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2015年3月11日。東日本大震災が発生した日から4年が過ぎたこの日にスタートした展覧会、それが本日ご紹介する「Don’t follow the wind」です。

会場となったのは、福島県、東京電力福島第一原子力発電所付近の帰還困難区域。

高い放射線量により、立ち入りが制限されている同地区。地元の人々が避難する前に住んでいた場所などを借りて、国内外で活躍するアーティスト12組による作品を展示しているのだそうです。

【今はまだ、誰も観ることができない展覧会】

こういった理由から、今はまだ誰も、作品を鑑賞することができません。この目で観ることが可能になるのは、帰還困難区域の指定が解除された、そのときからのみ。

【いつそのときが訪れるのか】

そしてその瞬間が訪れる日が、3年後になるのか、10年後になるのか。それとも、我々が生きている間は叶わないのか。そのことについても、現段階では判断がつかないのです。

【公式ウェブサイトの画面は真っ白】

同展のウェブサイトは、真っ白。何も表示されない画面からは淡々と、展覧会を説明する声が流れます。英語、日本語、男性そして女性の声。

「一般にも見られない展覧会として、その場所で存在し続けます」

「その期間は現在を生きる私たちの生涯を越えて新たな世代にまたがり、私たちにアートと時間の関係性、そして時間と環境の関係性を再び見直すことを問いかけます」

【そこから感じるのは、途方もない時間】

発せられる言葉、そして何も映し出さない画面から感じられるのは、途方もない時間と距離。なお、会期の終了は、現時点でまったく目処が立っていません。

【発案者はChim↑Pom】

プロジェクトの発案者は、Chim↑Pom(チンポム)。参加作家は彼らのほか、アイ・ウェイウェイさんに宮永愛子さん、グランギニョル未来(椹木野衣さん・飴屋法水さん・赤城修司さん・山川冬樹さん)にトレヴァー・パグレンさんなど。プロジェクトキュレーターは、窪田研二さんが務めます。

帰還困難区域で、誰の目に触れることもなく、静かに存在し続けるアート作品。その事実に、みなさんは何を思うでしょうか。

参照元: Don’t follow the wind Chim↑Pom Chim↑Pom2015(ツイッター)
執筆=田端あんじ (c)Pouch