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ふぐといえば泣く子も黙る天下の高級食材。最近こそ、冷凍であることさえ我慢すれば昔に比べ多少安価に楽しめる店も増えましたが、やはり東京の高級料亭となるとお値段はコース3万円~5万円といったところ。庶民がふぐを食べようなんて日にゃ、ふんどし締めて諭吉片手に行かにゃならんわけです、はい。

ところが、福岡県北九州市の「旦過駅」の脇に佇む料理店「道理(どうり)」では、例えばふぐ刺し・ふぐ茶碗蒸し・ふぐ唐揚げなどふぐ料理5品のコースがたったの2000円で味わえるそう。全国的にはあまり知られていない、しかしながらそこを訪れた人は再訪を誓うという噂のふぐ料理店「道理」を調査してきました!

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◆「ふぐ料理店」の対極にあるような手作り感満載の店

小倉駅より徒歩10分、またはモノレールで2つめの旦過駅で降車してすぐのところに佇む屋台……風の店。そこが今回のターゲット「道理」です。

屋台“風”と言われるのには、実は北九州市独自のある条例が関係しています。というのも、同市では屋台でのアルコール類の提供を禁止しているため、本当に屋台であれば同店ではアルコール類は提供できないのですが、同店は一定の基準を満たしているとみなされており、厳密にいえば屋台ではないそう。(これについて北九州市役所の産業経済局環境コンベンション課に確認したところ「屋台の正確な定義はないのが現状だが、同店の場合は移動式でないことが大きいのでは」という見解でした)

外と中の境を限りなくゼロに近づけた店はご主人・原田さんの手作りで、カウンター7席のみとぎゅうぎゅうの店内では、自然と隣のお客さんの会話が生まれる環境。

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◆コースで、単品で楽しむふぐの七変化

ふぐ茶碗蒸し500円、ふぐ梅肉和え700円など、ふぐのさまざまな顔を引き出した料理が20種類以上。今回は1700円(4品)・2000円(5品)・2400円(6品)のコース3種類の中から2000円のものをご紹介します。

メニュー構成は

1)ふぐ刺し
2)ふぐ唐揚げ
3)ふぐ茶碗蒸し
4)ふぐ塩刺し
5)ふぐ茶碗蒸し

とふぐ尽くし。さらに野菜サラダも付くので、実質のところは6品で2000円。

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1)ゴマふぐ、シロサバふぐ、サバふぐ、トラふぐなど4種類のふぐの身と皮を盛り合わせたふぐ刺し。ねぎたっぷりのポン酢でいただきます。皮はコリコリと楽しい食感。身の刺身はかなり厚く、モチモチとした弾力をより強く感じられるのが特徴です。独特の食べ応えがあるので、料亭の儚く透けるタイプが好きな人はご遠慮あれ。

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2)次に登場したのは、4種類のふぐを使った唐揚げ。小骨と一緒に豪快に食らいつくと、薄い衣の中からジューシーな身が顔を覗かせます。淡泊なふぐを上品に引き立てるのは、ちょうどよい塩梅の塩。一緒に出された野菜サラダは、すりおろしたタマネギの甘みとさりげない酸味のバランスが取れたドレッシングがくせになるったら。さっぱり爽快な印象で揚げ物との相性抜群です。

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3)お次は変わり種、ふぐの茶碗蒸しです。卵の中に隠れているのは、フワフワと柔らかい食感をのこしたふぐの身。その上にはふぐ皮が乗ります。そしてそれらを包み込むのは、まろやかな酸味の餡。温和な印象の茶碗蒸しをキリッと引き締める立役者として、そして温かさを逃がさない蓋として二役をこなします。

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4)「ふぐを気軽な値段で、また他の店にはないメニューで」というご主人の言葉を体現したのが、ふぐの塩刺し。皿を覆うほどのねぎの下には、オリーブオイル・塩・コショウ・レモン汁などで和えたふぐの身がたっぷり。さながらカルパッチョといったところ。

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5)シメはちょっと珍しいふぐ茶漬け。濃厚かつ上品なふぐ出汁によりうっすら白づいたふぐの身がごろごろ入っています。梅干しの酸味、そしてわさびの爽快さがアクセントとなり、ここまでのコース料理でまんぷく状態のお腹にもさらさら入ってくる食べやすさです。

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一見、入店に勇気がいる店ですが、お店は地元民を中心に大人気で「マスター、やってる?」「あちゃー満席かぁ、あとでまた来るよ!」と顔を覗かせる常連客の姿が頻繁にありました。美味しいふぐを安く楽しんで欲しい、と寡黙な大将が1人で切り盛りする「道理」。ホテル、結婚式場で料理長を務めた確かな腕で、多くの人が持つふぐへの認識を変えてくれる貴重な店です。

店舗情報

店名:ふぐ&おいしい料理と惣菜の店 道理
住所:福岡県北九州市小倉北区魚町4-4-12
電話:090-9404-1261
時間:不定時
定休日:不定休
※事前予約がおすすめ

取材・撮影・執筆=井上こん(c)Pouch