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「都道府県魅力度ランキング」で、2年連続してぶっちぎりの最下位を走る茨城県。しかしこの地に、みんなが知れば魅力最下位を即脱出するのではと思うほどにウマい「幻の鍋」があるのをご存知でしょうか。

その名も「どぶ汁」。茨城の冬の味覚である“アンコウ”を使った、当地ならではの漁師鍋です。初めて聞くと名前が微妙に思えるけど……断言させていただきます! 私たちがふつう考える「アンコウ鍋」とはひと味もふた味も違う超絶品鍋、それが「どぶ汁」なのです! 

【幻のアンコウ鍋「どぶ汁”」て何?】

かなり昔から漁師達が船の上で調理し食べてきた鍋、それがどぶ汁です。あん肝が溶けてスープが濁る事から、酒の「どぶろく」を連想して「どぶ汁」という名前になったのだそう(※諸説あり)。アンコウは水分の多い魚なので、野菜とアンコウの水分だけでスープが作れること、そして体も温まり栄養も満点だったことから冬場の漁師たちに重宝されてきたのです。

しかし、素材の水分のみで作るため焦げやすく手間も時間もかかるため、提供している飲食店は多くありません。食べられたとしても値段も高額なため、幻の鍋と言われているのです。

【茨城の漁港にアンコウを買いに行ってみた】

それでも食べたいよど・ぶ・汁! ということで、食い気むき出しの私(記者)は自分で作ることにしました! 早速、どぶ汁の本場である茨城の漁港・那珂湊(なかみなと)の市場までアンコウの買い付けに向かいました、
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新鮮な魚が並ぶ中、やはりアンコウが多く並んでいます。あの有名な「アンコウの吊るし切り」は見られなかったものの、巨大アンコウさんにお目にかかることができました。今回は、アンコウの身とあん肝がセットになったパックを購入。
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【どぶ汁の調理開始!】

■材料
・アンコウ(1パック:あん肝付き)
・白菜(4分の1)
・酒(3分の1カップ)
・味噌(適量)
・鍋を見続ける辛抱強さと時間

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以上。具材はアンコウと白菜だけというシンプルさ! 潔い! しかし具材よりも重要なのは鍋を見守り続ける時間! 水を一滴も入れず、具材から出る水分のみで汁を作るので、蒸発しないように! 焦げないように! 気をつけなければいけませぬ。辛抱!

■調理方法
【1】鍋を熱し、あん肝を乾煎り。
【2】あん肝が溶けたら酒と味噌を加えます。
【3】白菜とアンコウを入れ、焦げないように時折混ぜながら煮詰めます。

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以上! これまたシンプル! しかし最初はごくわずかな水分しかないため、焦がさないように全身全霊で鍋に集中しなければなりません。火加減ですが、水分が蒸発しないよう弱火から中火で調理がオススメです。

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【完成! ハフハフしてグビグビでござる!】

鍋を開けた瞬間に磯の香りがふわぁあ〜ん。具材の水分だけで出来上がった汁はウワサ通りの濁りっぷり。あん肝が溶け出し、赤色の肝油がスープの表面にぷかぷか浮いていておる……ここをねらってレンゲですくい、ぐいっと一口! ウゥウ旨ァアア!! こってりまったりと濃厚なのに野菜と魚の味を優しく感じられるスープ! こんなの、今までにあっただろうか!! DSC_3093

DSC_3087アンコウの身は……ふっくら! 骨からするりと身がほどけていく。意外にも素晴らしかったのが白菜。アンコウの旨味と白菜自体の旨味が重なって濃厚鮮烈な旨味のカタマリに! 美味しすぎて箸が止まらない。白菜もっと入れればよかったと後悔するほどでした。DSC_3114
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漁師さんがつくる本物のどぶ汁は食べた事がないけど、それにきっと近づけたんだろう。それくらい、本当に美味しくできました。一緒に買ってきた日本酒とも、最高によく合いました。〆にはご飯でおじやもいいですが、うどんもオススメです。あぁ〜身体がポッカポカ〜。皆さんもアンコウが手に入ったら、ぜひ1度お試しください!

【那珂湊おさかな市場】
住所:茨城県ひたちなか市湊本町
番号:029-273-0116
営業時間:7時~17時(各店によって異なります)
定休日:元旦のみ休日
ホームページ:那珂湊おさかな市場

レシピ参考:どぶ汁の美味しい作り方
撮影・料理・執筆=百村モモ (c)Pouch

◆幻の鍋「どぶ汁」の作り方をおさらい! まずはあん肝を炒めます

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◆あん肝が溶けたら酒・味噌を加えます

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◆白菜・アンコウを入れます

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◆焦げないように・沸騰しないように混ぜ続けます

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◆お、水分が出てきました〜!

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◆完成です!

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