【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、Snow Manの目黒蓮さんの映画単独初主演作『わたしの幸せな結婚』(2023年3月17日公開)。シリーズ累計650万部(2023年3月時点)を突破した同名原作の映画化作品です。

試写で観させていただいたのですが、「2023年のNo.1ラブストーリーと言っても過言ではない」ってくらい良かったんですよ~!

では、物語からいってみましょう。

【物語】

“異能”と呼ばれる特殊能力を持つ者が国を治める架空の近代日本。

しかし、異能を持っていない美世(今田美桜さん)は、継母(山口紗弥加さん)と異母妹(髙石あかりさん)に虐げられて生きてきました。そんな彼女は、冷酷無慈悲な軍隊長の清霞(きよか / 目黒蓮さん)と政略結婚を命じられます。

家から追い出されるように清霞の家にやってきた美世は、冷酷という悪評とは違う清霞の優しさに触れ、やがて心惹かれるように。

そして、清霞もこれまで来た婚約者たちとは違う美世の魅力に心を開いていくのですが……。

【異能の世界で咲くシンデレラストーリー】

「異能者たちが統治する世界」という異色の設定ですが、その中で描かれる清霞と美世の恋愛はド直球のラブストーリー。

ふたりが距離を縮めていくプロセスは、ラブストーリーにありがちな “駆け引き” がなく「好きだから守りたい!」「好きだから一緒にいたい!」というシンプルな熱い想いです。

だからこそ、観ているこちらの胸にもストレートに恋愛感情が刺さり、久々に「胸アツ」を感じました。

【目黒蓮が最高に輝いている】

目黒さんが演じる清霞は、シルバーのロングヘア、着物に軍服まで全部が似合っていて、スクリーンから放たれるオーラがすごかった!

災いをもたらす悪との激しいバトルのアクションですら、清霞は華麗で美しい。汗まみれ泥まみれとは無縁の美麗アクション、素敵過ぎました!

また、最初は冷たく感情がないように見えますが、美世に出会って心惹かれていくうちに笑顔を見せるようになります。その表情がグラデーションのように変化していく様にもぜひ注目してほしいです。

そして、総じて目黒さんは所作がきれいなんですよね。

たとえば、美世とのシーン。1本の傘に入るために美世の傘を外すとき、うつむく彼女の顔を上げさせようと顔に触れるときなど、1つひとつの動きが丁寧で品があるのも良かった!

大ヒットドラマ『silent』や、映画『月の満ち欠け』(2022年)では好青年を演じていましたが、本作ではそれらとは全く違う魅力を放ち、俳優としての可能性を強く感じました。

【今田美桜の新たな魅力を発見】

今田さん演じる美世は、継母や異母妹に虐げられて生きてきました。着ている着物はボロボロ、髪はボサボサ……。キラキラしたいつもの今田美桜さんとは思えない姿に正直、ビックリします。

でもだからこそ、清霞に出会って恋をして変わっていく姿を見て、こちらも嬉しい気持ちになれます。それも劇的に変わるのではなく、美世の心と見た目の変化がリンクして、ジワジワと変わっていくのが良いんですよね。

恋をして見た目や気持ちの変化が現れるのはラブストーリーの定番描写だけれど、美世の場合は恋愛が彼女の人生を救っているのです。

とにかく本作は目黒さんの清霞、今田さんの美世ともにヴィジュアルが最高! ずっと観ていられる……と思いましたね。

【なにわ男子の大西流星も大健闘!】

ちなみに清霞の幼馴染かつ次代の帝位を継ぐ息子役で、なにわ男子の大西流星さんが出演してるのですが、良かったですよ!

災いを起こす悪と対峙する清霞の身を案じながら、次代の帝を背負うプレッシャーと心の中で闘う様子がヒシヒシと感じられて……大西さんにも注目です。

おそらく目黒蓮さんは本作が決定打となってスーパースターの道を歩んでいくのではないかな。ぜひその勇姿を大スクリーンから体感してください!

執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:©2023 映画『わたしの幸せな結婚』製作委員会

『わたしの幸せな結婚』
(2023年3月17日公開)
監督:塚原あゆ子
原作:顎木(あぎとぎ)あくみ 「わたしの幸せな結婚」(富士見L文庫/KADOKAWA刊)
出演:目黒蓮(Snow Man) 今田美桜
渡邊圭祐 大西流星 前田旺志郎 髙石あかり
小越勇輝 佐藤新 西垣匠 松島庄汰 髙橋大翔 / 珠城りょう 小林涼子 浜田学
山本未來 / 山口紗弥加 / 平山祐介 高橋努 津田健次郎 / 尾上右近
火野正平 石橋蓮司