【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選して紹介します。

今回ピックアップするのは、中村倫也さん&神木隆之介さん共演作『君のクイズ』(2026年5月15日公開)です。原作は第76回日本推理作家協会賞を受賞した小川哲氏の同名小説。クイズが出題される前に正解を導き出したクイズ番組の優勝者の謎をめぐるミステリー。試写で鑑賞しましたが、おもしろかったです!

では、物語から。

【物語】

賞金1000万円を賭けてクイズの猛者たちがバトルを繰り広げる生放送クイズ番組「Q-1グランプリ」の決勝戦。

クイズの絶対王者・三島玲央(中村倫也さん)と最強のライバル・本庄絆(神木隆之介さん)の対決は、最終問題の早押しクイズに正解した者が優勝というヒリヒリした展開に。

そんな緊迫した状態の中、本庄は問題を1文字も聞くことなく回答ボタンを押し、正解を言い当てて優勝したのです。彼はなぜ問題を1文字も聞かずに正解できたのか?

【問題0文字で正解なんてありえるの?】

正統派のクイズ番組の映画がこんなにおもしろいとは! 本作ではいきなり三島 VS 本庄のクイズバトルで本庄が問題0文字で正解して優勝というハイライトのような場面から始まります。

でも「問題を聞かずに正解なんてできるの?」とクイズファンは大騒ぎ。そして本庄は世間に「なぜ自分は問題0文字で正解できたのか」と問うわけです。

ここからが本題のスタート! 本庄の0文字回答の謎を解き明かすという検証番組ができて、もちろん決勝で敗れた三島も参戦。そのプロセスの中で、三島と本庄がなぜクイズに人生を賭けているのかが描かれ、そこに本庄が0文字で正解できた真相が隠されているんですよ〜。

【3人の演技合戦も楽しめる】

その物語を牽引する重要キャラは三島、本庄、そして「Q-1グランプリ」の総合演出を担当する坂田泰彦(ムロツヨシさん)です。

三島は生真面目なクイズ王。このすごい記憶力と知識で勝ち抜いてきたクイズ界のエースですが、あまり明るいタイプではありません。

本庄は自由奔放で華やかなタイプ。相手を挑発するパフォーマンスなど強気の態度で、スター性はこっちの方があるかも。

そんなふたりを闘わせて番組を盛り上げるのは総合演出の坂田。実はこの人がいちばんクセ者で、視聴率のためならなんでもする、常識はずれなことでもOKというテレビ界のモンスターなのです。

この3人を演じる中村倫也さん、神木隆之介さん、ムロツヨシさんがいいんですよ〜。

最初、三島と本庄のキャスティングは「逆のほうがいいんじゃないの?」と思ったのですが、見ているうちに、やっぱりこれがベストだと。三島の精神的な重みを中村さんがズシっと受け止めて演じ、本庄の軽やかさとしたたかさを神木さんが緩急つけて演じていて素晴らしい。

そしてムロツヨシさん! 仕事はできるけれど、手段を選ばないから「この人は敵が多いだろうな」と思わずにいられないテレビ業界人を好演。笑顔で楽しそうにえげつない仕掛けをかましてくるんですよ。いわゆるヒール役でもあるのですが、ムロさんが愛嬌たっぷりに演じていて最高に憎たらしい!

【クイズの世界は底なし沼】

本作を観て、クイズってハマると底なし沼なんだと思いました。圧倒的な教養と記憶力、ロジックにも強く、頭の回転が速いという人ほどクイズ沼にハマると抜けられなくなりそう。なぜなら、超難問に対し頭脳をフル回転させて、知識を総動員して正解を勝ち取ったとき、ものすごいカタルシスがありそうだし……。優勝なんてしちゃったら万能感に酔いしれそう。本庄もそんな感じだったし。

そんなクイズワールドとキャラクターの人間性をあぶりだしたのは吉野耕平監督。問題がスクリーンいっぱいに広がる映像マジック、三島や本庄の脳内が問題に反応して解き明かしていくビジュアルは楽しかったし、三島と本庄の本質に絞り込んでいく演出はスリリングで「さすが!」 としか言いようがない。

吉野監督は『ハケンアニメ!』(2022)もよかったし、エンタテインメントの裏側を描くのが上手いんですね。

この映画を観る前と見たあとでは、クイズ番組の見方が変わるかも。クイズファン、ミステリーファンには特におすすめしたい作品です。

執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:©2026 映画『君のクイズ』製作委員会

君のクイズ
2026年5月15日(金)より全国ロードショー
原作:小川哲『君のクイズ』(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
監督:吉野耕平
クイズ監修:QuizKnock
出演:中村倫也 神木隆之介
森川葵 水沢林太郎 福澤重文 吉住 白宮みずほ 大西利空 坂東工
ユースケ・サンタマリア / 堀田真由   ムロツヨシ