以前、ご当地寿司について調べていたところ、長崎県にちょっと気になる情報が……。それは「長崎県では鉄火巻きが白い」いうもの。

いやいや、マグロの赤身を使った鉄火巻きといったら、赤色なのが普通でしょう!

このネタ、気になる(寿司だけに)!! というわけで、本当なのかどうか、長崎県鮨商生活衛生同業組合に聞いてみることにしました。さて、真実やいかに……?

【白い鉄火巻きは存在した!】

ふつうに考えれば、鉄火巻きが白いなんてことはありえない! 「あのー、長崎の鉄火巻きは白いって聞いたんですが、本当でしょうか?」とおそるおそる尋ねてみたところ……。

「長崎では、以前はよくハマチやヒラマサなどを使った白い鉄火巻きを提供していました」

との答えが! ハマチやヒラマサといえば赤身魚ではあるけれど、ビジュアルは白っぽく見えるもの。たしかに白い鉄火巻きは存在したといえるかもしれません。

【なぜ白い鉄火巻きが生まれたの?】

でも、どうしてマグロを使わずハマチやヒラマサを鉄火巻きにするんでしょうか?

これには、

「長崎ではハマチやヒラマサの養殖が盛んで、どの寿司屋でも常備しています。長崎人の好みとして“新鮮で歯ごたえのある刺身や寿司ネタが好き”ということがあり、当日のハマチやヒラマサを提供できない場合は、前日の残りの少し熟成したハマチなどは鉄火巻きとして提供していたんです」

との回答が。

ただ、近年の物流と情報の発展によりマグロなどの赤身を好む人が増えたため、それに合わせて赤い鉄火巻きにシフトしているのが現状だそう。

具体的には、チェーン店の進出などにより「鉄火巻きは赤いもの」という共通認識が全国に広まり、長崎県でも自然の流れとしてマグロなどの赤身を使った鉄火巻きを提供するようになったみたい。

ちなみに「白い鉄火巻き」は、よほど新規のお店などでない限りは、注文の際に「白鉄火」と言えば対応してくれるのではないかとのことです。白鉄火……なんだか寿司ツウっぽい! 長崎に行ったときは注文してみたいですね。

【東京で白い鉄火巻きを食べるなら……?】

長崎県民の刺身やお寿司に対するこだわりから生まれた「白い鉄火巻き」。長崎県出身であるPouch編集部の御花畑マリコ氏は、「ヒラマサ、ヒラメ、タイ、ブリなどはコリコリした歯ごたえが命! 東京に来たときは、長崎と全然ちがうーと落ち込んだ」と言います。

うーん、ますます「白い鉄火巻き」が食べたくなってきた! なんとか、東京にいながらにして食べることってできないんでしょうか?

長崎県鮨商生活衛生同業組合の方からは「東京で食べたいのであれば、『長崎ではハマチ(ブリ)の鉄火巻きが食べられるとテレビで観たことあるんですが……作ってくれませんか?』と無茶振りしてみると、対応してくれる店もあるかと思いますよ(笑)」と教えていただきました。回転寿司店ではむずかしいですが、回らないお寿司屋さん、それも高級店ではなく大衆的なお店のほうがこころよく作ってくれるのではないか? とのことです。

作り方としては普通の鉄火巻きを作る要領で、マグロではなくハマチやヒラマサを使うだけなので、家でチャレンジしてみるのも手。その際は大葉(しそ)を一緒に巻くとクセが消えるのでオススメだそうですよ!

【まだまだあるかも「ご当地寿司」】

鉄火巻きは赤以外にあるはずないと思い込んでいただけに、白い鉄火巻きが存在するというのはとっても意外! でも探してみると、全国にその場所でだけ食べられるご当地寿司っていろいろありそうですね。皆さんは地元や旅先でどんなお寿司を食べたことがありますか?

取材協力:長崎県鮨商生活衛生同業組合
執筆=鷺ノ宮やよい (c)Pouch
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]