
【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、エマ・ストーンさん主演の最新作『ブゴニア』(2026年2月13日公開)です。演出は『哀れなるものたち』でもエマ・ストーンさんとタッグを組んだヨルゴス・ランティモス監督、そして製作は『ミッドサマー』や『エディントンへようこそ』のアリ・アスター監督。映画界の奇才ふたりがタッグを組んだ作品を試写で鑑賞しましたが、最高すぎました!
この素晴らしさをみんなに伝えなければ……! というわけで、物語からいってみましょう。
【物語】
製薬会社のCEOであり、人気絶頂のカリスマ経営者として知られていたミシェル(エマ・ストーンさん)。

Emma Stone stars as Michelle in director Yorgos Lanthimos’ BUGONIA, a Focus Features release.
Credit: Atsushi Nishijima/Focus Features © 2025 All Rights Reserved.
ある日、車で帰宅すると何者かに襲われ誘拐されてしまいます。犯人は陰謀論に心酔しているテディ(ジェシー・プレモンスさん)と従弟のドン(エイダン・デルビスさん)。彼らは、ミシェルが地球を滅ぼす宇宙人だと主張しているのです!?

Emma Stone stars as Michelle in director Yorgos Lanthimos’ BUGONIA, a Focus Features release.
Credit: Atsushi Nishijima/Focus Features © 2025 All Rights Reserved.
【いつの間にか感情移入していたのは…】
突然誘拐され「アンタは宇宙人だろう。地球滅亡をたくらんでいるに違いない。ボスに会わせろ」なんて、クレイジーな男にありえない要求を突きつけられたヒロイン。お金目当てではないので、お金を積んでも、権力をふりかざしても、全く通用しないのです。
何を言っても「お前は地球滅亡を企む宇宙人だ」と、とにかく話が通じない。挙げ句の果てには「宇宙船に勝手に連絡できないようにする」と突然、丸刈りにされてしまうのです。なんてことすんのよ!
はじめこそミシェルの身に突然起こる最悪の事態に同情し心配していた私。しかし、テディがなぜこのようなことをするのかという事実が少しずつわかってくると、いつの間にかテディのほうに感情移入するようになっていて、自分でも驚きました。
【テディの誇大妄想の原因】
普段は蜂の飼育をしながら生計を立てているテディ。母はある出来事がきっかけで昏睡状態にあり、貧しい生活環境の中で必死に生きてきたのです。しかもテディはミシェルがCEOを務める大企業の末端で作業員として働いているのです。
ミシェルは頭脳明晰なのでテディの心理を分析していき、宇宙人になったほうが話がうまくいくと気づき、宇宙人であることを認め、話し合いの場を設けましょうと場を仕切り始めます。テディの気持ちが少し動いたとき「なんか企んでいるから、気をつけて!」とテディ側についていた私。被害者はミシェルなのに……。

(L to R) Emma Stone as Michelle, Aidan Delbis as Don and Jesse Plemons as Teddy in director Yorgos Lanthimos’ BUGONIA, a Focus Features release.
Credit: Atsushi Nishijima/Focus Features © 2025 All Rights Reserved.
ネタバレになるので詳しくは映画を見ていただきたいのですが、彼を嫌いになれない理由は、権力者に搾取されている側の人物だからかもしれません。社会の弱者であり、這いあがろうとしても這い上がれない。母を目覚めさせたくてもできない。自分は無力だという絶望。
「ああ、辛いだろうな」と思っちゃったんですよ。だからといって誘拐は犯罪なので、決して許されるものではないんですけど。
【驚きのラストシーンは賛否両論か】
果たしてこの物語にどう決着をつけるのかと思ったら、ラストは本当に素晴らしかった。そして、この結末をどう解釈するかは人によって全く異なると思います。「最悪!バッドエンド!」と思う人もいるでしょう。でも私は清々しさとか、鮮やかさを感じました。不公平感ゼロ、すっきり!
ちなみに本作は韓国映画『地球を守れ!』のリメイク作品。オリジナルは未見ですが、ぜひ観てみたいと思いました。
また第98回アカデミー賞の作品賞、主演女優賞(エマ・ストーンさん)など4部門にノミネートされています。エリートが陰謀論者に翻弄されつつも、頭脳プレーで形勢逆転させようと踏ん張るエマの熱演は本当に見もの。本作では今まで観たことのないエマ・ストーンが観られますよ。期待して劇場でご覧ください!

Emma Stone stars as Michelle in director Yorgos Lanthimos’ BUGONIA, a Focus Features release.
Credit: Atsushi Nishijima/Focus Features © 2025 All Rights Reserved.
執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:(c)2025 FOCUS FEATURES LLC.
『ブゴニア』
2026年2月13日(金)より全国ロードショー)
監督:ヨルゴス・ランティモス
配給:ギャガ ユニバーサル映画
出演:エマ・ストーン、ジェシー・プレモンス、エイダン・デルビス

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