ここ数日ツイッターでバズっているのが、「#村上春樹で語る育児」というハッシュタグ。
読んでそのまま、作家の村上春樹さん風に育児を語るというもので、タイムラインがハルキテイストな文章で埋め尽くされているんです。
ハルキ作品の大きな特徴である、どこかもったいぶった言い方や、ポエムちっくな男女の会話などがそこかしこに散りばめられていて、読んでるだけで笑いが止まらない~!
【お題その1:晴れてるのに長靴をはきたい娘】
たとえば、「晴れた日にもかかわらず、長靴をはいて出かけたいと駄々をこねる娘」をハルキ作品風にすると……。
https://twitter.com/kasunuma344/status/1166913144171577344
となります。誰かの一言から始まるところや、少々わがままな女が出てくるところが、「THE 村上春樹」という感じがしますね~。
【お題その2:抱っこして攻撃】
また街中でもよく見かける「抱っこして~!」攻撃をハルキ作品風にすると……。
「…ここで、かい?」
僕は訊き返した。
「そう、ここでよ。ここで抱っこして」こうなることは家を出るときに予想していたのかもしれないが、あるいは違う可能性を期待していたのかもしれない。
僕は腕に彼女を抱きかかえ、床に置かれた米を見つめた。#村上春樹で語る育児— ハパ (@niconicoikuji) August 29, 2019
となります。最後の「床に置かれた米を見つめた」で、文章が一気に哀愁を帯びる感じがすごいっ。「かもしれない」を多用するあたりも、ハルキ作品っぽさがありますねぇ。
【お題その3:壁いっぱいのクレヨンの落書き】
個人的に好きだったのは、子どもがクレヨンで壁に落書きした日のことを表現したツイート。
「それで」と妻は部屋を見回して言った。
「あなたは何を見ていたのかしら」
壁に広がったクレヨンは、ジャクソン・ポロックの前衛絵画に似ていた。
「見ていたよ、ずっと」
「いいえ、見ていないわ。結局のところ、あなたは何も見ていないのよ」
妻の言うことはもっともだった。#村上春樹で語る育児— ぐでちちwith10y♀5y♀ (@gude_chichi) August 28, 2019
子供の落書きを“ジャクソン・ポロックの前衛絵画”と例えるあたりにハルキテイストを感じさせます。淡々としたやり取りですが、実際は修羅場だったのではないでしょうか……。
【力作ぞろいで圧倒されます!】
育児は楽しさもあるいっぽうで、ストレスもつきもの。「キ~~~ッ!」とイラ立つこともあると思うんです。
けれどこうして、起きた出来事をハルキ作品風に表現すると、えらくドラマティックな雰囲気になるから不思議です……。みなさんハルキが降臨したのかと思うほどの文章力なので、ぜひチェックしてみてくださいね~。
参照元:Twitterハッシュタグ #村上春樹で語る育児
執筆:田端あんじ
Illustrator:テリーヌ富士子 (c)Pouch
▼傑作ぞろいです
「何度でも繰り返すのよ私達」
ベッドの上で彼女は僕を見上げた。
「何度でも?」
「そう何度でも。私が満足するまで貴方は続けるべきだわ」
「君はいつ満足するんだい?」
「さぁ?私にもわからないの」
僕はやれやれと絵本を開く。
カラスのパン屋さん、今夜八回目の開店だ。#村上春樹で語る育児— つなまよら (@tunamayora) August 29, 2019
https://twitter.com/komihumi/status/1166714662764740608
「何故こんなになるまで放っておいたのよ」
「慣れちゃったんだ。おむつが重い事にも、泣かないでいる事にもね。それに遠くから見れば」僕は言った。「大抵のものは綺麗に見える」
「ねえ」彼女は器用に僕のおむつを替えながら首を振った。
「一生そんな風に生きていくつもり?」#村上春樹で語る育児— 雅樹 (@masazeroque) August 29, 2019
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