2020年12月20日、日本一面白い漫才師を決めるM-1グランプリが放送され、第16代チャンピオンの称号をマヂカルラブリーが手にしました!

今年の決勝ラウンドは、優勝したマヂカルラブリーが3票、おいでやすこが、見取り図が2票ずつ獲得するというM-1史上まれに見る三つ巴の戦いでした。

十人十色の漫才が披露された『M-1グランプリ2020』を振り返りながら、接戦を制したマヂカルラブリーがなぜ優勝できたのか3つの理由を考察したいと思います。

【「リベンジ」がキーワードとなった2020年のM-1 】

3年前の最下位から優勝したマヂカルラブリーはもちろん、今大会は例年以上に、逆境や自分たちの借りを返したコンビの清々しさがありました。

まず、M-1予選の最中に、ルール変更によりR−1グランプリへの出場参加を失い、突然崖っぷちに立たされたおいでやすこが。ピン芸人同士のユニットコンビが決勝進出しただけでも大きなニュースでしたが、誰もが認める1位通過で、決勝ラウンドに進出しました。

そして、3年連続ファイナリストの見取り図も、その話術と動きの絶妙なバランスで初めて決勝ラウンドに進出

熾烈な争いの中で、マヂカルラブリーがなぜ優勝できたかについて、考察してみたいと思います。

【理由その1.ネタ選びの慎重さ】

2本のネタを披露するため、1本目のネタ選びは重要で芸人さんが頭を悩ませるところです。高得点を出さなければ、最終の3組には残れません。そこで、多くのコンビが1本目に準決勝で勝ち上がったネタを披露します。

しかし、優勝したマヂカルラブリーは準決勝でウケたネタを2本目に温存しました。そして、大会後にGYAOで行われた打ち上げ配信で明かしていた裏話として、1本目のネタを、ギリギリまで決めず、前のコンビのおいでやすこがのウケ方を見て、CM中に選んだとのこと。

破天荒なネタが話題になりますが、最後の最後まで勝ちに行こうとする試行錯誤があったのです。

【理由その2.自分たちのスタイルを貫いた信念】

3年前の2017年、上沼恵美子さんに「よく決勝に残ったな」と酷評され最下位になったふたり。

しかし、その年の打ち上げで千鳥から「絶対に自分たちのスタイルを変えない方がいい」と言われていました。そのアドバイスを忠実に守り、自分たちの漫才を貫き通し、進化させた強さが優勝に導いたのでしょう!

せり上がって出てくる登場シーンで土下座をしているという史上最速のボケも、これまでのファイナリストでは見たことのないスタイルでした。

【理由その3.実は学生の頃からお笑いエリート】

ふたりのお笑い愛は、筋金入りで、ボケの野田クリスタルさんは、高校生のときからお笑いを始めバラエティー番組『学校へ行こう!』のお笑い企画で優勝

ツッコミの村上さんも大学でお笑いサークルに入り、大学お笑い日本一決定戦で優勝した経験の持ち主。

学生時代からお笑いエリートのふたりですが、プロになってからは苦節を強いられ、結成13年目にしてやっと優勝を手にしたコンビなのです。

【十人十色の漫才で闘う大会だからこそ面白い!】

決勝ラウンドに残らなかったコンビにもそれぞれドラマが。

敗者復活から見事返り咲いたのがインディアンス。去年ネタを飛ばしてしまったことを後悔していたそうですが、トップパッタ―で会場を沸かせました。

最年少コンビ・東京ホテイソンは、言葉遊びの漫才を披露。「もっと分かりやすいネタを見たかった」と言われたものの、毎年ツッコミのスタイルを変えながらの決勝進出はただただ脱帽です。

まさかの“軽犯罪ネタ”で持ち味を出したニューヨーク。昨年の決勝では松本人志さんから「笑ってツッコむのがあまり好きじゃない」と言われ最下位でしたが、5位と大きく躍進しました。

最年長ファイナリスト・錦鯉の「おっさんずバカ」というキャッチフレーズの通り、何も考えずに笑える馬鹿馬鹿しさがお茶の間に知れ渡り、これからのテレビ番組が楽しみです!

そして、ぺこぱの「誰も傷つけない漫才」という言葉に対して「無作為に人を傷つける漫才」と言い放った、ウエストランド。井口さんの「お笑いはそれまでの人生で報われなかった奴の復讐劇」という叫びも、響き渡りました。

早速翌日から10本の仕事が入っていると言われていたマヂカルラブリー。改めて優勝おめでとうございます!

そして審査員を務めるのは今年が最後と言っていた上沼恵美子さんと巨人師匠。野田さんの言葉を借りるなら「えみちゃん、巨人ちゃんも辞めないで〜」。

参照元:Twitter @M1GRANDPRIX
執筆:車寅子(c)Pouch

▼優勝決定後の野田さんの初ツイート。写真も粋です。