【最新公開シネマ批評】映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、累計発行部数8700万部(!!)の原作をもとにした『キングダム』(2019年公開)の続編『キングダム2 遙かなる大地へ』(2022年7月15日公開)。前作以上に戦闘シーンが多く、アクションが盛り盛りです! とはいえ、私にはちょっと物足りなさもあったりして……。
では、物語からいってみましょう。
【物語】
天下の大将軍の目指す信(山﨑賢人さん)の新たな闘いの舞台は、蛇甘平原(だかんへいげん)。「秦」国に、隣国「魏」が侵攻を開始したとの報を受け、敵を迎え撃つべく、若き王・嬴政(吉沢亮さん)は軍を放ちます。
信は兵士として戦地に向かい、彼にとっての初陣に臨むのですが……。
【王宮の闘いから本格的な戦争へ!】
興収57.3億円を突破した前作『キングダム』の続編は、王宮内の権力争いから、いよいよ隣国との本格的な戦闘へと突入。信が闘いの渦中に身を投じる姿を描いています。
秦の総大将を豊川悦司さんが、いっぽう敵国「魏」の総大将を演じるのは、小澤征悦さん。ものすごい形相で、大軍を率いて、秦を奪おうと襲いかかってきます。
敵国よりも兵士が少ない「秦」がどのような闘いを見せてくれるのか、そのバトルの中で信は何を思いどう成長していくのか、というのが本作のポイントです。
また、前作『キングダム』を観てから本作を観たほうがよりわかりやすく、楽しめると思いましたよ。
【信の身体能力の高さに驚き!】
というわけで、「スケールアップ」という言葉がピッタリの『キングダム 遙かなる大地へ』。冒頭から秦国の王が襲われて「油断も隙もないな」と思わせたかと思うと、戦争が始まり、テンポ良く物語は戦いの場に突入します。
「秦」の兵士たちに比べると、隣国の兵士は数で勝負とばかりにすごい兵士の数。丘から敵の兵士たち(数千?数万?数十万?)がずらりと整列しているのをみたときはゾッとして「勝てるわけないじゃん!」と思いましたよ。
ところが、怖いもの知らずの信は怯みません。その大軍に「おりゃ〜」と突撃して敵を次々と倒し、俊敏に動く姿に未来の大将軍を見た気がしました。確実に信の身体能力は爆上がりしていましたね。
【現状維持でいいのか、信!】
しかし、全体的に信のドラマがちょっと薄い感じがしてしまいました。というのも前作では、王の身代わりになった親友の漂(吉沢亮さん・二役))を亡くし、彼との約束を果たすために王と共に「中華統一」を目指すという物語がありました。
でも今回は彼自身の深いドラマがあまりなく、闘いに身を投じてひたすら斬りまくることの繰り返しで、主人公として物語を牽引している感じがしなかったのです。
【救いは清野菜名】
個人的に本作のハイライトは、羌瘣(きょうかい / 清野奈々さん)の登場だと思いました。暗殺者一族に生まれた謎めいた戦士・羌瘣は、特殊な呼吸法を操る「巫舞」という技があり、これを駆使して戦地を生き抜いていくのです。
この羌瘣のアクションが鋭く美しく、かっこいいんですよ。演じる清野さんは、本格的なアクションを学んできており、身体のキレは抜群! 泥臭くガムシャラに突き進む信とは対照的に、計算された動きによる美麗アクションで『キングダム』ワールドの新しい扉を開いてくれた感がありました!
【まだまだ続いてほしい “キングダム”ワールド】
少し辛口レビューになってしまいましたが、壮絶なバトルは大スクリーンで堪能していただきたいことに変わりありません!
また『キングダム』シリーズはまだまだ続くはず。今後は羌瘣も本格的にこの作品に関わってくるに違いありませんし、3作目でも新キャラが出てくるかもしれないと思うと、今からワクワクしちゃいます!
執筆:斎藤 香(c)pouch
Photo:(C)原泰久/集英社、(C)2022映画「キングダム」製作委員会
『キングダム2 遙かなる大地へ』(2022年7月15日より全国ロードショー)
監督:佐藤信介
原作:「キングダム」原 泰久(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
出演:山崎賢人、吉沢 亮、橋本環奈、清野菜名、満島真之介、岡山天音、三浦貴大、濱津隆之、真壁刀義、山本千尋、豊川悦司、高嶋政宏、要潤、加藤雅也、高橋努、渋川清彦、平山祐介、玉木 宏、小澤征悦、佐藤浩市、大沢たかお
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