2019年11月8日の公開以来、SNSを始めとして話題沸騰中の映画『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』

「令和イチの感動作!」「逆詐欺映画だった!」と、何故か本来のターゲットではないはずの大人たちが大絶賛しているこの作品。

実際のところどうなの? 一体どんな内容なの? そもそも “逆詐欺映画” ってどういうこと??? と気になったので、実際にアラサー女子の私が観にいって参りました!

【どんなお話なの?】

ある日「喫茶すみっコ」の地下室で見つけた古い絵本の中に吸い込まれてしまったすみっコたち。彼らが、そこで出会ったひとりぼっちの迷子「ひよこ?」 のお家を一緒に探してあげる、というストーリー。

登場するのは寒さが苦手な “しろくま” や、食べられなかった “とんかつ” に “えびふらいのしっぽ” 、飲み残された “タピオカ” など、個性的ながらも哀愁漂うすみっコたち。はじめにキャラクターの説明があるので予備知識なしでも問題なく観られますよ!

観にいったのが都内ということもあってか、公開から1週間以上経っているにもかかわらず劇場内はほぼ満席! 大半は親子連れだったのですが、大人(特にソロ男性)も多く話題の大きさを実感しました。

【アラサー女子が感動したポイント3つ】

実際に映画を鑑賞し、私が実感した “感動ポイント” は大きく分けて3つありました。

1・α波出まくりの65分間

物語は井ノ原快彦さんと本上まなみさんのナレーションとひらがなのセリフ字幕のみで進んでいくのですが、とにもかくにもキャラクターたちの動きを含めた全体のユルさにたまらなく癒やされまくります〜〜。

「桃太郎」「赤ずきんちゃん」「マッチ売りの少女」といった童話の世界、物語の主人公のコスチュームをまとって大冒険するすみっコたちの姿は、本当に絵本を開いているよう。

ストレスフルな現代人の心に65分の癒やしが効きまくりますよ……‼︎

2・「あっ…」と察する瞬間

しかし可愛くて癒やされるだけじゃないという点が、まさにSNSでも話題になっている “逆詐欺” であり、この作品の大きな魅力。

すみっコたちがアイデンティティ迷子のキャラクター「ひよこ?」のお家を探して冒険する中で、彼らはある残酷な真実にたどり着きます。

その真実を知ってしまったときの「あっ…そっか、これって……」となる瞬間、そのあと何段階にも展開されていく練られた脚本には、前半のゆるさに油断した大人こそギャフンとやられるはず……!

そしてラストのすみっコたちの優しい選択に涙が止まらなくなるのです。

3・すみっこを肯定してくれる世界

疲れた大人にいちばんオススメしたくなるのはここ。

すみっコたちは言わばマイノリティの存在です。主役になれない彼らが絵本の中で主人公に抜擢され、大冒険をしなくてはならなくなるのですが、その性格ゆえに慣れないことや失敗も多くて。

でも、彼ら自身がすみっコな自分たちを否定せずありのままで頑張り、彼らにしかたどり着けない結果を導いていく姿に、つい周りと比べたり同調しようと無理をしたりしがちな大人は、きっと救われるものがあるはず。

作品の向かう道が「成長しよう!もっと頑張ろう!」というマッチョなものでないのがとっても魅力的なのです。

【「逆詐欺映画」ではないけど】

SNSの盛り上がりを見ているとつい「どんな驚きの大展開が待っているんだ!?」と期待値が上がってしまうのですが、個人的な感想としてはハードルを上げ過ぎずにフラットな視点で観てこそだなというのが正直なところ。

ですが、これだけコンパクトな上映時間の中で、キャラクター愛・伏線・ドキッと感・ラストの説得力などなど全て含めてここまで完成度の高い作品を「すみっコぐらし」として作り上げたことに心から大感動してしまいました。

「観ないと絶対損だよ!」とは言えませんが、普段こうした映画に触れることのない大人こそきっと心のデトックスができ、満足感を得られるはず。

これから観にいく方は原田知世さんが歌う主題歌「冬のこもりうた」と共に流れるエンドロールまでじっくり味わってくださいな……♪

参考リンク:『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』
執筆:にのうでプニ子
Photo:(c)Pouch

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