[公開直前☆最新シネマ批評]
毎週金曜日は、映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。本日は映画「男たちの挽歌」です。

2月19日より公開される『男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW』は、ジョン・ウー監督の出世作&チョウ・ユンファをスターにした香港ノワールの傑作『男たちの挽歌』(86)のリメイク。製作はジョン・ウーで、彼が認めた韓国版リメイクというわけです。

兄弟と友情の絆をバイオレンスたっぷりに描いた本作ですが、この『男たちの挽歌』という映画そのものもドラマティックな歴史を抱えた映画なのです。

もともとジョン・ウー監督の『男たちの挽歌』も、『英雄本色』(67)という中国映画のリメイクです。ジョン・ウーは『男たちの挽歌』を監督する前、映画会社とのトラブルがきっかけで台湾に飛ばされていたそうです。親友のツイ・ハークに呼び戻されて『男たち~』を演出し、一世を風靡! 香港ノワールというジャンルを確立させました。その後のジョン・ウーの活躍は映画ファンならご存知の通り!

時代を超えて愛されるこの映画ですが、中国でのリメイクは、ニコラス・ツェー、ジェイ・チョウ、アンディ・ラウというスター俳優出演で……との噂もありました。韓国版リメイクも2006年頃、チャン・ドンゴンやピ(RAIN)が出演するという噂が映画界を駆け巡りましたが、どれもこれも暗礁に乗り上げてしまう『男たちの挽歌』。ジョン・ウー版のクォリティの高さと人気が製作者の肩に重くのしかかっていたのかもしれません。

そんな中、『ゴースト もう一度抱きしめたい』が記憶に新しい、韓国のスーパースターのソン・スンホンを迎えて映画化が実現した韓国版『男たちの挽歌 A BETEER TOMORROW』は100億ウォンかけた大作。ジョン・ウー監督作に敬意を払ったのかソン・スンホンが二丁拳銃をぶっぱなす! というアクションも満載です。信頼と裏切りが交錯する男たちのすさまじい生き様を描き、『男たちの挽歌』の魂はリメイクでもしっかり受け継がれています。

ジョン・ウーは過去の自作のリメイクが続いており、『狼/男たちの挽歌・最終章』(89)のリメイクもハリウッドで立ち上がりました。『私の頭の中の消しゴム』のチョン・ウソンが主演。同映画の監督イ・ジェハンがメガホンを取るそうです。なんと3D映画! 飛び出すチョン・ウソン! とても楽しみです。

ちなみにこの『~最終章』は監督と主演(チョウ・ユンファ)が同じなため『男たち~』という邦題ですが、『男たちの挽歌』の続編ではありません、念のため。(映画ライター:斎藤 香)

『男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW』
公開情報: 2011年2月19日(土)全国公開
監督:ソン・ヘソン
出演:チュ・ジンモ、ソン・スンホン、キム・ガンウ、チョ・ハンソン
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