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全国の独り身呑んべえの皆さん、こんにちは。

突然ですが、お酒とお漬物の相性って最高ですよね。記者(私)も、バルではピクルス、居酒屋では茄子の一本漬けを注文するのが宴の儀式。コンビニでビールを買えば、ついつい浅漬けを手にとってしまいます。

このお漬物、お店で買うと意外と高いんですよ。いろんな種類を楽しもうとすると、それだけでワイン1本買えちゃうくらいのお値段になります。どうせ毎日呑むんだから(ひとりで)、お財布を気にせず、思う存分お漬物を堪能したい! ……ということで、2年前にぬか床を作成しました。

定番のキュウリやナスもモチロン美味しいですが、ショウガ・アボカド・パプリカ・オクラ・山芋・セロリなど、生で食べられる野菜なら、何を漬けてもOK。家での独り呑みに、ぬか漬けは欠かせません。

ぬか床との付き合いも2年半になりました。その間、いろんなことがありました。愛しすぎたこともありました。寂しい思いもさせました。つらい選択を迫られたこともありました。でも彼は、わたしの人生になくてはならないものになったのです。

■ ぬか床って、手入れが面倒そうだし、臭いんじゃないの?

そうです。ぬか床は毎日混ぜないといけません。そのうえ、手がぬか臭くなります。爪の間にもぬかが入り込むし、どんなに洗っても、ぬかの臭いが離れません。最初は、恋愛初期のように楽しくて、毎日朝晩混ぜていました。日中、ヒジをついて考え事をしているときに、かすかにただようぬかの香り。鼻先に指を近づけては微笑んでいました。

――2週間で飽きました。男のことばかり考えていると頭がパーになるのと同じで、いつもぬか床のことを考えているヒマはありません。夏が近づいてきたので、冷蔵庫に放り込むことにしました。これだと、毎日混ぜなくても大丈夫です。冷蔵庫の中は低温なので、乳酸菌の働きが悪くなります。その分、漬け時間が長くなりましたが、毎日会う必要はないので、ちょうどいいです。

ニンジン、新ショウガ、山芋なんかは、2週間くらい漬けっぱなしにしていても十分おいしい。

週に1回くらい――そうですね、遠距離恋愛2年目のメールくらいの頻度で室温に戻してあげれば、フカフカになります。

■ ぬか床を放置しすぎるとどうなるの?

冷蔵庫保存のぬか床は、基本的に自己主張をしない良い子です。「今度いつ混ぜてくれる?」とか言いません。実に楽です。でも、あまりに構ってあげないと、愛情不足でいじけてしまいます。

「あ、コイツのこと忘れてた。そういえば最近、相手してあげてないなぁ」とタッパーを開けると……ギャー!
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なんか、真っ白いものでおおわれてる! カビ?

この白いもの、カビではなくて「産膜酵母」という酵母菌。からだに害はないのですが、シンナー臭いので、混ぜずに取り除けばOKです。この産膜酵母の上にさらにカビが生えることもあります。カビは、緑やピンク色で、もっとふわふわしています。カビが生えたときも、「放っておいてゴメンネ」って言って、そこだけ取り除いちゃえばいいんです。

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いじけたぬか床にはプレゼントをあげると機嫌がよくなります。ビール、ヨーグルトなど、いろんな乳酸菌をプレゼントして試しましたが、乳酸菌の塊「ビオフェルミン」を10粒くらい放りこんで室温で暖めてあげるのがいちばん効果がありました。

■ ぬか床のデメリットは?

ある晩、ウイスキーをオンザロックで楽しんでいると、異変に気がつきました。何か臭うのです。お酒が変質したわけでもない。グラスが汚れているわけでもない。

――氷でした。氷がぬか臭くなっていたのです。

氷は、冷蔵庫内の臭いを吸着してしまいます。いくらタッパーで密封していても、24時間冷蔵庫に入っているぬか床の臭いは庫内に充満します。氷なしでお酒を呑むのはちょっとつらい。でも、ぬか床と離れたくない。

悩みました。悩んだ末、潔く、製氷皿を処分しました。どうしてもロックでお酒を飲みたいときは、その都度、氷を買ってくればいい。お金で解決できることはお金で解決するのが、大人の正しい選択です。

■ 待つ人がいる幸せ

寒い季節になってきましたね。冷たい部屋に帰ってきてまず冷蔵庫を開けると、ビール缶の隣で彼がわたしを待っています。ひとりじゃないんだなって気がします。

執筆=綾部 綾 (c)Pouch

▼ いろんなお野菜でぬか漬けを楽しめます
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▼ おいしくなーれ
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▼ できた!
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▼ アボガドは、若くて硬いものを選んでね
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▼ お酒がすすむすすむ
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▼ いい子いい子。いつもありがとう。
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