には残酷なトラウマや性的暴行の描写も出てきます。性的暴行に関しては、該当シーンの前に字幕でも注意喚起が表示されるので、心して観るようにしてください。

■今回ご紹介した作品

Netflixドラマ『私のトナカイちゃん』(原題:Baby Reindeer)
2024年4月11日から独占配信中

※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。

執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:Ed Miller © 2022 Netflix, Inc.、Courtesy of Netflix