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暑いですねえ。外に出たらもう体が溶けちゃいそう。こんなときには、冷製パスタ!

パスタソースは火を使わずに、ツナ缶とトマトざく切り、バジル、スライス玉ねぎ、オリーブオイル&シーズニングソルトを和えてささっと作ればいいよね! 

ただ、問題はパスタを茹でる時間。ペンネなんて使おうと思った日には、ものによっては12分も茹でなくちゃならない。水を沸かす時間も考えたら+5分くらい必要……。調理している間が暑すぎる!

うまい裏技はないのかしら? そう思って調べたら3つの方法を発見! その方法を試した結果、発見した「パスタの茹で方決定版」を紹介したいと思います。

【決定版の元となった3つの調理方法】

まず、記者が見つけた方法は以下の3つ。

A.深鍋のかわりにフライパンでパスタをゆでる、「フライパン作戦」
B.深鍋に通常通り水をはり沸騰したらパスタを入れ、再沸騰したらガスを止めてふたをし、余熱で調理する、「深鍋作戦」
C.パスタを1時間水につけて生パスタのようにして、その後深鍋で柔らかくなるまでゆでる、「生パスタ作戦」

1の方法はフライパンで湯を沸かすため、水量が少なくてすぐに沸騰するのがポイント。2の方法は、パスタのおいしい成分が湯に溶け出しにくいので、小麦粉の味がしっかり楽しめるとのこと。3の方法は生パスタのようにもっちりした食感が楽しめるそう。

【いざ、調理!】

挑戦したときの条件は以下の通り。

・使用したパスタは12分間茹でるタイプのペンネ
・3つ種類の調理方法で、同量のパスタを作る
・フライパンに入れる水はパスタに水がしっかりかぶる程度(500ミリリットルくらい)
・ふたつの鍋は袋に書いてある規定量(1リットルくらい)
・ガスを使うときは、なるべくふたをする。ふきこぼれそうになったらふたをずらして弱火にする

ちなみに、パスタは塩を入れないで茹でた方がのびにくいし、歯ごたえなども変わらず、味もほとんど変わらないそうなので、塩は使いませんでした。

ただし、当然ながら科学の実験みたいな厳密さでやってみた結果ではありません。ガスコンロは3口とも火力が違うので同程度になるように調整しています。それから鍋も2つ同じものがなかったので、違うものを使いました。ご家庭で試すときには、ここで書いている分数は目安とお考えください。

<フライパン作戦>

フライパンに水をはり、火にかけたら3分くらいで沸きました。1リットルの水はだいたい5分くらいかかったので、かなり早く沸いた印象。パスタを入れたあとも簡単に吹きこぼれそうになるので、弱火で12分程度茹でました。弱火を使ったので、普通に鍋で茹でるよりはガスが少なくてすみそう。最初にガスをつけてから15分くらいでパスタができ上がりました。
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<深鍋作戦>

深鍋に1リットルくらい水をはったので、沸騰するまでにかかった時間は5分程度。パスタを入れて1分後に再沸騰したので火を止めました。あとは余熱で調理するため、ふたをして10分程度放置。ガスを使うのが6分程度で、暑いときにはうれしいし、ガス代の節約になりそう。作り始めてから17分くらいでパスタができ上がりました。
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<生パスタ作戦>

火をかける1時間前にたっぷりの水の中に入れました。冷え冷えの水じゃない方がパスタにしみ込むかなと思ったので、常温の水を使いました。
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1時間後。パスタは水を吸って白っぽく柔らかくなっています。なんかそのまま食べられそう……と思ってかじってみましたが、ダメでした。マズい。そのままではやっぱり食べられなかったので沸騰したお湯に投入。2分後くらいにちょうどよく茹で上がりました。パスタを水につける時間からでき上がりまでは1時間7分くらいかかっていますが、ガスをつけてからは7分くらいでした。
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【「生パスタ作戦」が断然おいしい!】

パスタが同時に完成するように調整して、でき上がったものを比べてみることにしました。
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3つの方法で茹でたパスタ。見た目は、素人的にはまったく変わりません。目隠しして家族2人で食べ比べてみると…

・ フライパン作戦のパスタは、特にいつもの味と変わりない
・ 深鍋作戦のパスタは、確かにちょっとだけ小麦粉の味が強い
・ 生パスタ作戦は、本物の生パスタとは違うけれど、断然こしがある。味はいつもと変わらない
ということに。

好みがあるとは思いますが、ふたりとも生パスタが好きなので、「生パスタ作戦」が一番おいしいということに決定! 小麦粉の味が好きでも、そこまで味は大きく変わらないしね。だけど欲張りな記者は「もっとガスを使わずに作れるんじゃないか……?」と思っちゃいました。

【全部のワザをミックスしたら、そうめん級に楽な「決定版」になった!】

そこで考えたのが3つの調理法の合わせ技。つまり、

1.パスタを1時間水につけておく
2.フライパンで湯を沸かし、沸騰したらパスタを投入
3.パスタを入れて再沸騰したら火を止めてふたをし、適宜火の通り具合を見ながら放置
という方法。

これだと、ガスを使う時間は4分ほど。でき上がりはガスをつけてから5分後。しかもこしのあるパスタが作れちゃうのではないかと予想できます!
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実際に、やってみたら……できました! ガスを使う時間は4分程度で、おいしいパスタが!! これぞ、パスタの茹で方の決定版といった感じです。もう、そうめん級の調理の手軽さ。暑い日の調理も快適だし、パスタにこしがあるし、言うことなし!

【賢く調理することの、地球環境へのインパクトは大きい】

実はこの調理法、暑い日に快適に調理できて、ガス代も節約できるから家計が助かって、パスタにこしが出るだけがいいことではないんです!

世界の食料システムを改め、全ての人々が必要な食事を口にできるようにすることを目的に「GROWキャンペーン」を行うNGOオックスファム・ジャパンのホームページには以下のように書いてあります。

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ガスを使って野菜を調理する時、3つの簡単なルールを守ることで、料理に使うエネルギーを70%節約することができます。

(1)鍋に水をたっぷり、ではなく、野菜がかぶるくらいの水で調理する。
(2)平底の鍋を使い、蓋をする。
(3)沸騰したらすぐに火を弱める。

ブラジル、インド、フィリピン、スペイン、イギリス、アメリカの都市部の家庭でこの簡単なルールが守られれば、1年あたり、3,000万メガワット以上のエネルギーを節約することができます。これは、そのすべての家庭で、それぞれ苗木を植えて10年間育てた場合よりも大きな効果になります。
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決定版のパスタの茹で方は、オックスファムの提案する3つの方法をすべて使っています。この文章には日本のことは触れられていないけれど、日本でも同じことをやったら、かなり大きなインパクトになること、間違いなし! どう? もう、やるっきゃないでしょ?

編集協力=オックスファム・ジャパン(http://grow.oxfam.jp/grow_method/)

(写真、文=FelixSayaka