【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が、2020年公開の映画・ベスト5を発表します。2020年は公開予定のハリウッド大作が次々と延期になっちゃったから、日本映画が強めな印象……そんな中、外国映画も2作品を選びました。
もちろんひとりのライターによるランキングなので独断と偏見が含まれますが、そこはご容赦を! ではさっそくいってみましょう!
【第5位:『青くて痛くて脆い』】
住野よるの同名小説の映画化作品で、主演は吉沢亮と杉咲花。
大学で知り合って仲良くなった楓(吉沢亮)と秋好(杉咲花)が、世界平和をテーマに「モアイ」というサークルを立ち上げるけれど、2人の間に亀裂が……。
自己評価が低く負の感情が強い楓、理想が高く目的に向かって突っ走る秋好。この2人を演じる吉沢と杉咲が、最高のパフォーマンス!
人間関係に不器用な人ほど、自分の心をえぐられるような気持ちになるかも。イタい系の青春映画の秀作です。(2021年1月27日にBlu-ray&DVD発売決定 Blu-ray 6,800円+税/DVD 3800円+税/VAP)。
(C)2020 映画「青くて痛くて脆い」製作委員会
参考リンク:公式サイト
【第4位:『私をくいとめて』】
綿矢りさの同名原作を、のん主演で映画化。こじらせアラサー女子のリアルをコミカル&ファンタジックに描いたのは大九明子監督。
ひとり暮らしが快適だったみつ子(のん)が、久々に恋をした……って、どうしていいのかわからず大混乱!
みつ子の脳内の相談役Aの声は中村倫也、親友役は橋本愛。ドラマ「あまちゃん」以来の再共演で、ふたりのシーンは感動的です。なによりのんは、ほとんど一人芝居の大熱演。完全復活の兆しが見えて、2021年の活躍が楽しみになったことも含めて4位にランク!絶賛公開中。
(C)2020「私をくいとめて」製作委員会
参考リンク:公式サイト
第3位:『浅田家!』
写真家・浅田政志の日々を描いた中野量太監督作。自らの家族をヤクザや消防士など職業コスプレで撮影した写真集「浅田家」と東日本大震災における写真洗浄ボランティアの活動を写した「アルバムのチカラ」をベースにしています。
存命中、どころかまだ若い人物の人生を描くという少し珍しいスタイルながら、これが面白い。すごく身勝手でマイペースな浅田を魅力的な人物に見せたニノ、つまり二宮和也の演技力はもちろんですが、妻夫木聡ら演じる浅田家メンバーみんなで映画を盛り上げており、まさにチーム力で映画を成功に導いたといってもいいでしょう。
後半の被災地での写真洗浄ボランティアのエピソードも含め、写真を通して家族の良さをしみじみ……。2020年いちばんの、笑って泣ける温かい映画です。
(C)2020「浅田家!」製作委員会
参考リンク:公式サイト
【第2位:『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』】
ウディ・アレン監督が本領発揮したラブコメディ。
エリート好きなセレブな母に反発して、郊外の大学に通う主人公(ティモシー・シャラメ)。彼は恋人(エル・ファニング)とマンハッタンでデートすることになりますが、予定が狂いまくり、思いがけない出来事が次々と起こります。
金持ち自慢の母を嫌いつつも、デートブランは5つ星ホテルに高級レストランコース。「アンタも母親と変わらないじゃん!」とツッコミたくなる主人公をティモシーが好演! アレン本人が乗り移ったようです。エルも可愛く、また助演のジュード・ロウなどベテラン陣もうまい。
オシャレで可愛くてシニカルなアレン節がこれでもかと炸裂していて、超好きな映画! 2020年ナンバー1のラブコメです。
参考リンク:公式サイト
【第1位:『パラサイト 半地下の家族』】
アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4冠に輝いたポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』。
半地下のアパートで暮らす貧しい家族の長男が、高台に暮らすお金持ちの娘の家庭教師になったことをきっかけに、家族全員がその家族に寄生していく……。
セレブ夫婦に気に入られて、まんまと家族全員がお世話になる前半はコミカル。しかし、雨の日に元家政婦がやってきたところから、スリラー映画へと変わっていくのです。加えて、格差社会が生んだ犯罪を浮き彫りにする重層的な構成が圧巻。韓国の名優ソン・ガンホはじめ役者たちも魅力的で、最後の最後まで完璧! 未見の人、これは必見ですよ。
(C)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED
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【他にも傑作ぞろいだった2020年】
以上ベスト5ですが、ほかによかった作品をあげておきます。
外国映画は『ミッドサマー』、『透明人間』、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』、『ハスラーズ』。
日本映画は『ミッドナイトスワン』、『窮鼠はチーズの夢を見る』、『きみの瞳が問いかけている』、『罪の声』、『Fukushima50』、『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』。
2021年はコロナが収束して、ハリウッドの話題作がバンバン公開されることを祈ります!
年末年始に劇場で映画を鑑賞される際は、くれぐれも感染予防対策をしながら楽しんでくださいね~!
執筆:斎藤 香 (c)Pouch
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