東京で「市場」というと、誰もが名前を挙げるのが「築地市場」。日本一の規模をもち、水産物の取り扱い規模は世界最大級。常に観光客で賑わっている人気市場です。
けれど、東京には11もの中央卸売市場がある、ということは、さほど知られていないようです。そのなかに、水産物を専門に扱う市場があります。足立市場がそれなのですが、ここは知名度こそまだ高くないものの、小売コーナーを設けるなどして「千住の魚河岸」というコピーのもと、一般客を受け入れています。ということは……!!
『観光客がいないぶんゆっくり買い物が出来る……かも』
『水産専門ということは、新鮮な魚が食べられる……はず』
『お値段もお手頃……かもしれない』
—————「足立市場」のこと、全く知らないわ。
■ 一般客向けに市場を大公開! 「足立市場の日」
中央卸売市場とは、小売業者や飲食店など、プロの人々に商品を卸すところ。普段は鮮魚店や料理人以外にはあまりなじみのない足立市場が、一般のお客さんたちになじんでもらうために市場を大公開する、というイベントが「足立市場の日」です。今年7月に第一回が行われ、かなりの活気を呈したとのこと。
■ 足立市場は結構広い
9時から始まった「足立市場の日」。前回1万人訪れただけあって今回も多くの人で賑わっていました。
足立市場は大きく分けて3つに分類されます。1つが魚河岸食堂エリア。海鮮丼や寿司、牛もつなど市場飯が味わえられます。もう1つが物販売場エリア。寿司屋も買いに来るプロの卵焼き、鰹節や昆布、漬け物などのほか、プロ向けのこだわり野菜など、いろいろな珍しいものが販売されていました。そして水産物の仲卸売場。まぐろ類が約8%、鮮魚が約30%、残りの62%は冷凍品や塩干加工品を取り扱っているそうです。イベント当日はマグロの解体があちこちで行われていました。敷地が広い分、どのお店もゆったり見られる印象。
■ 迫力あるマグロたち!
仲卸売場を訪れてみると、自分の身長くらいあるおおぶりなマグロたちがゴロンゴロンと運ばれており、「これぞ市場じゃ!」と興奮してきます。カチコチに冷凍されたマグロは電動ノコギリのようなもので豪快に解体。冷凍されていないものは、刀のような包丁で解体。ど迫力な光景に目が奪われてしまいます。解体見たさに集まった人たちからは、マグロの赤身が見えるたびに大人子供関係なくオォーッと歓声があがります。あっという間にキレイに小分けされたマグロたち。お値段は500円〜1000円というお手頃価格。さすが市場!! と記者が感動していると、いつのまにかマグロを求め長蛇の列が……! (最後尾に並んでも売り切れてそう…グスン)
買い物する人の中にはマグロの骨を購入するお客さんも。あんな大きい骨で出汁をとるのかと記者が心配していると、骨と骨の間に残っている身をスプーンで削りはじめたではないか! なんとマグロの一番美味しい部分、「中落ち」が目的なのだとか。これは欲しい! と思い中落ち目当てに並ぶも売り切れに。市場の買い物はスピード勝負だと学びました。
■ 食べ歩きはやってないが……
仲卸売場はマグロ意外にも、旬のサンマや牡蠣、高級食材の赤貝やシマアジなどもお手頃価格。
記者の好物であるホタテは200円〜250円の値段設定。この新鮮さでこの値段なら買える! ということで、テレビで見る市場あるある「その場でホタテを剥いてもらいパクリ→ウマい!」をお願いしてみたところ……。
断られました。そもそもやってなかった。なんでも、足立市場では持ち帰りが基本。そのため訪れた人の多くがマイ保冷バッグを持参していました。(もし忘れても保冷バッグは場内で販売してるよ)。
テレビの見すぎなんだな……と保冷バッグを買いに行こうした記者にお店のおじさんが声をかけてくれました。なんと、刺身の美味い店を教えてくれたのです! 市場らしい人情にキュンとしつつ、教えてもらったお店に向かいました。
■ 市場のプロオススメ「コーヒーラウンジみどり」がハイレベルすぎる
仲卸売場からみえる緑色の看板が目印の「コーヒーラウンジみどり」。……まさかの場外、まさかの喫茶店です。コーヒーラウンジ、だと? ここでお刺身食べられるなんて想像できない。おじさんへのキュンが冷めていく。
思いっきり疑いつつ、店のドアを開けてみるとかなりのにぎわいよう! 店内には所狭しとメニューが貼られ、どれもこれも美味しそうな定食ばかり! お客さんの雰囲気も、観光客より市場のおじさんっぽい人が多い。そうか、ここで働く人たちの胃袋を支えているお店なんだね。
迷ったあげく、今回選んだのは「刺身定食1000円」とオススメの「ゆで豚とマグロのぶつ定食950円」。お会計は前払い制なので、注文と同時にお支払いを済ませます。
■ これぞ市場の真骨頂……刺身定食はまさに絶品!!
刺身定食はマグロ・ハマチ・タコ・ホタテ・エビの刺身に、ご飯にみそ汁、そして付け合わせの煮付け。この刺身定食、刺身が全部美味しいのです。さすが水産物専門市場でやってるお店! マグロはなんと中トロ。歯ごたえある身は噛めば噛むほど旨味がじゅわッじゅわッと溢れ出す〜。タコはプリっとしながらもさくっと噛み切れる新鮮さ。エビも卵がギッシリで濃厚。これで1000円は大満足どころの話じゃございません。
■ ゆで豚は肉汁とタレが絡み合って想像以上にウマい!
お店のオススメでもある「ゆで豚」は松坂ポークを使用しているとのこと。柔らかくに込まれた豚とお店オリジナルの甘辛いタレが絡み合って絶妙な美味さ。ゆで豚の下に敷かれた野菜も肉汁たっぷりのタレでゴージャスなお味に! 思わずご飯をかきこみたくなるぅ!
以上、足立市場の体験レポートでした。次回、足立市場の日は11月8日が開催予定。気になった方は是非1度足を運んでみてくださいませ。
【足立市場の日】
住所:120-0038 東京都足立区千住橋戸町50
電話:03-3879-2750
公式サイト:千住の魚河岸 足立市場
※足立市場の日の開催時間は9:00~11:00/食堂は13:00マデ
【カフェ食堂みどり】
住所:東京都足立区千住橋戸町61 2F
電話:03-3882-7996
営業時間:5:00~14:00※モーニングメニューは11:00マデ
定休日:日曜日・祝祭日・水曜不定休
取材・執筆・撮影=百村モモ (c)Pouch
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