新型コロナによる緊急事態宣言の解除から一夜明けたスペインで、ユニークなコンサートが開催されました。

会場となったのは、世界的に有名なバルセロナのリセウ大劇場。弦楽四重奏団によって、ジャコモ・プッチーニ作曲『菊(Crisantemi)』の演奏が行われたのですが……

席を埋め尽くしていたのは、人ではなく「植物」! さまざまな種類の植物がじっとステージを見つめる様子に、目を奪われてしまいます。

【植物が「人」に見えてくる…!】

「観客全員が植物」という異例のコンサートが開催されたのは2020年6月22日。会場内にある2292席が、植物によって埋め尽くされる光景は圧巻!

植物たちが四方八方から見守る中、静かに演奏がスタート。弦楽四重奏団による美しい音色にうっとりするいっぽうで、植物たちからも目が離せません。

カメラが客席の植物をひとつひとつ映すとき、なぜだか表情を感じられて、次第に意思を持つ存在にすら思えてくるほど。

ラストでは、それぞれ葉を揺らして拍手を贈って(!)おり、不思議な世界に迷い込んだような気持ちになります。

【植物は医療従事者に寄付されました】

コンサートはオンラインで生中継されたらしく、人々も、画面を通してこの象徴的な演奏会をリアルタイムで体感できたよう。

なお観客となった植物たちは、ヘルスケアの最前線で活躍した2292人の医療従事者たちに “演奏会に参加した植物” との証明書つきで寄付されたそうです。

【人と自然の関係について考えさせられます】

ここ数ヶ月、世界各地で、ロックダウン中の街の中に野生動物が現れたり、空気や川の水が澄んできれいになったりと、人々の気配が消えたことで自然が活力を取り戻した様子が報じられていました。

この演奏会においても、本来は人が座るはずの座席を植物が埋め尽くし、音楽を“鑑賞”している様子を見ると、人と自然の関係について改めて考えさせられる気持ちになります。

個人的には、演奏者のみなさんがパフォーマンス中にどのような思いを抱いていたのか気になるところ。植物に囲まれて演奏する機会なんて、そうそうないですもんね!

参照元:Liceu Opera BarcelonaYouTube
執筆:田端あんじ (c)Pouch