手を握り、「トーク・トゥ・ミー(Talk to me)」と唱えて、憑依されるのを待つーーー。
『ミッドサマー』『ヘレディタリー / 継承』を超えて北米におけるA24ホラー史上最高収入を記録した新作映画『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』がいよいよ劇場公開されます!
ひと足お先に試写会で鑑賞したのですが、スリリングな展開に終始ハラハラドキドキ。そして同時に地獄はすぐそこにあるのだと実感させられました……。
【あらすじ】
毎日のように親友・ジェイドの家に入り浸る高校生のミア。母を亡くしてから、父と一緒にいるよりも、家族のような間柄のジェイド一家といるほうが、心が安らいだからです。
ある日のこと、ジェイドとミアはSNSで話題の「#90秒憑依チャレンジ」に興味を抱き、参加してみることに。
得も言われぬ背徳感とスリル、快感の虜になってからというもの、ミアは憑依という体験に「生への実感」を覚えるようになるのですが……。
【中毒性のあるSNSのトレンド】
「#90秒憑依チャレンジ」はいたって簡単で、呪物とされている手を握り、「Talk To Me(トーク・トゥ・ミー)」と唱えるだけ。すると霊を体内に招き憑れることができるというんです。
ただし、90秒以内に手を放すことで霊を祓わなければ、自分自身の中に霊が居座ってしまい永遠に支配されてしまいます。
こうしたギリギリ感も相まって、憑依された人は軒並みハイに! 熱に浮かされたように、何度も何度も憑依される快感を貪るのですが、若者たちは知りませんでした。
深みにハマるほど、元に戻れなくなるということをーーー。
【名だたる監督が絶賛するスリリングな展開】
シンプルながらもスリリング、息をもつかせぬ展開に引き込まれる本作。
はじめは遊び感覚だったのに、知らず知らずのうちに禁忌を破る……といった流れはまさしく「ホラー映画あるある」ですが、そこから先の目を覆いたくなる展開はさすが。
『ミッドサマー』のアリ・アスター、『ゲット・アウト』のジョーダン・ピール、『死霊のはらわた』のサム・ライミ、言わずとしれた巨匠スティーヴン・スピルバーグといった錚々たる面々が、本作を絶賛しています。
ホラー映画好きであれば、この顔ぶれが絶賛していると知っただけで「ヤバい」と直感するはず。
【少女をここまで引き込んでしまう理由は?】
主人公のミアは、母を失った喪失感にさいなまれていました。気を紛らわそうとパーティーに行けば浮いてしまうし、誰も相手にしてくれない。誤った道だとわかっていても、すがらずにはいられない。
孤独と寂しさのあまり、誰か(何か)に依存したい少女がハマった深い沼こそが「#90秒憑依チャレンジ」だったのです。
満たされたくて、つながりたくて。そうやって「#90秒憑依チャレンジ」を続けようとするミアの姿は、SNSで承認欲求を満たす姿にも似ていたりして。地獄というものは、遠くにあるのではなく、時にはドアを隔てたすぐ先にあるのだと実感させられました。
【絶対に感想を語り合いたくなる作品】
「#90秒憑依チャレンジ」にハマったミアが辿る、数奇な運命。物語の結末を目撃したあと、きっと多くの人が誰かと感想を語り合いたくなり、答え合わせしたくなることでしょう。
私が思うに、本作のカギを握っているのはミアが初めて憑依されるシーン。なぜなら、このシーンに映るありとあらゆるものが、のちの物語にヒントを与えている気がするからです。
ストーリーが進むごと「え、なになになに!?」「どういうこと!?」が加速していく本作。ぜひ、ホラー好きや考察好きの人を誘って観に行って!
【グロが苦手な人は要注意】
本作の監督を務めたのは、双子YouTuberのダニー&マイケル・フィリッポウ兄弟。2人の長編デビュー作となった本作は、サンダンス映画祭で注目されたことをきっかけに、A24が北米配給権を獲得しました。
さらに現在、全米を中心に大ヒットして有名映画批評サイト「ロッテントマト」でも95%フレッシュを叩き出す快挙を成し遂げています。
『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』は2023年12月22日より全国公開されます。グロテスクなシーンも出てくるので、苦手な方はお気をつけて。
『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』
12/22(金)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
PG12
監督:ダニー&マイケル・フィリッポウ
出演:ソフィー・ワイルド、アレクサンドラ・ジェンセン、ジョー・バード
執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:©2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia
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